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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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シリアスっぽい話

黒き天の御使いの厳戒と救済。~『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』~

 ※タイトル程はギャグっぽくないかも?


 わたしの名はディアナローズ。少々美々しい名前が苦手で、親しい者にはディーと呼ばせている。そして我が家は国境に面している。なので、辺境伯という位置付けになるそうだ。


 うちには、わたしと弟がいる。わたしが女なので、弟が後を継ぐと思われているのだが……残念なことに、弟は脳筋気味で割とアホだ。


 というか、どうやらわたしが大分賢いらしい。脳筋のアホを後継にするか、賢いけれど武力に劣る女を後継にするかと迷うくらいには、わたしは優秀なのだとか。


 それで、わたしと弟の婚約はどちらが跡取りor領主補佐になってもいいように組まれたのだという。まあ、我が家が幾つか爵位を保有しているからできる婚約と言ったところか。


 婚約者と出会って数年程は、まあまあ良好な関係だったと思う。


 それが、いつの頃からか……『あなた』と呼ばれていたのが、『お前』になり、一人称が『僕』から『俺』に変わり、段々と口調が荒くなり、いつしか『貴様』呼ばわりされるようになっていた。


「貴様と話してると、まるで家庭教師に教えを請う出来の悪い生徒に思えて来る」


 そう、憎々しげな顔で言われたとき――――


 ふと、思い出した。わたしは、前世で大学教授をしていたことを。専攻は植物学。病気や災害に強い農作物の研究をしていた。学生への講義や議論は嫌いではなかった。思いも寄らぬアイディアは、専門家と話しているよりも素人やその分野に全く興味が無い人と話しているときに出て来るものだからな!


 そして、成る程。道理で、と腑に落ちた。


 どうやらわたしは噂の輪廻転生というものをしたようだ。まあ、その前世の記憶とやらがわたしの妄想などではなければ、なのだが。


 わたしは幼少の頃より植物学に興味があり、領地の一角に畑をもらって趣味と研究がてらに遊んでいた。前世の名残だろう。今世でも無意識に続けていたようだ。今のところ、やめる気はない。むしろ、前世の記憶を思い出したので、前よりももっと本格的に取り組もうと思う。


 故に……いつの頃からかわたしを敵視し、互いに有益な話をしようにも話にならない婚約者に見切りを付け、婚約者と交流する時間を減らして畑に出ることにした。


 とは言え、それなりに婚約者の動向は探っていた。


 まあ、アレだ。現在の婚約者はよくある恋愛物語のように自身よりも身分の低い見目のいい女性に惚れ込み、所謂さ行の言葉で落とされ……いや、堕とされたようだ。『さすが』『知らなかった』『すごい』『センスいい』『そうなんだ』だったか? で、よしよしされて愚か者に成り下がっているらしい。


 婚約の見直しを父に求めたのだが、相手方の両親にもう少し様子を見てやってほしいと頼み込まれたと言って、婚約解消は保留にされた。


 なんでも、父と婚約者の父親が仲がいいらしい。親友の(よしみ)でと簡単に絆されるとは……まあ、うちは辺境地域故、身内の結束が固い。それが悪い方に作用しているようだ。


 とりあえず、婚約解消はわたしの中で決定事項。ただ、婚約者がなんらかのやらかしをする前に縁切りをした方がいいのは確実だが……とは言え、親同士が動かなければ未成年であるわたしには動きようがないことも事実。


 と、農作業に勤しんでいたときだった。


 ここ数年で周辺諸国を属国にして繁栄している帝国の入国管理の仕方が凄いらしいという噂を聞いた。なんでも、犯罪者へ宣誓の言葉と、その言葉の書き取りをさせるだけで、帝国内で再び犯罪を犯す確率がぐんと減ったのだとか。


 我が家も国境に接している故、他国から入って来る人……特に、犯罪者の入国管理は見習いたいものだと、調べてみたら――――


 まあ、うん。至極驚いたぞ。アレは……おそらく、麗しい黒の少年皇帝直々に決めた言葉というのだから。黒の少年皇帝は、わたしと同郷の転生者だと一発で確信できてしまった。


