10 愛する人の婚約者をやると人生幸せになりました!!
クリフォードはその後、一緒にランチを食べる仲間となり、わたしたちはクラスを越えた付き合いをするようになった。
その後、順調にクリフォードと学院生活を楽しんでわたしたちは、ごく自然に婚約した。
婚約式は家族と親しい親戚だけで、スチュワート家の別荘でおこなった。式の後の親睦会が目当ての様なものだった。
そこでは王都の人気のレストラン、経営はわたし!! の料理も出した。
在学中にわたしは実家の援助で、レストランを開いたのだ。
王太子妃教育で国の経営を学んで経営に興味が出て、試してみたかったのだ。
それに時間もあったし、王室から慰謝料も貰って資金もあったし・・・それに甘やかされた令嬢よ。失敗した所で、どうってことないってこと。
だから、好きにしてみたの。
だから料理の盛り付けに、凝りに凝って見たの。
特にデザート。盛り付けたケーキの回りにフルーツソースで絵を描いたの。それが大当たり!
味は実家の味。私好みの味。貴族から見ると普通だと思う。
レストランは繁盛した。その流れでデザート専門のお店も開いた。可愛い内装と可愛い給仕の《《制服》》が評判となった。
制服を着てみたいお客様向けの個室も作った。強烈に表現すれば秘密の楽しみってことで、勿体ぶって紹介制にしてみたらすごい人気になった。
制服を売り出そうかと思っていたが、それはやめた。希少価値が下がるから。
一度制服を盗まれてから、管理を厳しくした。普通あんなのを盗むって思わないから・・・だけどいい教訓として活かしている。
制服を着て給仕ごっこをしたいってことは、店主にもなりたいかもと思って、期間限定で好きなお店を持てますって言う仕事を始めた。
貴族街に接した平民の町の空家や、空き地を買ってお店を建てた。
これも当たった。最初は飲食だったが、小間物屋。そこから、派生して文房具専門。ご先祖様のわけわからない収集品を売ったりとか・・・
後は自分で作った刺繍を売ってみたりとか・・・どのお店も赤字だが、やってる本人は楽しそうだ。
食べて行く必要のない趣味だもんね。
わたしは、お店の賃貸料と店主の心得を教える手数料でしっかり黒字だし。
それからわたしは盛大な結婚式をあげて、メールバン伯爵夫人となった。
国の方は第二王子のセドリック様が王太子になった。わたしに婚約者になって貰えたらと非公式に打診が来たが、断った。
もしかしたら、打診が来るかなと思っていたら本当に来た。セドリック様の婚約者候補は二人いたが、どちらも王太子の婚約者は力不足だったってことね。
どうなるかなと思っていたら、隣国の王女殿下が婚約者となった。
そしてある日、セドリック様と婚約者の王女様が非公式にうちに遊びに来た。
お二人をお父様は気にいったようで、後ろ盾になるみたいだ。
後ろ盾になるってことは、わたしが王子妃になるのとさほど変わらない・・・いや、切り捨てやすいってことでは・・・
いや、そんな事は考える必要がない。
だって、わたしはお気楽なメールバン伯爵夫人だから・・・
空を見上げるとふわふわとした雲が見える。あの王子妃教育で忙しかった頃の楽しみは雲を見ることだけだった。
あの、ふわふわとお気楽そうなランダさんがいたから、今の幸せがあるのかしら?
今はわたしがお気楽な雲だけど。
「ミーラー、どうしたの?準備できたんだね。今日も綺麗だ」とクリフォードの声がした。
振り向いてクリフォードを見ると、今日もすてきだ。
と思うまもなく、腕のなかに包みこまれた。
「さぁ行こうか」と言う彼の声に従ってわたしは歩きだした。
今日の公爵邸のお茶会では、公爵夫人より目立たないように気をつけるのよとわたしは、自分に釘を刺した。
クリフォードを見上げると、視線に気付いてこちらを見てくれた。それからわたしが望んだように額にキスを落としてくれた。
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