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白い翼の少女と創生する少年  作者: Rewrite
少女との出会い―meet a girl who has white wings―
1/19

1話:少年と力

「くおらぁっ!!」

「ぶっとばすぞぉ!!」

後ろから数名の不良どもが、幾多の罵声を発しながら追ってくる。

「あーもぉーっ!」

その前を走るのは、少年の名は神島竜騎(かみしまりゅうき)

「くそっ、しつけぇなぁっ……」

竜騎は走るのをやめ、走り来る不良どもに向く。

「ぶっ潰せぇっ!」

相変わらず叫んでいる。

ふぅ……

竜騎はため息をつき、両手を前に突き出す。

右手はパー、左手はグー。

「両手に無の具を煮る力を!」

そして右手で左手を覆う。

「『素材錬成(マテリアルアルケミー)』!!」

ぱちんっと音がなり、竜騎は左手のグーを開く。

すると、次々に不良達が倒れた。

「ったく、面倒だな」

息を整え、家に帰るべく歩き出した。


『能力開発区』。

その名の通り、各人の能力を開発する区だ。

竜騎が通う『日本学園』の者は皆、開発区へ一週間に1回行くことが義務づけられている。

もちろん持つ能力の力の向上のためもあるが、他にも不備、欠陥がないか、能力の使用に対する反動がないか等、定期的に検査するためである。

基本的に竜騎は毎週水曜日に行っており、今日は水曜日。

日本学園がある、学習区からかなり開発区が離れているため、バスを利用するとかなり時間がかかるので、竜騎は電車を利用して行くことにしている。

「はぁ、面倒だな……」

正直毎週行う必要がないと感じている竜騎は、ため息をついた。

《次はー、開発区。開発区です。お出口はー、左側になります。お降りの際はー、足元にご注意下さい》

のんびりした車掌の声が、いつも通り電車内に響いた。

「さっさと終わらせるか」

小走りに開発区の開発局へ向かった。


「竜騎君入ってらっしゃい」

待合室で待っていると、いつも見てもらっている人に呼ばれた。

別に病院ではないが、言ってみれば主治医のような人である。

「さっさと終わらしてくれよ、寒川さん」

白衣を着た、長身の女性が出てきた。

彼女の名は寒川晴美(さむかわはるみ)

能力支部の上層部の人間らしい。

なぜらしいかというと、本人が言うだけで、竜騎が実質確かめたわけではないからだ。

「はいはい、じゃ始めるわよー」

昨日と同じように両手を前に出す。

「両手に無の具を煮る力を!」

これは言霊であり、言わずに能力を使うと少し本来より力が劣るため、必ず言っている。

「『素材錬成』!」

今竜騎がいるのは、四方を正方形の青いタイルで囲まれた部屋。

目の前にはダーツで使うような的がある。

竜騎の能力である、『素材錬成』は右手で触れたものを素材にし、左手で錬成したものを使用する。

不良にしたのと同じように、素材は空気、錬成したものは空気砲である。

左手のグーを開くことで発射する。

竜騎の撃った空気砲は、的の真ん中を射抜き、粉々に粉砕した。

「OKよ。いつも通りね」

その的の上、透明ガラスのむこう側に測定室があり、そこに寒川がいる。

「てことは、力は上がってないのか?」

「そゆこと。いたって今までと同じクラスφ(ファイ)よ」

クラスφ。

持つ能力の大きさに応じてクラス分けされる。

つまり能力のランクである。

10段階になっていて、1から順に、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)、υ(ウプシロン)、φ、χ(カイ)、ψ(プサイ)、ω(オメガ)と割り当てられている。

竜騎はクラスφ、つまり7である。

けっこう高能力であるが、竜騎は不満らしい。

毎度向上していないことにイライラしている。

「そんなに簡単に上がるものじゃないわよ」

寒川に言われるいつものセリフ。

「ちっ、分かってるよ」

部屋からドアを乱暴に開けて出た。


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