 そして、ものすごく帝国に行ってみたいと思った。すぐに帝国へ留学したいと両親へ言ってみたのだが、却下されてしまった。跡取り候補であることと、帝国が遠いことを理由に。


 故に、父と婚約者の両親に賭けを持ち掛けた。「婚約者が、どこぞの恋愛物語の如くわたしに婚約破棄を突き付けて来たら、わたしを帝国へ留学させろ」、と。


 賭けは、わたしの勝ち。婚約者は、パーティー会場という公衆の面前でやらかした。しかも、あの愚か者は自分が辺境伯を継ぐものと勘違いをしていたらしい。


 まあ、一応婚約者も辺境伯家の分家の者なので、直系や直系に近い者がなんらかの事情により辺境伯を継がなかった場合のみ。婚約者が辺境伯に成れるかもしれないが。


 ぶっちゃけ、アレだ。分家の本家乗っ取りを疑われて、その場で奴は自身の家から勘当された。堕落させた女に誑かされたとのことだが……自分の言動のまずさにも気付けない程頭が足りない愚か者が辺境伯家に連なるのは荷が重いだろう。


 わたしはパーティーで婚約破棄されたその場で賭けに勝った。その勢いのまま、「よっしゃっ!! 父と婚約者の両親共よ! とくと見ろ! 奴はパーティー会場で婚約破棄を叫んだ恥知らずの愚か者だったぞ! 賭けはわたしの勝ちだ! さあ、約束通り婚約の白紙撤回と直ちにわたしに帝国留学を認めるがいい!」と、高笑いをしてしまった。


 なんだか、その様子が語り種になっているらしい。親友のミラルカが教えてくれた。


 元婚約者とその恋人は互いに家を勘当と除籍処分を下され、浮浪者となって我が家へ集りに来ていたそうだ。故に、煩わしいので母が奴へ仕事を紹介してやったらしい。


 その仕事は、指定の食材で作った食事を三食摂るという楽な仕事で……ある意味、楽して稼ぎたいという人種には好評な仕事だ。飲む、打つ、買うを病的にしている者など。身内を売ったり、犯罪を犯してでも金や酒、女、その他が欲しいという風な者へ優先的に回している、我が領独自の仕事。


 まだ、安全性の確認されていない農薬を使って育てた農作物を食べるという、とても簡単で……ある意味では恐ろしくリスクの高い、人体実験とでも言うべき仕事。


 ぶっちゃけ、普通に人体実験なので、高額報酬なのは間違いない。ちなみに、体調の変化を報告すると、報告の詳細具合に応じて報酬が上乗せされるシステムだ。


 なにげに、割と好評だという。仕事(・・)で報酬を得る本人。そして、そんな者を身内や恋人に持って、相当な苦労を掛けられて来た……アイツ早く死ねと、内心で願っている者達。そして、農薬の実験結果を得られる者達。


 最初は、国境を越えてやって来る略奪者達に罠として作った農薬実験農場だったのだが……「害悪にしかならない寄生虫共にも使えるのではありませんか?」と、母が提案して、現在の高額報酬(新農薬での人体実験)という仕事(・・)を構築した。


 なんでも、母の友人が身内に飲む、打つ、買うというクズがいる人で、相当苦労したのを見て来て、なにもできることがなくてずっと立腹していたらしい。


 母は……なにげに、元婚約者(あの男)にブチ切れていたのだな。


 元婚約者よ、その恋人諸共強く生きろ。長く生きて、体調異変に見舞われればその分……貴重なデータが多く取れるからな。


 まあ、そんなことより帝国へ留学だ。


 準備をして、帝国へ渡り――――


 我が家は辺境伯家なので、ユニーク且つかなりの効果を期待できるという帝国の入国管理の様子を見学したいと言うと、簡単に許可が出た。なんでも、世界で犯罪が一つでも減るのはいいことだと、皇帝陛下は仰って。帝国式の入国管理の方法が広まることに鷹揚なのだとか。


