探索試験の結果
筆記試験の結果が発表された。
結果としてはおおよそは俺の予想通りの結果だった。
Aクラスは宣言通り語学でトップをとり、【食料】の権利を取得した。生徒全体のレベルも高いため他の科目も軒並み上位に君臨している。
Bクラスもまた西園寺の宣言通り理数学でトップをとり、【2つ目の拠点】という権利を取得した。この権利が探索試験でどう活かされるのかは未知数なところである。
Cクラスは前評判通り総合点でトップを取り、【100ポイント】を取得。
学力に定評があるというのは本当のようだ。しかも御神楽と結託した作戦にも成功して見事魔法学と社会学でトップをとり、【探知機】と【地図】の権利を取得した。今回の試験の勝者はこのクラスと言っていいだろう。
そしてそんな御神楽率いるDクラスは、この6クラスの中で唯一クラスポイントを使って過去問を入手できているクラス。魔法学と社会学の過去問を購入するというのはブラフで、本当は生態学と語学の過去問を購入し高得点を獲得した。そしてみごと生態学のトップをとり、【決闘回避権】を取得した。
Eクラスは総合点で最下位となり【50ポイント】を失う。ただでさえクラスポイントが最下位のクラスだったEクラスだがさらに落ちていく。順当にいけば1年目の脱落はこのクラスだろう。まだ一学期しかたっていないが、そう思わせる程の落ちぶりである。
最後に俺たちFクラスだ。決闘回避権のため生態学を集中に勉強会したが見事御Dクラスに1位の座を渡してしまった。最下位こそ取らなかったが、何の権利も取得することができず悔しい結果となってしまった。
そんな内容の試験結果だったが、やはりクラスメイトたちにとっては想像を超えたものだった。
「おいおいおいおい! 嘘だろ……これは一体どういうことなんだよおお! 生態学の1位が……Dクラスだとおおお!?」
荒れ狂う岸田。――いや、それは彼だけではない。
この試験結果にクラスメイトたちは呆然、阿鼻叫喚するしかなかった。
生態学の1位は俺たちではなく、Dクラスであるということ。
その真実に頭が追いついていないようだ。
「三崎先生、少し確認したいです。この試験結果に間違いはないということで問題ありませんか?」
「ええ。科目別の平均点でトップを取ることができませんでしたが、総合得点は6クラス中4位。私としてはよく頑張ったん方なんじゃないかと思ってたんだけどねえ。何があったかは分からないけど、中山君たちの意図にそぐわない結果だったみたいね……」
教師という中立の立場上、それ以上の言葉はかけられないみたいだ。
「そんなあ。この結果を……受け入れるしかないの」
水原をはじめ教室内の雰囲気も一気に暗くなる。
クラスが何より驚かされたのは生態学の1位がDクラスであったということ。
Dクラスは唯一過去問を入手できたクラスであるが、御神楽はそれを魔法学と社会学に割り当てると宣言していた。それなのに蓋を開けてみれば、Dクラスは語学と生態学で高得点を取得――つまり、過去問を割り当てていたのはその2科目であったということ。
「要はさあ、御神楽の宣言は嘘だったってこと?」
「ええ、吉野君の言う通りよ。これはいっぱい食わされた感じね。しかも得点を見たところDクラスの生態学の点数は3876点。これは2位である私たちよりも200点近くを突き放す結果だわ。生態学にはかなり力を入れてたみたい。加えて1位ではないけれど語学の点数も高得点。信じられないけど、彼の本当の狙いはこの2科目だったようね。正直なぜこの2科目に狙いを定めたのかまでは理解できないけど」
生態学のトップ報酬は決闘回避権。
武力派のDクラスには不要の権利のはず。
それに他にも平均点トップの報酬には、探知機や地図といった魅力的な報酬があるしそれを狙うのが自然であり、御神楽自身もそう発言していた。
天藤をはじめ、クラスのブレーンはそこを理解できない。かく言う俺も御神楽と五木の会話を盗み聞きしなければ知ることはできなかっただろう。
彼らはすでに探索試験を見据えた行動をとっている。探索試験は水面下ではもうすでに始まっているということだ。
「こんな結果になってしまったのは彼の発言を信じてしまった責任。もっと慎重になるべきだったわ」
珍しく天藤が謝罪する。
「別に天藤が悪いわけじゃねえって。オレも騙されてたわ。それにしてもあんにゃろー、マジで許せねえ!」
「まあまあ岸田くんも落ち着いて。試験の日にも言ったけど、本番はこっちよりも探索試験の方だ。今回の悔しさをバネに探索試験で結果を残そう! まだ諦めるには早いと思う」
今回の試験を通してDクラスが改めて強敵であるということは認識できた。思う結果が出なくてネガティブになる生徒たちもいたが、その気持ちは吐きたいときに素直に吐かせてやるのも重要だ。
今日は悔しい気持ちを出し切って、また明日以降に切り替えればいいのだから。
そうして筆記試験は終了した。
その後三崎先生から次の試験についての簡単な連絡があった。
どうやら探索試験の詳細については当日に発表するとのこと。
教えられたのは、試験実施日は3日後であるということと、期間は1週間で場所は校外ということだけだ。
それ以外の試験内容はほとんど分からない状態。これまでの試験とは違い、対策の施しようはない。悪あがきはなしだ。俺達はその日が来るのを大人しく待つしかなかった。
期末試験――この試験が1年目のクラス退学をかけた大きな節目となるだろう。




