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刺繍

作者: 湯治

この、ボロ雑巾のように継ぎ接ぎだらけの体を、どうか縫い合わせて類い寄せてくれないか。


____否、出来ぬ____。


私は悔しく、そう思う。

縫い合わせたとしても、元々の出来や材料が違うのだから何時しかは、解れていくのは分かっている。

綺麗に縫い合わせた後、あの、見すぼらしい、鬱陶しい姿に戻ってしまうなら私は初めから、ぼろ雑巾でありたい。

私のような日陰者は孤独でいいが。どうしてか、欠けている所を一時的に縫えても解れていく。どうも、癒えないのだ。

さうして、破壊衝動を行いたくなってしまうのだ。人間の恥だ。恥を知れ。

そう思えてしまう己が怖いか。

そう、不安ばかりを考えてしまうこの、沢山の火薬が詰まれている爆発寸前の頭が恐いのか。

私は怠け眼を見開き、脳を目覚めさせると、自然と頭の中にある言語を類い寄せ繋げる。そしていつしかは、こんな簡素で容易なことも平然と衰えていくのだろう。

___嗚呼、羨ましい____。


私は虚ろに先を行く者達を御覧になると、そう、又思いに浸る。

人と人を繋ぎ合わせ子を産む為だけに生まれてきたのなら、こんな生活というものも言葉も嘸、不必要だろうが。

温もりが、誰かの優しさに触れていたい。もっと言えば泣き言や喚きを含め抱きしめられていたい衝動に刈られてしまう。

こんなボロボロで形が整わない人間でも、一時的だけでも満たされたいことは、ごまんとあるのだ。

そして、満たされ、一時的に出来た編み物は糸止めされずまた一からやり直すことになる。その繰り返しの作業をするばかりで永遠と未完成なままなのだ。

かうして、現に私は、未だ未完成で不安定である、物語の終止符がそうであるように完成はこの世を絶ってから安定しようと、させようとするのだ。

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