 なんというか、かなり懐が深い方なのだろう。まだ、十代に入ったばかりの少年の言葉とはとても思えない。やはり、人生何周かしているのかもしれない。


 まず、犯罪歴のある無しの確認。そして、貴族や富裕層などは好色家であれば、とある言葉の宣誓と書き取りを千回して提出するとのこと。


 その言葉が――――『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』だというのだから、最初に聞いたときには思わず大爆笑してしまったぞ。


 前世ではある種、ギャグ扱いの言葉だったからな!


 とは言え、この世界でこの言葉の扱いは……


「「「「「イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!」」」」」


 入国管理局所有の講堂から、大きな声が響いて来る。


「貴様ら、声が小さいぞっ!! そんな声でした宣誓など、覚悟が伝わるかっ!! もっと腹から声を出せっ!!」


 どこぞのスパルタな軍隊のようなセリフだ。


「「「「「イエス、ショタコンノータッチっ!! イエス、ロリコンノータッチっ!!」」」」」


 そして、先程よりも声が大きく響いた。


「よし! その調子だ! 本日は、あと百回! 腹から声を出せっ!!」


 『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』を千回書き取りする合間に、ああして大声での宣誓もさせるそうだ。


 なにせ、書き取り千回。割と長丁場だから、どうせならああして実際声に出して自分の耳と脳に叩き込ませるのだとか。


 前世で聞いたことがあるのだが……夢を実現したいなら、それを口に出せ。そして、手書きで文字に起こせ。そうすれば、夢が実現する確率が高くなる、と。それは心理学的に、正しいのだという。ある種の自己暗示。


 自分が口に出した言葉を一番身近で聞くのは自分自身。そして、手書きをすると脳裏に言葉が、記憶に刻まれる。言葉の意味を理解して、なにかをしようとしたときに、その言葉がふと甦る。


 そして、その言葉を意識し、夢を実現させるための行動へ結び付けるのだとか。


 故に、訓戒の自己暗示ともなり得る。


 『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』の言葉の解釈としては・・・


 幼児、幼女趣味自体は罪ではない。幼い彼ら彼女らに恋し、愛すること自体は罪ではない。しかし、彼ら彼女らを傷付けることが罪である。


 彼ら彼女らへ恋し、愛するのであれば、彼ら彼女らの心身や尊厳を傷付けてはならない。害してはならない。彼ら彼女らの嫌がることをしてはならない。


 彼ら彼女らを心から愛するのであれば、彼ら彼女らの健やかな成長を見守り、祈り、喜ぶことこそが真のショタコンとロリコンであると心得よ。


 成長によって大きくなった彼ら彼女らへの熱意が冷めるのであれば、それは愛ではない。単なる性癖で、彼ら彼女らを性欲の対象にしているだけだ。恋や愛を性欲の言い訳にするな。


 幼児や幼女へ恋し、愛すること自体は罪ではない。彼ら彼女らの心身や尊厳を傷付けること、自身の性欲や快楽に溺れ、自制や自重を忘れることこそが大罪だと心得よ。


 ショタコン、ロリコンの者共よ。貴様ら一人一人が騎士足る心を持て。騎士は弱者を守る者。故に、貴様らの性欲という悪魔から、愛らしいショタやロリを守れ。


 という、非常に趣深い解釈がされている。


 なんでも、この言葉と解釈は黒の皇帝陛下直々のお言葉だそうだ。


 かつて、帝国がまだ王国で皇帝陛下が王子のうちの一人だった頃。王国を震撼させる……児童買春を目的とした人身売買組織の摘発という大事件があったそうだ。犯行組織の中には神殿で司祭の位を戴いていた者までいたという。


 彼ら一味が拿捕されてから、罪を詳らかにするために年単位の長い時間を要したという。その年月の間に、王国は黒の王子が戴冠し、やがて周辺諸国を属国として帝国へと至った。


