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ゼロ転生 ~ 気ままなモブスタート ~  作者: もののめ明
変容期

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食料と水と金

先週はお休みし、今週の更新も一日遅れました。すみません…。別に病気でもないし、筆が折れかけてる訳ではないので、ご安心(?)を!

 試しにアスワドに食料や水などを背負わせ、魔導国の周囲を巡ってみた。

 それにより分かったことが一つ。

 昼間、アスワドは小さくなる。小さくなって、私の影に隠れるのだ。

 チワワほどの大きさまで小さくなったので、最初はすごく驚いた。物理法則はどうなっているんだろう。

 しかし、とにかくものすごく可愛い(小さくなくても可愛い)。私が大喜びで抱きかかえて撫でていたら、アスラが号泣して大変なことになった。

 まあともかく、アスワドはアスワドなりに自衛ができるようなので、アスワドを連れて砂漠旅をしてもなんとかなるということだ。なので、砂漠旅を敢行することにした。

 その前にしっかり準備をしなければならない。場合によると迷って1か月以上、彷徨うかも知れないのだから。

 以前、ニアムで作った保存食を作る。

 干し肉も作る。果物もあったので、砂糖漬けも作った。

 問題は水だ。

 私とアスワドでどれくらい要るのだろう?私一人なら、1日2リットルくらいか。いや、体が小さいからもう少し少なくてもいけるかな?

 しかし……生水を1か月も持ち歩けないだろうなぁ。水道水でも、腐らずに置いておけるのは常温で3日と聞いた覚えがある。

 煮沸したところで……密閉容器もないし。うーん。

 ───あ、そうだ。

 私は地下の泉に行った。

 描かれている文字や魔法陣を紙に写す。そして図書室の古い本を漁り、中身を読み解く。

 水と、風と……土の魔法も少し入っているのか。複雑だな。

 んん~、しかも、相当地下深くから汲み上げているようだ。これを携帯用に描き直して、旅で使えるだろうか?

「「「魔法使いの魔法なんぞ、妾が使える訳、なかろう」」」

「え。無理なのか?」

 テネブラエの魔術師は闇の魔法を使うから、てっきりアスラも使えるものだとばかり……。

“無理なのか”と言われたことがいたくプライドに響いたらしい。アスラはムスッとして説明してくれた。

「「「そもそも、魔法陣は魔法使いが考え出したものじゃ。人間との同化で少しずつ使える魔法の水準が下がっていったゆえ、それを補うためにの。複数の魔法を使えるようにしたり、魔力の不足を魔石で補ったり。つまり人間どもが魔法を使う者を“魔法使い”でなく“魔術師”と呼ぶのは、それが妾たちが使うような純粋な魔法ではないからじゃ」」」

「ふうん……」

「「「……気のない返事じゃな」」」

 せっかく説明しているのに、私が気のない返事をするのでアスラの眉が寄った。

 血色の瞳が剣呑な光を放って、ちょっと怖い。見た目は絶世の美少女だが、ときどきに纏う空気がやはり悪魔だ。

 ……まあ、私の“精神力”とやらが高いおかげか、アスラが気迫で押してきてもすぐに押し返すが。

「じゃあ、魔法使いが使う魔法と悪魔の使う魔法は中身は違うってことか?」

「「「何故、妾がそんなことを知ってると思うのじゃ」」」

 ええ?アスラ、いろいろ知ってるようで肝心な部分を知らない……。中途半端だなぁ。

「「「妾にとって、魔法は歩くことや食べることと同じ。誰かに教えられて身に付けたものではない。当然、他と比べたこともないし、調べたことはない。ゆえに分かる訳がない。そんなどうでもいいことを調べたがるのは、昔っから魔法使いくらいじゃ」」」

「……参考までに聞きたい。悪魔に親はいるのか?歩くことや食べることと同じと言うが、最初っから出来た訳じゃないだろう?」

 悪魔の赤ちゃん……。アスラならすごく可愛かっただろう。

 そんなことを考えていたら、くわっと目を見開かれてしまった。

「「「は?親?妾に?……主殿。それは妾にとっては侮辱じゃ」」」

「そうなのか?」

「「「妾は生まれたときから妾に決まっておる。他の低級な輩と一緒にするでない」」」

「……了解した」

 どうやら、本気で腹を立てているようなので、それ以上の深掘りは諦めた。

 ま、前世でも悪魔は木の股から生まれるとか言っていた。きっと悪魔に親なんていないし、子供時代もないんだろう。下等生物だと思っている人間の生態と同じ扱いをしては、大いに機嫌を損ねてしまうらしい。

 とりあえず、水の件は保留だ。


 魔導国の地下深くにも潜る。

 アスラいわく、奥の方に魔力溜まりのようなものを感じるそうだ。恐らくそこが魔石の採石場であろう、と。

 私は今、お金がまったく手元にない。そのため手っ取り早く高額現金化できそうな魔石を手に入れたいのだ。ニアムで稼いだ貯金がたっぷりあるものの、テネブラエを出てどこへ辿り着けるか予想もつかない以上、金を手に入れる算段をしておくことは必要だ。

 ……ちなみに身分の高そうな人間の部屋も物色してみた。

 が、明らかに高価そうな宝飾品くらいしかない。は~、金貨1枚でも見つかれば助かったのに。

 こんな高そうな宝飾品では、私のような貧しそうな子供が売りに行くと、盗品と思われて捕まるだろう。いや、持ち主が死んだとはいえ、勝手に持ち出すんだからやはり盗品か。

 バラして宝石だけにしても、たぶん、同じだろうなぁ。

 高そうな子供服もあったのでそれを着て誤魔化す手もあるが……明らかにモブ顔の私では着ても胡散臭さしか出ない。金持ちの子とは思われないだろう。アスラに着せて、私が従者のフリをするのも手だが、アスラに拒否された。実体化するのは魔力の無駄だし、フリでも“主人”にはなれぬと言い切られた。これは契約の関係上、絶対なのだそうだ。

 どっちにしろ、どういう所へ持ち込めばいいかも分からないしな。

 とりあえず魔石なら、魔物関係の素材屋で取り扱うはずだ。とはいえ、魔石は貴族が目の色変えて欲しがる品だそうだから、ヤバイかも知れないけれど(相場もよく分からないんだよなぁ)。

 ただ、採石場探しの過程で、有り難いことに私の双剣や火竜のナイフが見つかった。これがあれば、どこかで魔物をサクッと狩って金は手に入れられそうだ。

 アスラの力を使えば魔物を狩るのに剣も何も要らないが……私のコントロールがあやしいうちは、跡形もなく消し飛ばしそうだからなぁ。まったくもって難題ばかりだ。

 ───そうこうするうちに、巨大な扉がそびえ立つ殺風景な巨大空間に辿り着いた。

「「「この向こうじゃな」」」

 アスラが目指す場所に着いたことを教えてくれる。

 扉は……特殊な魔法によって簡単には開けられないようだ。

 仕方ない。ここは……遠慮なく吹っ飛ばそう。

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