3話:事情とグループ
工場で助けた少女にわけあって関わった竜騎。
少女の抱えた事情と竜騎は――――
「助けてほしい、だって?」
少女からの思わぬ一言に、神島竜騎はつい聞き返してしまった。
「はい。今助けてもらったのに、図々しいのは分かってます。ですが、私にはもうあなたにしか頼れない……」
少女の弱々しい声が、竜騎の心を揺すった。
面倒なことが何より嫌いな竜騎だが、少女を無視して帰れるほど、冷血にもなれなかった。
「分かった。詳しい話は俺の家に着いてからにしよう」
竜騎は少女の手を引き、家に向かった。
竜騎の両親は『日本学園』の外に住んでいる。
なので、竜騎は学園内にある男子寮にいる。
学園は能力クラスこそが実力であるため、レベルφ(ファイ)、つまり7以上は寮の1部屋を1人で使うことができる。
つまり、竜騎は一人暮らしだ。
「入ってくれ」
戸惑う少女に一声かける。
「はい」
相変わらず重い雰囲気を出している少女。
「俺1人だけだから、気兼ねはいらないよ」
「ごめんなさい」
不意に謝られたので、竜騎は慌てた。
「ま、まぁ、いろいろ話があるだろうし、座れよ」
今は5月。
床にはカーペットなどを引いているわけもなく、フローリングである。
ささっと座布団を取り出し、そこに座らせた。
「紅茶とコーヒー、どっちがいい?」
「えと、じゃあ紅茶を」
少女の希望の品を竜騎は持ってきた。
正方形の白い机に紅茶を置いて少女に渡し、少女の反対側に向かい合うよう竜騎が座り、自分の紅茶を置いた。
「さて、俺は神島竜騎。15歳で高校1年。能力クラスはφで、名前は『素材錬成』だ。君は?」
「私はフェリーア。年は15だけど、あなたよりも1つ下です。能力は、そうですね……、『振動する白翼』と言う感じですかね。クラスって何ですか?」
少女、フェリーアの話にはいろいろ引っかかるところがある。
そもそも名前が日本人じゃないし、能力の名前も今自分で付けたような感じだ。
「クラスってのは、10段階で能力の強さを表すものだけど、フェリーアにはないのか?」
「知りません。計ったことないので」
「フェリーアはここの住民じゃないのか?」
「はい。私、小さい頃に……、あ、まだ物心着く前だったんで人づたいに聞いたんですけど、両親を失ったらしくて、あるグループのリーダーさんに拾われたそうです」
「グループ?」
竜騎は工場での話を思い出す。
リーダーから許可を得てるとかなんとか、あの男たちが言っていた。
「何のグループなんだ?」
竜騎がした質問に、フェリーアはすぐには答えず一拍おいてから静かに言った。
「世界を統べるのを目的とした、世界反逆グループ、通称『ドロップ』です」
竜騎はすでに、とても大きなことに関わってしまっていた――――。
どうも、Rewriteです。
3話読んで下さった方、ありがとうございます。
まだまだ文章が下手で内容もわかりにくいですが、今後もよろしくお願いします。
アドバイス、感想などありましたら、ぜひ教えて下さい。
次回は、グループについてです。