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ループする世界、時を超える想い  作者: シマフジ英
30/55

30 魔女をあざ笑う悪魔

「はっはっは、良いぞ良いぞ!」

 悪魔アブタビムは使い魔の鳥を通してドリスの様子を見ながら笑った。


 東の最果てにいる最後の敵を見たドリスは相当に焦ったらしく、マヤとウィルの人間関係を放り出して新しい力を探しに行った。成果は得られず、マヤとウィルの人間関係もズタボロのまま死界に突入。魔女が憔悴している様子が見て取れ、アブタビムは大いに喜んだ。


 肉欲に溺れて愛していた男に捨てられたと泣き叫ぶマヤを見るのも、ウィルを追い詰めて苦悩させるのもこの悪魔は楽しんでいたが、世界をやり直す秘法などという特権を持った魔女を堕とすのがやはり一番悦に浸れるのだ。


 しかし、そろそろドリスの精神も限界が近づいていると判断できる状態だったから、最後の締めに入ろうとアブタビムは思っていた。


「どんな結末を迎えさせてやろうか」

 アブタビムは静かに夢想した。彼らに訪れさせる絶望のシナリオを。


 まず、ウィルをアンデッドに落としたら、マヤを徹底的に(なぶ)らせる。ドリスの目の前で。


 ウィルは魔道士としてのレベルは高くないようだが、真面目さがあるようだから暗黒の力の使い方を叩き込む。魔物型のアンデッドが使う触手を扱わせ、マヤを身動きできないように拘束させてやろう。


 理性なきただのアンデッドなら締め殺してしまうだろうが、そうはさせない。肌を這わせるだけでもマヤには生理的嫌悪を与えられるだろう。それを快楽へと変貌させ、おぞましい異形に乱れ狂わされるという屈辱を与えさせてやろう。最後には苦痛に感じるほどにさせる。元々が男との不貞に溺れた愚か者なのだ、似合いの末路だろう。恐らくウィルにはそこまで出来る素養がある。


 ウィルはそれでも悔しさを忘れられないだろう。あれは別の男に走った女への負の感情を捨てられるタイプの男ではない。どれだけ己の手でマヤを乱れせたとしてもウィルの心の闇は消えず、ますます増大するだろう。人間の絶望を見るのがアブタビムの望みなのだから、ウィルとマヤが絶望と苦痛に堕ちていく様もアブタビムを喜ばせることになるのだ。


 そして、最後にアブタビムの頭をよぎったのがドリスだ。世界をやり直すなどという特権を持つ魔女。これまでのドリスを見る限り、ウィルを使ってマヤを虐待する様を見せるだけでも絶望の底に堕とすことができると、アブタビムは確信している。その様を見るのが、アブタビムは今から楽しみで仕方なかった。


「魔女の最後をどのような末路にさせるかは、おいおい考えるとしようか」

 アブタビムは邪悪な願いを夢想しながらそう呟いた。


 そして、アブタビムは死界に侵入してきたドリスたちを観察する。


 今回の魔女一行は連携が取れていなかった。マヤとウィルの関係がぎくしゃくしていたのもあるが、デルロイもマヤに心を許していない様子だ。東への踏破速度が明らかに鈍かった。


「東の最果てに辿り着けずに終わるというのも絶望だろうが、それでは面白くないな……」

 アブタビムはある程度アンデッドを操ることができたから、ドリスたちを東の最果てに進ませることにした。そして、目論見通りにドリスたちはアンデッド・ドラゴンの前まで到達した。

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