日記 16
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ᵕ̣̣̣̣̣̣ 日記 16
提灯が見えなくなるまで流れていくと、夜はさらに穏やかになり、まるで温かな毛布に包まれるように私たちを抱いた。チョウは私の手を軽く引き、再び弾むような声をあげた。
「さあ、大きな花火を見逃すわけにはいかないでしょ!混む前に場所を見つけよう!」
母はその勢いに微笑み、うなずいた。
「ええ、いいわね」そして私に温かな視線を向ける。
「何かおやつでも買っていこうか?」
私はうなずき、三人で村の中心――数日前に踊った広場へと向かった。屋台はまだ賑わっていて、焼き肉の香ばしい匂い、甘いあんこの菓子、温かな餅の香りが空気に漂い、近くの海の塩気と混じり合っていた。チョウは小走りで先に行き、屋台を見回して目を輝かせていた。
「私は焼き鳥にする!」やっと決めて、振り返り笑顔を見せる。「二人は甘いものを買ってきてね!」
母はくすくす笑いながら、私たちを果物や和菓子を売る店に導いた。母は落ち着いた動きで、好きなものを少しずつ選び包んでいく。祭りの喧騒の中でも、母はいつも穏やかで揺るがなかった。
両手いっぱいのおやつを抱え、私たちは再び川辺に戻った。提灯を流した場所の近くで、花火はちょうど始まったところだった。青と金の光が夜空に咲き、私たちは草の上に腰を下ろした。柔らかな風が頬を撫で、心地よく身体を包み込んだ。
「はい、セイヨ」母が焼き鳥を一本渡してくれる。「温かいうちに食べなさい」
私はありがたく受け取り、一口かじると甘みが広がり、柔らかな肉が舌の上でとろけた。チョウはすでに自分の焼き鳥を頬張りながら満足そうに腰を下ろしていた。
「最高!」と満面の笑みで言い、空を見上げる。「来てよかったね」
花火はゆっくりと夜を彩り、一つひとつの間に静けさを残していた。母の肩にもたれながら、私の心は不思議な平和に包まれていった。
横を見ると、チョウは母にもたれ、力を抜いて花火を見上げていた。彼女はいつも生き生きとして、今この瞬間に根を下ろしている。世界は彼女には喜びの言葉で語りかけ、私には触覚で語りかけてくる。足元の草の柔らかさ、川の息の冷たさ、頬に触れる毛並みの感触のように――やさしく。私はそれを言葉で説明することができなかった。幸せとは考えるものではなく、ただ深く胸の奥で感じるものなのだ。冷たい夜霧の中で湯気を立てる温泉のつぶやきのように。
赤い花火が夜空に開き、その光が川面に映った。母は静かにため息をつく。
「子どもの頃ね、私の母はよく言っていたわ。花火は願いの夢みたいなものだって。大きく咲いて、やがて消えるけれど、その光は心に残るの」
チョウは母の肩に頭を乗せてにっこりとした。
「すてきだね、お母さん」
私は彼女を見て、胸の奥に温かさが広がるのを感じた。こういう瞬間に、私たちがどれほど幸運かを思い出す――この村に、この世界に、そしてお互いと共にいられることを。
私たちはゆっくりと食べ、花火はさらに夜空を埋め尽くしていった。けれど、その間も静かな呼吸のようなリズムを守り続けていた。
やがて母が私に静かに問いかけた。
「セイヨ……ここで幸せに暮らしている?」
思いがけない言葉に瞬きをした。この瞬間にそんな質問をされるとは思わなかった。けれど母の瞳に宿る静けさを見たとき、私は理解した。母は本当に、私が「ここ」を自分の居場所だと感じているかを確かめていたのだ。
母にとって、この村にたどり着くまでの旅は長いものだった。世界を越え、時を越えてきた。私たちはここで生まれ、ここしか知らない。でも母にとってここは、ずっと探し続けていた答えだった。
私は笑みを浮かべ、夜の温もりと、食べ物と、花火と、大切な人たちに囲まれた幸せを胸いっぱいに感じながら答えた。
「うん。幸せだよ。本当に」
母は静かに笑い、再び空を見上げた。
「それだけでいいの。私が望んでいたのは、それだけだから」
チョウは身を寄せ、焼き鳥を最後の一本取り出し、私に差し出す。
「ほら、食べて。セイヨがいると安心するんだ。でも焼き鳥ならもっと安心できるでしょ?」
母は私たちの髪を指で梳きながら、優しく揉むように撫でる。そのたびに瞼は重くなり、私は上を見上げる。母の唇は歯に軽く押さえられ、笑みをこらえているかのようにわずかに曲がっていた。花火の光を受けるたび、彼女の瞳がきらめいた。
私は小さく笑い、焼き鳥をひと口かじった。鶏肉の香ばしさと夜の甘さが溶け合っていく。
「うん、ほとんど同じくらいだね」
――その瞬間、少しだけ強く母に身を寄せたのは……本当に偶然だったのかもしれない。
その後も私たちは静かに花火を眺め続けた。夜空を埋め尽くす色彩が川と村を照らし、柔らかく揺れる光の波を描き出す。その穏やかな祭りのざわめきの中で、私は心から分かった。――これこそが私の望むすべてだと。花火が夜に溶けても、ずっと心に残り続ける、そんな単純で大切なひとときだった。
【とじ✿】♡




