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日記的 エッセイ

ドラゴンに関する考察

作者: オーフジ

 今年も一ヶ月が経過したそうです。早いですね。毎年スロースターターな私は一月が終わるまで、「まだ新年迎えたばかりだしー」「まだ一年たっぷりあるよ?」などと吐かしては、何でもかんでも二月以降の自分に丸投げする習性があります。

 というわけで一月をいつものように無駄に過ごしたわけなんですが、これを書いている今、改めて自室を見渡してみると、十二月のカレンダーが部屋にかけられていました。新しいカレンダーは買っていません。

 そして玄関には鏡餅が置かれていました。おかしいな。今年の年始は実家で過ごしていたので、自室に置く用の鏡餅を購入した覚えはありません。あれれ? なんでだろう? などとその鏡餅を手に取って観察してみたところ賞味期限は二〇二三年一二月とありました。当然餅は足の早い食べ物ではありません。二〇二二年の年末に購入して一年間存在を私が忘れていたものなわけです。ええー、毎日玄関通っていたのに一年間気づかなかったの? と。地方に旅行に行くのを趣味にしている人間として観察力は程々の自信があったのに、これは盲点でした。二〇二四年の目標は「注意深く生きる」ということにしましょう。ね、こんな目標を二月に入ってから立てるあたりスロースターターでしょ?


 本題。


 二〇二四年は辰年です。辰とは龍のことです。ドラゴンです。十二支あるうちの一つです。ネズミから始まり猪で終わるアレです。

これらを順番に並べて見ますと、鼠、牛、虎、兎、ドラゴン、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、猪となるわけです。

 ドラゴンだけ異色すぎるのではないでしょうか? ドラゴン以外のほとんどの動物たちは日常生活で馴染みのある動物たちです。動物園に足を運べば確実に出会えます。ですがドラゴンだけはどうでしょう。

「子供の頃ドラゴンを家で飼ってました」とか「この前、ふれあい動物園でドラゴンの赤ちゃんと写真を撮ってきました」とか「意地悪やり手ババア社長の姉妹のところにお使いに行かされた帰り、同僚のイケメンおかっぱ頭が迎えにきてくれたけど、実は彼は龍の姿をしたとある川の神様だったことが発覚しました」みたいな経験をした人は、おそらくこの世に一人もいないわけです。

そんな特異な存在であるドラゴンが、ほんわかもふもふ動物たちの集団の中になぜ割って入ってきたのでしょうか。ドラゴンとはもっと上位のカテゴリーにいて然るべき存在ではないでしょうか。玄武とか朱雀とか、鬼とかなまはげとかあの辺りの「人から畏敬の念を抱かれながら、我々の上位にいる何か」として鎮座して然るべきなのではないでしょうか。十二支はある意味、場違いになっていると私は思うのです。


ではなんでこんな事態になっているのか。


私が思うにドラゴンさんは寂しがりやさんなのかもしれません。

職場に一人はいるでしょう。仏頂面したおっさんって。でも、ああいう人って実は若い後輩と遊んでみたかったり、飲んでみたかったりするわけです。

「でも、飲みに行こうなんて僕から誘ったら、向こうは断れないだろうしパワハラになるんじゃないかな」なんて心配をしては、後輩の方から誘ってくれるのを待ってるけれども誘われず仕舞いになっちゃったりね。

ドラゴンさんも実は人々から慕われたかったけど、己の禍々しくもある立ち姿のために恐れ慄かれな事の繰り返し。「もっと親みを守ってくれて良いんだよ」という思いから、あの兎と蛇の間のポジションに立候補したのではないでしょうか。

私はそうなんじゃないかなと思ってます。

だとするならば、ドラゴンさんかなり可愛いところあるじゃないですか。もっとそういうところ出してきましょうよ。YouTubeチャンネル開設してみましょうよ。ドラゴンでも登りにくい急流トップ3とかそういう企画バンバンやりましょうよ。そしたら人気出るでしょうに。幼稚園のクラス分けで、パンダ組、ライオン組、ドラゴン組なんて分けられる日もそう遠くはないのかもしれません。


ところでお気付きでしょうか。

ドラゴンさんに「僕。十二支になります」と言われて、断れる動物はおそらく世の中にいません。「いやぁ、キツくないすか?」みたいに馴れ馴れしくドラゴンと接することができる存在は一般畜生の中にいないでしょう。つまり、元々十二支の位置ポジションに収まるはずだったのに、ドラゴンさんのお悩みのせいで譲らざる追えなくなった動物がいるということなんです。果たしてそれは誰だったのでしょう。

私なりの候補を並べてみようと思います。本家十二支のドラゴン以外の動物と同じ温度感で接する機会の多い動物たちにしぼって考えることにします。

狸、狐、蟻、かたつむり、象、魚、熊、鹿、獅子、鯨、猫、蛙。

このくらいでしょうか。

ちょうど十二匹ですね。これなら「ドラゴン被害者の会十二支」が作れそうです。どうでしょう、辰年に限ってこいつらの存在を思い出してあげるというものは。

十二ヶ月に割り振って、今年の三月は辰年魚月とか。梅雨の六月はかたつむり月とか。そういう辰年限定の仕組みを作ってあげてはいかがでしょうか。ドラゴンさんだって悪い気はしないはずです。だって元々、庶民的な動物たちの輪の中に入りたくて十二支の並びに加わったわけですから、蟻とか蛙と並べられても嫌な顔にならないでしょう。惜しくも落選してしまった「被害者の会」の皆様にだって活躍の場を新たに設けることができるわけです。


そんな平和な世の中に今年もなれば良いのになと、指が疲れてきたのでここらで強引に幕引きとさせていただこうと思います。


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