ゲームの始まり
初めてゲーム転生小説を書きました。
よろしくお願いします
絶望の淵に突き落とされそうになる時もあるだろう。
それでも諦めずに、小さな一歩を踏み出していく。
その積み重ねが、いつか必ず光を呼び寄せる。
「こんなモンスター、俺が倒してやるよ!!」
茶髪の筋肉質の男は、ビルの上にて赤いマントに高級なスーツを身に纏い、銀色に輝く剣と鋼の盾を握りしめていた。
力強い遠吠えを上げる。
「うぉーーーーー!!」
赤の縁で囲われた蝙蝠の翼に赤い鱗のどデカい体。
真っ黒な電気を纏う上級モンスター『レッドドラゴンVX』に向けて、風属性の強攻撃で真っ二つにした。
だがこの巨大な力は、使い方によって善にも悪にもなる。
ゲーム『エモーショナル・アタッカー』は廃墟と化した現代都市を舞台に、主人公たちが姫を救うためにモンスターと戦うストーリー。
男がプログラミングを終えると、すでに朝になっていた。
もう三日も寝ておらず、エナジードリンクを何本もがぶ飲みする。
それでも頭がくらくらしてしまう。寝なければ。
眠くて頭がぼうっとしていたこともあったのだろう。
見知らぬファイルをクリックしてダウンロードしたら、ウイルスに感染した。
パソコンから黒い煙が出てしまう。
「古いパソコンだから仕方ないが、まだストーリーモードしか完成してねえのに!なんでだよ!!ちくしょー!」
歯を噛み締めて悔やんだ。
修理会社に修理してもらうかと考えた瞬間、パソコンが奇跡的に動いた。だが、何かがおかしい。
パソコンの画像が緑色に変色。たくさんの数字と不気味な絵で埋め尽くされていた。
何かをダウンロードしているらしく、徐々にパーセンテージが100%に近づく。
こんなものは初めて見たぞ!
「どうなっているんだ!?」
驚いた男は、パソコンの画面を勢いよく握りしめた。100%になったら読み込みが終わる。
【未完成の『エモーショナル・アタッカー』を起動します。USBを抜いて、USBコネクタを触ってください】
【そうすれば貴方は、『逵溘ヮ繝ゥ繧ケ繝懊せ』になることができます】
そのような読みずらい文字で書かれた文章が出てきた。『』の中身が完全にバグっていて、なんて書いてあるのか理解不能。
「何になれるのかな?伝説の勇者とかか?」
好奇心から目を輝かせる男はUSBを抜き取り、USBコネクタを触る。
青い電気を浴びた長細い物質が体の中に入ってきて、男の心臓に寄生。
身体中に電気が走り、筋肉や脳、神経や動脈に支障をきたした。
彼の体は細胞分裂を起こし、巨大化していく。
飼っている三匹の親子ネズミみたいに家族が欲しいという欲が強く、この父親ネズミみたいになりたいという強い願望があった。
コミュ障でずっと独身だったせいか、ストレスと鬱憤が溜まり、ずっと負のオーラを抱える。
そのせいかネズミのような耳が生え、鋭い牙と長い爪。長いしっぽと灰色の毛皮のモンスターになった。
レベルは1である。
「ギャァァァァァオォォォォ!!」
ネズミは雄叫びを上げる。
人間だった彼の背中から体に入れることのできなかった青い電気が漏れたせいで、プログラムが起動。現代の世界とリンクしてしまう。
だがゲームをすべて反映したわけではない。ガチャやダンジョンは未実装だから。
発祥の日本では早い段階で青い光に包まれ、床から現れた細い棒のような物体が人間の至る所から入り込み次々とモンスターになっていく。
「この世界はゲームと融合しました。真のラスボスを倒して世界を救ってください」
女のハキハキした声が世界中に響いたと共に、モンスターに選ばれなかったポジティブ度が高いハンターの目の前に、ステータスが突如現れる。
全員レベル1だ。
レベル1だった彼らはモンスターをたくさん倒し武器や防具、マナを強化してレベルを上げ、最後にはラスボスと勝負する。
ラスボスを倒すことで世界の平和を取り戻すとともに、ゲームから脱出することができる。
この現代社会のビルや店、住宅街はそのまま。ゲームのシステムだけが展開されたのだ。
そんな世界で、一人の転生者がヒロインを死なせないように守りつつ、復讐のために立ち上がった。
読んでいただきありがとうございました。