18話:今後と注目
病室でのフェリーアVS神島竜騎の幼なじみ、白根結衣との睨み合いが終わり、ため息をつく竜騎。
「絶対負けない!」
と、捨て台詞らしきものを吐いて病室から出て行く結衣を竜騎はしかたなく追いかけようとしたが、フェリーアが腕にしがみついて「むぅー!」と言いながら頬を膨らませていたので、竜騎はこれまたしかたなくその場に座った。
(はぁ……)
とため息をついた。
けっきょく、『ドロップ』は解散された。
広瀬直人(ひろせなおとらメンバーは散り散りに、自らの行くべき道を探しに行くようだ。
『ダウン』の方はわからない。
陣野光秀の冷酷な性格からして、おそらく殺されてしまったのかもしれないと単崎将は言っていた。
「じゃまするぜ」
またフェリーアの病室に来客のようだ。
そこにいたのは単崎と、フェリーアと同じ入院患者用の服を着た園生美咲だ。
「美咲! 安静にしてなくていいのかよ!?」
「はは、大丈夫大丈夫。寝てるだけじゃつまんないし、君らを見てた方が面白いだろうしねぇー?」
美咲がイタズラな笑みを浮かべてフェリーアをちらっと見た。
「まったく……。で、単崎は?」
「あんたらのことを一応見に来た。それから、今後のことだ」
「俺たちは大丈夫だけど、今後って?」
「あんたは学生に戻ればいいが、この2人は違う。その天使は『日本学園』の正規住民じゃない。こっちも中退して学生じゃない」
そういえばそうだった。竜騎は思い返す。
「んで、私はやつらを追うために『アウト』と契約したのだー」
「えっ!?」
「まぁ、『アウト』なんざ、もともとならず者ばかりを集めた集団だからな。一応『日本学園』を守るために裏で動いているグループだがな」
「私も今日から『アウト』の一員だぁーっ!!」
「うるせぇなぁ……。このテンションの高さはうざってえな…」
案外いい組み合わせだなと竜騎は内心苦笑する。
「で、次はそこの天使だ」
単崎は美咲を押しのけつつフェリーアに向く。
「天使?」
呼ばれている名に疑問を持つ。
「あー、そこはツッコミなしな」
竜騎がフォローする。
フェリーアが『部品』であることも、『人工天使』になったことも、フェリーアには秘密なのだ。
「あんたも契約するか?」
「えと、竜騎はどうなの?」
「俺か?」
言葉につまっている竜騎を見て、単崎は頭をかく。
「その天使は後だ。先にあんただ」
急に話の対象が変わったので竜騎も真剣になる。
「お、おう。なんだ?」
「元通りに学生になればいいわけだが……」
「何かあるのか?」
「ちっとばっかし面倒がある」
「は?」
竜騎にはまったく話が読めない。
「あんたの『素材錬成』が、俺ら『アウト』を雇っている『日本学園』の上層部の人間が、あんたの能力を注目している」
「なんでだ?」
率直に疑問を尋ねる。
注目するならもっと強い人間だろう。
クラスが上がったとはいえ、所詮はクラスχ(カイ)だ。
単崎のようなクラスω(オメガ)や、美咲のようなクラスψ(プサイ)があわせて19人いる。
にもかかわらずだ。
「あんたのその『素材錬成』が、危険視されてるからだ」