11話:球体と目的
「リーダー! 何をしてるの!?」
園生美咲は叫んだ。
神島竜騎には、その状況がどういう意味か分からなかった。
「簡単な話だよ。俺は君ら『ドロップ』でリーダーをしていても目標は達成できない。だから、『ダウン』と組んだ」
獅子鹿央は冷酷に言い放った。
もう一人の男が立ち上がり、こちらを見た。
「まぁ、正確には『ダウン』リーダーの俺、陣野光秀とだけだがな」
つまり、2つのグループのリーダー同士が組んだということだ。
それも、仲間をお互いに裏切って。
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!!」
竜騎は左手にもつ最強の硬さをもつ拳銃で、鹿央の脳天めがけて撃った。
が、鋼鉄の玉は鹿央の肌に触れると、ふにゃりと丸くなって床に落ちた。
チーンという金属音がする。
「そんなもの、俺の『硬度強弱』には通用しない」
「クソがァっ!!!」
バンバンと立て続けに2回。
しかし、2弾とも床に虚しく落ちた。
「落ち着きなよ、神島竜騎。どうだ、君も協力してくれないか? 美咲とともに」
美咲がピクリと反応した。
「リーダー!」
美咲が呼びかけても、鹿央に変化は見られない。
陣野は相変わらずパソコンと向き合っている。
「おぉォォォォォォォ!!!」
竜騎が思い切り空気砲をうち放つが、ダメージはない。
その時だ。
「けけけっ……。おもしろそうじゃねぇか。俺も混ぜろよ」
その部屋へと続く通路、そこにいたのは単崎将だ。
ドアは開けている。
そのドアから見て左に美咲、右に竜騎がいる。
その間を爆発的な速度で単崎が駆け抜ける。
「うおぉらっ!!!」
単崎が鹿央の顔を速度にのったまま殴る。
「ぐっ……」
びくともしなかった鹿央が後ろに吹き飛び、パソコンを乗せる机に背中を打ちつけた。
「ぐあっ!」
どうやら、ダメージがあったようだ。
「フェリーアはどこだ!?」
竜騎は目的の彼女を探す。
その部屋には見あたらない。
「さぁて、どこだろうかね」
陣野が笑う。
「はっ。なんかおもしれぇ連中が揃ってんじゃねぇかよ!」
単崎は声を張り上げる。
戦いと強者に喜んでいるようだ。
「まとめて潰すぜ」
以前竜騎と美咲が入った四次元の世界。
再び彼らが入った。
ただ、竜騎以外が。
「なんだ、これは……」
その空間は、外から見ると球体、宙に浮いている、虹色の球だった。
こんな小さいものに3人も入るのか。
竜騎の疑問は無意味である。
「ガキ、さっさと探し物を見つけてこい」
「どういう意味だ」
「てめぇは弱い。俺の相手ではない。殺したいのは、あいつら3人だ」
そう言うと、単崎も球体に入った。
吸い込まれていくかのように消えた。
「くそっ、味方……じゃねぇよな……」
竜騎はひとまず鹿央と陣野の相手を単崎に任せ、目的に向かう。