後編
陛下の前に連れ戻された私は頭を下げた。
「レイリラ嬢、申し訳ないが今日の結婚式を辞めることはできない」
確かに隣国から招待客は来てるし、国を挙げての一大イベントだ。街もお祭りでし、この後パレードなんかもある。
その為いろいろな準備がされ、警備もしかれている。たしかに今更辞めるはないだろう。
しかしブロイト殿下が暴露したのは少し前だよな?
その時中止にできなかったのか?
まあ、仕方ない。
陛下の顔を立てようか。
「たしかに私もそう思います」
「じゃあ良いか?」
まあ、ブロイト殿下と結婚式だけあげる真似をすればいいのか。
「しかし、申し訳ありませんがいくら結婚式を挙げたとしてもブロイト殿下と結婚はできません。」
「わかっておる。だからエイヴィリスを呼んだんだ」
「は?」
だから?
おっしゃる意味がわかりかねますが?
「レイリラ嬢、私からお願いする…あ、いや。国王から命令する。そなたは今からエイヴィリスと結婚式を挙げるのだ」
「はぁー?!」
「レイリラ嬢、突然で驚かれたと思いますが、末長くよろしくお願いしますね」
「ちょっと待て!俺は「私は!!」
「私…私はあなたと結婚はできません」
「私が嫌い?」
「あ、いえ。そのようなことは決してありません」
「じゃあ決まり!よろしくね」
「は?はい?」
で、何で俺は前世の親友と純白のウェディングドレスを着て神の前で永遠の愛を誓い合うのか?
何で目の前の友人は俺のヴェールを捲り上げてキスを落とす?
何で笑顔で馬車の上から笑顔で手を振っている?
何でずっとこいつは俺の肩に手を回してる?
何でギュッと自分の方に引き寄せている?
で、何故、今、初夜用のすこし怪しい寝着を纏って俺はベッドに座っているんだ?
何故、隣にはエイヴィリス殿下がいるんだ?
「ちょっと待て…俺はお前と結婚なんてしない!」
「無理。さっき結婚式で署名したよね?もう私達は神の前で誓いあった夫婦なんだ。君は私のもの、私は君のもの」
「でもこんな…耐えれない!」
エイヴィリス殿下の息が首元にかかる。
いたずらっぽく微笑んだ顔は前世のままだ。
だから尚更こいつとの間に今から起こることを考えたくなくなる。逃げたくなる。
彼の胸を思いっきり押した。
しかしその手首をあっさり掴まれた。
「だから何度も言ったよね?君は女なんだよ。私に力では敵わないよ」
「ちょい待て!」
「待たない」
「だから胸触るな!ふっ…」
「せっかくの初夜なんだからもう少しムード出してよ。ほら、レイリラ嬢、あ!そうだ私のかわいい奥さんだからレイと呼ばせてもらおう」
「えっ!それは…」
「いいだろ?レイ?」
「それは…あっ…脱がすな!」
「だから君と私はもう夫婦なんだから何も拒む必要はないよね」
「おい、こら!…」
「観念してね」
「あっ…おい!」
ベッドにパタリと押し倒された。
どうも頭は前世のことを引き継いでいたが体は女として確実に成長していた。
次第に嫌な気持ちは抵抗ないものに変わっていく。
「あ、その顔、ようやく受け入れてくれるんだね。何も考えられなくなる前に一つだけ教えてあげるよ」
「な、何…?」
胸に顔を埋めながらエイヴィリス殿下は言った。
「前世からお前が好きだった。男同士だし、お前はその気はなさそうだったから黙っていたんだけど、何度押し倒そうと思って見ていたか。あーようやく夢が叶うよ。いくら転生しても君は君だ。仕草、表情は変わらない。愛しいよ。ずっとこうしたかった。」
「…エイヴィリス殿下……」
「嫌だな。違うだろ?お前にはわかるよな?」
「エイ……リ?」
「そう。いい子だよ。愛してるよ。前も、今も、これからも。ほらちゃんと俺を呼んで、玲…」
「瑛莉…」