 年若い……少年皇帝は、かつての神官であった者を含めた人身売買組織の者と対峙し、(くだん)の『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』の言葉とその解釈を説いたそうだ。


 神官を含めた、小児性愛者達は涙を流して感動し、号泣しながら悔い改めたのだという。


 なんでも、自身の性癖が悪であるという認識と、その性癖に対しての罪の意識があり、年若い頃には葛藤があったそうだが、いつの間にか自身の性癖を認めない社会が悪いのだと開き直り、自身の慾望に負けてしまってからは、背徳感や快楽に溺れて罪を重ねて行き、同じような同志(クソ過ぎる同志もいたものだな?)と、子供達を狙った人身売買組織が出来上がってしまったのだとか。


 そんな罪深い自分に、『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』という言葉。幼い少年や幼女に恋して、愛してしまうこと自体が罪ではない。彼ら彼女らを傷付け、その尊厳を踏み躙ること自体が罪である。貴様らは自身が彼ら彼女らを守る騎士足る心構えを持て。その素晴らしい言葉で救われた、と。


 その言葉を、自身の性癖で苦悩し、懊悩しているときに掛けてもらっていれば、年若い少年少女達へとこのような無体を働くことはなかったかもしれない。死刑執行までの時間、自身が犯した罪と向き合い、被害者達へ贖罪とその安寧を祈って過ごします……とまで、言わしめたらしい。


 『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』は……前世では、割とギャグ扱いだった言葉だと思っていたのだが。自身の性癖に真剣に悩んでいる人達からすれば、ある意味。愛や恋への肯定となる救済と、彼ら彼女らを傷付けてはならないという厳戒の言葉となるようだ。


 一部の人達の間では、黒髪に紫紺の瞳を持つ皇帝陛下は黒の御使いや黒い天使と称され、為政者としてではなく、教祖の如く崇められているらしい。


 ()の言葉に感動し、帝国へ移住する者もいるのだとか。


 宣誓を書き取りするための紙とインク代くらいで、国内での性犯罪や人身売買などが減るのであれば、安いものだろう。


 益々、麗しき黒の少年皇帝に興味が湧いた。一度、じっくりお話をしてみたいものだ。


 まあ、そのためにも……まずは、帝国の学院への編入試験を突破せねばならんな。


 ――おしまい――


 読んでくださり、ありがとうございました。


 短編。『親同士の再婚で義兄弟姉妹となった相手に心惹かれる理由……の、考察。~わたくし、婚約を再考することにします~』に出てたディーの話。


 某帝国の入国管理模様を……誘惑に負けて書いてしまった。悔いはない。( ・`д・´)


 でも、なぜか思ったより……タイトルはギャグっぽいのに、シュールというかシリアスっぽい話になってしまった謎。(੭ ᐕ))?


 まあ、実際にそういう少数派で社会的に悪とされたり、顔を顰められるような性癖持っちゃってる人は、性癖や自分自身が悪いという罪悪感とか持ってたりして、キツいだろうなぁ……とかも、思ってしまった。


 書いてる奴も百合スキーだし。同性愛作品を好き、というだけで異常者扱いや気色悪い、気持ち悪いとか言われたり、無暗に嫌われたりするのは少々悲しいですからね。周囲が異性愛しか認めねぇ! という環境だと大変そう……(´・д・`)


 かと言って、自分の慾望を満たすための犯罪行為や、それを正当化するのは絶対駄目ですけどね! 『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』は厳守。そして、愛や恋という名目で誰かを傷付けたり、誰かの尊厳を踏み躙るのも絶対厳禁!( ・`д・´)


 ちなみに、『親同士の~』でディーが帝国留学中に一時帰国しておうち帰って来てたのは、データ収集のため。( ◜◡◝ )


 この話の派生元。某黒の少年皇帝がはっちゃけてる話は、『腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!』です。(*>∀<*)


 感想を頂けるのでしたら、お手柔らかにお願いします。

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