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『翡翠の勾玉が繋ぐもう一つの歴史』 〜65歳考古学者おばちゃんの古代倭国セカンドライフ〜  作者: カジキカジキ


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14/29

17日目 〜まだまだ、先は長いわよ〜

 翌朝、陽の光が強く田を照らす。


「梅雨も見えてくる時期だと言うのに、また日照りが続くのかしら?」


 田んぼの稲は分げつ期に入ったみたいで、もう少し茎の数が増えて成長したら中干しと水切りかしらね。


 これも、オババ様に相談しながら進めないと。


 成長は楽しみだけれど、病気にも気を付けないとね。


 病気といえば、私たちの手洗いはだいぶ広まってきた。


 オオミさんとミナちゃんが女の子達に広めてくれて、オクトさんが大人達に、タケくんたちは……もう少しかしらね。


 いちいち川まで来たり、水を運ぶのも大変だろうと、昨晩のうちに考えた事がある。


「竹で水車は作れないかしら?」


 竹細工は村のあちこちで見かけたから、竹は手に入りやすいはず。

 水車で水を引き上げて、竹の節を抜いた竹樋で水を村まで送る。

 灌漑にも使えるし、水汲みも楽になるから良いと思うのだけれど。


 オクトさん達が帰ってきたら相談してみましょう。


 昼過ぎになってオクトさん達が帰ってきた。


 交渉は、何とか纏まったみたいだけれど「俺たちの村を優先して作業しろ」と言われたみたい。


 確かに今年の稲が全滅しているのだから不安が大きいのは分かるけれど。


「今日は疲れたな。隣村の連中、随分と強気だったが、何とか折り合いついたか」


 オクトさんと良く話しをしている大人の一人で、ミアケさんが鍬の手入れをしながら話している。


「ああ、今年の不作で焦ってるのだろう。

 だが、うちの材料を優先的に使えってのは筋が通らん。共同で水路作るなら、公平にやらねば」


 オババ様がゆっくり頷く。


「水は命だ。日照りが続けば、うちの田も危うい。

 ほかの隣村の畑も枯れかけてるらしい。

 協力は正しいが、技術を教える以上、互いに守らねばならん約束じゃ」


 私が思い切って口を挟む。


「あの……皆さん、水を運ぶのが大変だから、竹で水車を作れないかと思うのですが、川の水を汲み上げて竹樋で村まで送るんです。

 竹なら山にたくさんあるし、細工も上手い人たちがいるから……」


 一瞬、静かになった。


 オクトさんが難しい顔で聞いてくる。


「竹? 水車?」


 あっ! そこからか……。


 水車の説明は一時中断し、勾玉の力を使いながら何とか竹や水車、竹樋の説明をする。


「水の勢いで羽根を回して、水をすくい上げたり押し出したり。水は竹樋を通って畑や村まで送ります」


 ミアケさんが興味深げに身を乗り出す。


「ほう、面白いな。溝を掘るのは早いが、水を高く上げるのは人力じゃ限界がある。竹樋の継ぎ目は粘土で塞げば漏れも少ないか」


 オババ様が静かに言う。


「水車が回れば、田への水やりも楽になる。水汲みも子供達には一仕事だった、若い頃を思い出すのう」


 オクトさんが笑う。


「よし、やってみるか! 明日は山へ竹を切りに行こう。

 太い竹を10本か? 細いのも合わせて、取り敢えず作ってみよう」


 私が付け加える。


「オクトさん達は試作を進めて下さい。

 私たちは隣村まで測量して高低差を測り、水車を設置する場所を決めます。

 竹樋は川から村の分岐まで、途中で田んぼに落とせるように。分岐は竹をY字に切って作ればいいかも」


 オババ様が目を細める。


「良い考えじゃ。だが、隣村の者にも見せる以上、秘密にはできん。技術が広がるのは避けられんが、それが平和につながるなら悪くない。皆で力を合わせれば、梅雨前までに間に合うはずじゃ」


 オクトさんが立ち上がる。


「では、明日からそれぞれの作業に別れてやろう。

 ミアケは神女達に着いてくれ。村総出の仕事だ子供達にも手伝わせるぞ」


 焚き火の火がパチパチと音を立てる中、皆の顔に少し希望が浮かんだ。


 その夜、松明の灯りを頼りに竹製水車の設計図をノートに書いていた。


 水車の仕組みを分かりやすく書いたつもり。


 これをどう再現するかはオクトさん達に任せる。


 近くの川で何度も作っては壊すを繰り返す事になるだろうけど、将来的には有るものだから無理では無いはず。


 頑張ってね、オクトさん。



 おばちゃんが、村の為に何かしたいと考えた竹の水車。

 上手くいくのでしょうか?


 次回は、隣村への技術指導と水車は回る?

 

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