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合同特訓、集団戦③

天藤視点

Aクラスとの試合が始まって以降、私――天藤紫苑は姉である天藤桃香と1on1の戦いを繰り広げていた。


姉さんは明るく喜作でリーダーシップのある人間。

私とは真反対の人間で当時は彼女に憧れを抱いていた。

天藤家の伝統家業である兄弟間で行われる次期頭首争いも、兄でも弟でも妹でも、そして私でもなく姉さんに勝ち取って欲しいと数年前までは思っていた。

しかし、あるときを境に姉さんは二重人格になってしまった。


一人は人を癒やし喜ばせることが好きなヒーラー姉さん、

そしてもう一人は戦うことと傷つけることが好きなバーサク姉さん。

そんな姉さんの隠れた本性を知ってから、私は彼女のことが苦手になった。


私はこの人を次期頭首にしてはいけないと思い直した。

それを阻止するため、この学校に入学した。

姉さんを負かす。そして天藤家の頭首になるのは天藤紫苑よ。


もちろんこの模擬戦だって私たちが勝つ。

バーサク姉さんと1対1で戦うのは久しぶりだ。

とても強かった覚えはあるけれど、それでも負けたくない。


「オラオラー!!」


姉さんの杖、いや棍棒による攻撃が容赦なくふりかかる。

それを私は片手剣と防御魔法――氷鏡盾アイスミラーシールドで耐え凌いでいく。

時折、遠方から月島さんが回復魔法をかけてくれているのもありがたい。

彼女の回復魔法は体力だけでなく魔力も回復してくれるらしい。


「ほらほら反撃してきな、紫苑!!」


防戦一方だったがいい加減反撃しろと煽られたので、言われたとおりにする。

私は剣と魔法の両方が得意だ。

得意属性は氷属性と光属性。


「アイススラッシュ!」


私は装備中の片手剣に氷属性を付与させて斬りかかった。

しかし杖で受け止められる。


「ああー、冷たいのがこっちまで伝わってくる! さあ次はどうすんの?」


ケラケラと笑う姉さん。

戦っていることが楽しいのだけは伝わってくる。


氷鏡盾アイスミラーシールド!」


私は空中にいくつもの氷鏡盾を設置する。


「無造作に置いたってわけじゃないね。でも全部ぶっ潰してやる!!」

「そうはさせない、聖なる砲撃(ホーリーレーザー)!」


聖なる砲撃は光属性の高火力攻撃魔法。

私はそれを姉さんにではなく、氷鏡盾に向けて撃つ。


「は? どこにうってんの? 意味わかんない!」


どうやら姉さんは理解していないらしい。

この攻撃は彼女にも秘密にしてたからね。

氷鏡盾に直撃した光は反射し次の氷鏡盾へ。

次の氷鏡盾に直撃した光は再び反射し次の次の氷鏡盾へ。

それが何重にも連鎖し、やがて姉さんの背後を捉え直撃した。


「ぐあああっ!」と悲鳴を上げる姉さん。


そう、氷鏡盾はただの氷の盾ではない。

私の特別は魔力を込めて作った鏡のような氷であり、この氷は鏡のように様々なものを反射する。

光はもちろん相手の攻撃だって。

大きさも自由に指定できるし、使いようによっては足場にすることもできたりして、意外と便利な魔法である。

その分消費魔力は高くつくが。


もちろん設置位置と設置角度は言うまでもなく光の反射を計算したものだ。

聖なる砲撃の発射角度も全て計算済み。

というか普段からこの2つの魔法で修行している私にとっては、どこに置いてどの角度から発射すれば、光がどんな軌道を進むかなんて簡単にわかってしまう。 

反射の感覚がかんぜんに身に染み付いてしまっている。


これが長年積み上げてきた私の必殺技。

通常時の攻撃は氷属性、ここぞの攻撃は光属性。

それが私のバトルスタンス。

これを初見で避けられる相手は存在しない。

たとえ姉さんであったとしても。


「ハイパーヒール!!」

 

大ダメージを受けしばらく動けなかった姉さんだったが、背中に手を伸ばし、回復魔法を自分にかける。

さすがに一筋縄ではいかなかったみたいね。

だが、彼女も魔力をかなり消費したようだ。


「天藤助けてくれー」


そんなとき、気の抜けた声が向こうから聞こえる。

桜之宮君の声だ。

彼に対する印象は、実は能力が高いのにそれを隠している不思議な生徒――である。


桜之宮君たちの方を見てみる。

どうやら雪下さんの作った底なし沼のせいで前に進めず困っているみたい。

沼の幅は5メートル。

大きいサイズの氷鏡盾を橋としてかけてあげようか。


「いや、でもそんなことしてしまうと」


ワタシは躊躇ってしまう。

橋をかけるとなるとかなりの魔力がもっていかれる。

その後姉さんに押しやられることは確実になるだろう。

でも、姉さんに負けたくない気持ちもある。


チームを優先して橋をかけるか。

個人を優先して橋をかけないか。


私は――


氷鏡盾アイスミラーシールド!!」


自分のチーム……いえ、桜之宮君をを信じることにした。


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