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白い翼の少女と創生する少年  作者: Rewrite
少女との出会い―meet a girl who has white wings―
12/19

12話:パスワードと戦い

神島竜騎(かみしまりゅうき)は部屋に1人になった。

「パソコン……」

机にあるパソコンを見る。

患者の名前と能力リストがずらりと並んでいる。

「脳の共有率、83%」

表示されている、リミット。

100になれば、共有された脳とどこかにいるフェリーアを使い、何が起こるかは分からないが、たくさんの犠牲者がでる。

「くそっ、やってやる!」


一方、単崎将(たんざきしょう)が創り出した四次元球体の中。

「ほぅ、『アウト』のリーダーはこんな力を」

獅子鹿央(ししかおう)は驚くでもなく、しっかりと力を出せるか確認している。

「おい、女」

単崎が隣にいる園生美咲(そのえみさき)に声をかけた。

「邪魔すんじゃねぇぞ。てめぇは後だ。先にあいつらを潰すぜ」

歓喜の声を今にもあげそうな単崎に、美咲はゾクッとした。

確かに、鹿央の強さは知っている。

その彼が認める『ダウン』のリーダーも相当だろう。

そして、単崎もだ。

おそらく『日本学園』の最強たちが集まっている。

(私じゃ、太刀打ちできない……)

自分もたいそうな力を持ってる。

クラスはψ。

学園内トップ20には入る。

しかし、美咲の『時間転送(タイムトランス)』は戦闘向きではない。

(見てることしか、できないのか――――)

美咲は唇を噛みしめた。


「フェリーア!!」

部屋で叫んでも、虚しく声が響くだけ。

パソコンをどう触っても、画面のパーセンテージは止まらず増え続けている。

「くそっ!」

あと12%。

どうする……。

解除ボタンを触れてもパスワードを入れなければ止められない。

パスワードではないと分かっていても、とにかく何かを打ち込む。

出てくるのはエラーの文字だけ。

(パスワードは何だ……?)

落ち着いて考え直す。

これまでに出てきた単語といえば、『装置』や『部品』、あとは個々の能力の名称。

パスワードらしき言葉は思い浮かばない。

「くっそぉ!!」

もう残り5%を切っていた。


美咲は蚊帳の外になっていた。

単崎は1対1で鹿央と戦っている。

相手にチーム意識はないらしい。

協力するべく陣野光秀(じんのみつひで)が動く気配はまったくない。

「ぐっ……」

単崎が再び鹿央を吹き飛ばす。

簡単な話、単崎の力が鹿央の『硬度強弱(ハードネスロード)』の能力により、皮膚の硬度が強、単崎の殴る力を弱にして防いでも、単崎はそれを上回っている。

「おらおらどしたァ!?」

どんどん攻撃回数が増える。

途中、右拳が鹿央の左頬にヒットした。

「ぐあぁっ!!」

単崎の拳はめりこみ、鹿央を吹き飛ばす。

「なるほどなぁ……。てめぇの力、視界の範囲内でしか発動できねぇのか」

「……!」

単崎は早くも鹿央の弱点を見つけた。


「パスワードは何なんだ!?」

竜騎の慌てる姿をあざ笑うように、エラーの文字は出続ける。

考えろ――――。

竜騎は言い聞かせた。

「『装置』、脳、『部品』、フェリーア、『振動(ビブラート)する白翼(ウィング)』……」

そういえば、フェリーアの白翼を前に一度見たことがある。

真っ白い、天使のような翼。

たくさんの白い羽が、フェリーアの静かな羽ばたきに連動して舞い散った。

「まさか!」

竜騎は画面をみた。

すでに1%。

「パスワードは……、『白翼(ホワイトウイング)』だ!!」

竜騎はエンターキーを素早く押した。

「間に合え!!!」

画面は真っ暗になり、どうなったのか分からない。

竜騎はただ、祈るばかりだった。

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