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続きの話 その1

何故か続きを書いてしまいました。


すみません…続きます。


「ったく!面倒ー!」

「これを見るとつくづく男でよかったと思うよ」

「っんと、他人事だな」


今日は隣国からの来客のために夜会が開かれる。

青色を基調とした揃いの服に身をつけて王太子夫婦の初仕事だ。


「ふえっ…ふっ…ふぅ」

「だ、大丈夫か?」

「はぁ?大丈夫なわけないだろ!」

「だよな…初めてコルセット締めるの見たわ…過酷だな…」


「レイリラお嬢様、話していないでもう一度大きく息を吸って下さい!」


「だろ!すーはー、んっ…!」

「はっはい!」

「そんな締めなくても細いよ」

「だろ?ん…メアリ…もういいだろ?」

「お嬢様の晴れ舞台です。気合入れますよ。はい!もう一度!」



煌びやかに飾り付けされた大広間に着飾った貴族が次々に入ってくる。

私達は壇上から挨拶する人に笑顔を返す。


「この度はお招きいただき大変光栄に存じます」

からの…自分の家の売り込みだ。

12歳になる第一王女にはまだ婚約者はいない。皆必死だ。

レイは隣で女神のような微笑みを浮かべている。


「で、さすがだな。その作り笑顔…」

「だろ?」

「言葉遣い気を付けろよ」

「ですわね…、でいいか?…あ、いいですわね。」

「調子狂うな…あ…」


目の前にブロイトがやってきた。

「父上、ご無沙汰…「陛下!」

そう仮にも公式の場だ。

キチンと弁えろよな、

…?おや?何だか痩せたか?

「陛下、皇后陛下ご無沙汰しております。お元気そうでなりよりです」

本来なら陛下の隣、そう私の立ち位置にいるはずだった弟は少し下を向きながら話した。

「王太子殿下、ならびに王太子妃殿下においても…

「ブロイト様、私達を僻地に押しやった方達に挨拶なんて必要ないです!」

隣でギャンギャン叫び始めたのは以前はほっそりとして可愛らしかったあの男爵令嬢だ。

お前も当事者だろ…。

しかし少し太った…あ、いやかなり太ったか?


「つわりが終わり、食べられるようになったので、ついつい。ふふふ」

隣で下を向きながら頭だけを彼女に向ける弟が何だか痛々しい。


「ブロイト、元気そうで何よりだ。夫人も体調が安定しているようでよかった。」

「あ、ありがとう…ございます。」

ん?ブロイトの滑舌が悪くなった。

まあ今は公の場だからあまり追求しないでおこう。


入り口付近から声が聞こえてくる。

ようやく隣国のお客人が登場みたいだ。


見事な藤色の髪を靡かせた隣国の第二王女プリキャス様が騎士らしい男にエスコートされて入ってきた。

周りからため息が漏れる。


周りが煌びやかに輝いている。

紫紺のドレスが似合うかなりの美人だ。


「ひゅー」


は?隣で何見惚れてるんだ?


