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『翡翠の勾玉が繋ぐもう一つの歴史』 〜65歳考古学者おばちゃんの古代倭国セカンドライフ〜  作者: カジキカジキ


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263日目 〜協力する力、スミレの花〜

 暖かくなってきた陽射しに皆の笑顔が増えてくる。


 冬の間に壊れた水車と竹樋、水路の修理。

 田んぼを耕して肥料を入れ、田を作る。

 高床式倉庫作り。

 動物を飼育するための囲い作り。


 やる事がいっぱい過ぎて目が回りそう。


 そして私は、隣村にも行って田んぼの改良の指導。

その合間に炭焼きの窯と土器を焼く窯を新しくする。


 退職してゆっくり過ごすつもりが、こんなに忙しいなんて。


 村は、とにかく大忙しになってきたわ。

 でも、忙しいだけじゃなくて、予想以上に苦労の連続だった。


 大人達は山へ木を切りに行っている、隣村の大人達と一緒で何本も切り出さないといけないから何日もかかる。

 

 それに、どの木でも良いわけでは無く、切って良い木を占師のオババ様に見て貰ってから切るので大変なのね。


 高床式倉庫の分、水路修理の分、その他にも修理する為の分と多めに用意したいと言っていた。


 男の大人達が居ないので、ここに居るのは女と若い子ばかり。それでも、大した道具もないのに皆んな一生懸命に土を耕して田んぼ作りに励んでくれた。


 手をマメだらけにして、時には血を出しても止めない子には「すごい頑張ってるけど、血が出てるよ。体が壊れちゃったら困るの。休憩しよう?」と言って無理はさせないようにした。


 堆肥を運ぶのが重くて、大人でも腰を押さえて「もう限界だ……」と背筋を伸ばす。


「重いし、臭いんだよなあこれ……」


 タケくんが鼻を押さえながら麻袋に入れた肥料を運ぶ。


「あらあらタケくん、この臭いが土の養分になって稲を元気にするのよ。おばちゃんはこの匂いが好きよ、植物を元気にしてくれる匂い」


 という私も、少し我慢しているのは内緒。


 田んぼの土は固くて、土を掘り返していると腕が震えて途中で鍬を落としてしまう事も……。

 

 オオミさんが「神女までそんな無理して……」と心配してくるけれど。


「私も村の一員だもの、ご飯のためだと思って頑張るわよ」

 

 おかげで2ヶ月もすると、昨年とは違う立派な田んぼが完成した。


 水路もしっかり掘って、埋まらないようにした。


 新しい水車も増やして、より広く水を送れるようにと頑張ってくれた。


 土手に、チラホラと小さな紫色の花が咲いている。


「スミレ? すごく小さい、原種だったりするのかしら?」


「スミレ?」


 ミナちゃんが、私の呟きを聞いて花を指差す。


「そう、スミレの花。かわいいわよね」


 暫くミナちゃんとスミレの花を眺めていたら、オオミさんがやってきた。


「神女、その花は食べられる?」


 オオミさんは食べらるものに敏感。


「スミレは……花の砂糖漬けは聞いた事あるけれど、そのままだと食べない方がいいかな」


「そうか」


 村の方には苗床にする場所も作ってある。今年は直播きせずに、苗床で育てた苗を使って皆で田植えもするのよ。


 まっすぐに揃えて植えるための道具も考えてある。


 山の方からは、規則正しいコーン、コーンという音が聞こえてくる。


 オクトさん達大人が、山で木を切っている音。


 こちらも、石器の斧で器用に木を切り出している。落とした枝は干からびたら薪に、杉の葉は虫除けや住居の屋根の補修に使われる。


 何もかも、大学時代に妄想して思い描いていた景色が目の前でリアルに起こっている。


「神女の、窯はできてるの?」


 私の窯の方はと言うと、粘土に細かく砕いた土器を混ぜて、少しでも強いブロック作りの最中。


 出来上がったブロックで、新しい窯を作ってそれでもう一度ブロックを焼いて、より高温で焼いた強いブロックを作るの。


 だけど、高温に耐えて出来上がるブロックは少しずつ。

 途中で割れたりするブロックもたくさんある。

 それらはまた砕いて混ぜるから無駄にはならないけれど、焼くための薪は消費してしまう。


「なかなか難しいのよね」


 土器作りが得意だった子にも手伝って貰ったりしているのだけれど、これも何度も繰り返して試すしかない。


 皆の協力が、少しずつ村の未来に繋がってゆく。


 私は、それをしっかりと見守っていきたい。


 皆が力を合わせて、少しずつ田んぼが出来上がってきました。

 その他の部分も進んでいるようです。


 次回、隣村の田んぼ作りで村同士の繋がりが深まっていきます。

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