前編
単に短編描きたくて…
物語の構成上
前、中、後
にわけましたが短いです…すみません
今日中にはアップします
「申し訳ない、レイリラ嬢。ブロイトとの結婚はなかったことにしてくれ」
純白のウェディングドレス、ヴェールに身を包んだ私の前で陛下が深々と頭を下げた。
結婚式当日に新郎の親である陛下が私の控え室を訪ねてきた。
陛下は私が礼を取る間もなく言葉を発した。
私は今日、この国の第二王子と結婚式をあげることになっていた。
しかし…
「そんな…」
「そなたには非はない。全て出来の悪い息子のせいだ。本当に申し訳ない」
陛下は再び頭を下げた。
「陛下、頭をお上げください。そして理由をお聞きかせ下さい」
そう私が陛下に声を立てた途端部屋のドアがバタンと開いた。
金髪に緑色の瞳。
きらきらした王子様が登場した。
「非が無い?そんなこと無い!!こいつはセーシェをいじめていたんだ!!」
その王子様の後ろにいた水色の髪に、青い瞳の可愛らしい少女は首を縦に振った。
「ブロイト、黙れ」
陛下の一言に肩を上げたかと思うと二人して数歩後ろに下がった。
やだやだこんな小さい男。
私の結婚相手には不向きだわ。
「しかし、私はレイリラ様にいろいろきつく当られたり、水をかけられたりしました。事実です!」
…きつく?水?
ああ、あのことね。
「私は…私はセーシェル様がレポートを提出されないのを先生から相談されて、出していただくようにお願いしただけです…。あと、水をかけようとしてかけたわけではありません。あの時近くに毒蛇がいました。毒蛇の魔獣は水に弱いとなにかの文献で読んだことがありました。ですので毒蛇にむけて水の魔法を使ったら、たまたまセーシェル様が飛び出してきて…」
「何よ!私が悪いって言うの!」
「セーシェは悪く無いだろ!お前が婚約者の俺がセーシェに構うのが嫌で嫌がらせをしたんだ!」
…毒蛇に驚いて慌てふためいて転びそうになったのはあなたでしたよね?
「お前たちは黙っておれ!だいたい結婚間近のやつが他の女にうつつを抜かした上、孕ませるとは何事だ!」
「はら…?ブロイト殿下…まさか…」
二人はバツが悪そうに下をむいた。
しかしセーシェル様はすこしにやりとしましたわよね?
私は手を口に当てた。
「レイリラ嬢…本当に申し訳ないが、そういうことだ。ブロイトとの結婚は白紙とさせてくれ。そなたの今後については私が責任持って何とかする。宰相もそれならと言ってくれた」
お父様はもうご存知だったわね。
何も言わなかたけどさぞかしお怒りになられているでしょうね。でも今朝は変わらなかったわね。
気持ちを顔に表さないことは素晴らしいです。
さすがこの国の宰相だわ。
私は陛下に向かい頭を下げた。
「私が悪かったのです。陛下が謝る必要はありません。フロイト殿下の気持ちを繋ぎ止めれなかった私が悪かったのです。申し訳ありません」
私は頭を上げてくるりと後ろを向いて。陛下に背を向けた。
「レイリラ嬢」
「申し訳ありません…一人にさせていただけないでしょうか?」
「申し訳ない。」
この控え室には庭につながる扉がある。
私は足を進めて扉に手を当てた。
ゆっくり扉を開けて、庭に出た。
さらに前に足を進ませた。
すると、いきなり私の行手を一人の青年が遮った。
「レイリラ嬢」
第二王子と同じ金髪。瞳は薄い紫だ。
彼はにやりと笑って私に近づいた。
「ブロイトとの結婚は無くなっみたいだな」
私はコクリとうなづいた。
「よかったよ。これで私の長年の願いが叶うな」
「あなたの願い?ん?」
私は首を傾げた。
しかし次の瞬間、彼は私の手を引いて再び陛下の前に連れて行った。
「父上、さあ初めましょうか」
第一王子のエイヴィリス殿下が声を張り上げた。