5話:部品と副リーダー
次の日、竜騎は学校に行っている間、フェリーアを家で待たせることにした。
が、その帰り道―――
フェリーアを助けた次の日。
木曜日であるから、もちろん学校へ行く竜騎は、部屋でフェリーアを待たせることにした。
おそらく、1日ではここにいると突き止められないだろうと、たかをくくった。
しかしこれが、失敗につながってしまうとは、まだ知らなかった―――。
「はぁ、だりぃな」
いつも通り学校に文句を連打している。
「勉強はいいから、ささっと能力あげてくれっての」
冷蔵庫の中身が昨日2倍消費することになったので、帰りにスーパーへ寄るべく帰り道を変えた。
右に曲がるとスーパーがある交差点にさしかかったその時、ちょうど竜騎と真逆に男がいた。
人数は3。
その内の1人は―――
「フェリーア……!!」
竜騎はいつもより何倍も早口で言霊を言った。
「両手に無の具を煮る力を!!」
(能力フルでいくぞ!)
「『素材錬成』!!!」
左手に力を込め、思い切り撃ち放った。
撃った2発は的中。
竜騎の能力の射程範囲70mであるため、交差点の道路程度の距離は容易に的中させられる。
「ぐっ……」
起き上がり、あちらの2人がこちらに気づいた。
「フェリーア!!」
「竜騎!!」
丁度信号が青になり、フェリーアが走ってくる。
たどり着き、竜騎はフェリーアを抱きかかえたその時、目の前に男が現れた。
「坊や、おいたがすぎるといけないよ」
消えたと思うと、竜騎は後ろから衝撃を受けた。
思わずフェリーアを落とし、前に吹き飛んだ。
「きゃっ!」
「くそっ、誰だてめぇ!」
竜騎はキッと睨みつけたが、相手はやれやれといった表情を見せた。
「おやおや、口も悪い坊やだね。まぁいいだろう。私は須恵大雅という者だ。『ダウン』の副リーダーを務めてるんだ。宜しく」
口調はいたって穏やかで紳士的な感じである。
しかし、実力は相当なものだと、竜騎は直感的に感じた。
(こいつ、強いな……)
逃げるか、自分が食い止めてフェリーアを逃がすか。
さっきみたいに瞬間移動みたいなのをされると、どちらにしても不可能だろう。
やはり、立ち向かうしかないと竜騎は思った。
「俺は神島竜騎。てめぇらにフェリーアは渡さない」
「困るんだよ坊や。それは大事な『部品』なんだよ」
竜騎は耳を疑った。
フェリーアが話した『装置』と『部品』。
当然のように、物だと思っていた。
「まさか……」
思わず息をのむ。
「そう、あの子が『部品』だよ」