「おい、お前は女なんだぞ」

「ほーい」

小声で話すが一応キョロキョロ周りを見るが誰も王太子妃の奇妙な言動は見ていないらしい。

周りは第二王女に釘付けだ。


それから陛下の前に進み礼をした。

その流れる仕草は華麗だ。

まさに王女だ。


「大丈夫。お前は負けてないよ」

「いや。別に勝負なんてしてないから」


レイも公爵令嬢として身についたものは一級品だ。

しかし俺の前では作らない。

まあ、気を許してくれてるのは嬉しい。

しかし王太子妃の立場でボロは出すなよ…。


陛下と王女は少し話をしていた。

しかし突然彼女が私の方を見た。


「あなたが王太子のブロイト殿下ですか?」


…周りが凍りついた。

1番凍りついたのは父上だろう。

反対側の隣から皇后の冷たい風を感じていることだろう。


第二王女は淑やかに微笑みながら少し横にずれて私の前で礼をした。

私もそれに返した。


「初めまして。王太子のエイヴィリスです。こちらは妻のレイリラです。以後お見知りおきを」

レイリラは完璧なカーテシーを披露する。

完璧令嬢のオーラが眩しい。

こういうのを見ると彼女が女として王太子妃としての立場を受け入れているように思えて嬉しくなる。


「へっ?ブロイト殿下じゃない?エイヴィリス殿下??へっ?第一王子!?って…その人は…」

「その人…?」

第二王女はレイの顔を凝視していた。

何かに驚いているようだ。


「カラザイス国のプリキャス王女様、レイリラと申します。仲良くしてくださいね」


そんな第二王女の奇行に動じることなくレイが挨拶する。

さすがだ。

先ほどの心配なんて吹き飛んでしまう。

女としてのレイリラにまた惚れ直してしまう。

結婚してからこんなことが何度あっただろうか。

うまく使い分ける器用さ。前世と変わらないな。

友達であり、妻である。

私は彼が…いや、彼女が隣にいることがとても嬉しく思う。


「何、にやにやしてるんだ」

小声で話しかけられた。

このギャップがかなり好きなんだ。

前世の玲斗でありながら、今は私の妃レイリラ。

両方好きだ。

得してる気分だ。ふふふ


「は?何だ?しっかりしろよ!締りのない顔してる」

「あ、いや。レイが可愛いなって…」


私は彼女のギョッとした顔をスルーした。


「人前では…ちょい…」

頬にキスをしようとしたが両手で力一杯全力で抵抗された。

「人前じゃなきゃいいんだ」

「定番の返事をするな…」


そんなことしていたらクスクスと笑い声が聞こえた。

すっかり目の前の第二王女のことを忘れていた。


「公爵令嬢のレイリラ様は私の憧れなんです!」


私達は目を大きく見開いて第二王女を見た。


「「はっ?」」


…ちょい待て!今彼女は公爵令嬢と言ったよな?

普通なら王太子妃だろ?

はい?


「レイリラ様、あとで女同士でお話をしましょうね」

「あ…はい、光栄ですわ」


すっと顔を中央に戻してまた陛下と話し始めた。



「あー疲れた!何人と挨拶したんだ!」

「レイ、お疲れ」

「もう頬の筋肉が引きつってるよ」

「ほら、足出して。ずっと立っていて浮腫んでるだろ?暖かいタオルでほぐしてあげるよ」

「サンキュー!エイリはマッサージうまいよな。頼むよ」

「ほらほら寝て」


扉が叩かれた。


「王太子妃殿下。プリキャス王女がお呼びです」

レイが立ち上がろうとしたが腕を引いた。


彼女の体はベッドに支えられた。


「何…っく…」


私は彼女の口を手で覆った。


「申し訳ない。今は無理だ」


私は呼びに来た召使いにそう言った。


「承知いたしました」

「は?ん…っ…」

「新婚夫婦の夜に呼び出すなんて何考えてるんだ」

「…て、やめ…ろ」


力では敵わないよ。



「あー!もう!」

「なんだよ、朝っぱらから」

「可愛い女の子から誘われたのに…あー!お前のせいだ」

「いやいや、誰のせいでもない。お前は女に転生してるんだ。何が可愛い女の子だ」

「エイリ!それはわかってる。だけど敢えて言わせてくれないか」

「何を?」

「あー!一度でいいから女の子とデートしたかった」

「って、彼女いなかった?」

「いなかった!みんな友達、いい人止まりだ」

あー、たしかにそんな感じだったな。

「なーんだ、彼女いなかったのか」

安心したように小声で言った声は彼女の耳に届いたようだ。

「お前こそ…あ…いや」

おっ、わかってるじゃないか。

「俺は玲斗一筋だったからな」

「…だから!無いって!」

「過去形だ。今はレイを心から愛してるのだから」

「…って…あ、いや」

真っ赤になって可愛い。

「いいかげんに今を受け入れてくれよな」

「ちょい、待て!朝から…」

「可愛すぎ」


焦った表情は玲斗のままだ。

しかしその中にはにかむような表情を見せる。


「もう、どっちも好き過ぎる」


とろけそうな顔はレイリラ。

二兎を追って二兎とも手に入れたって優越感。


しかし気にかかる。

プリキャス王女が王太子がブロイトと思い込んでいたこと、レイのことを公爵令嬢だと言ったこと。

もしかしてプリキャス王女は転生者なのか?







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