第二話・初めの一歩
最近、学校のフレンズに今日うるさいねって言われたんですよ。その返しとして「違うよ、毎日うるさいんだよ」とふざけて言ったら何故か納得されてました……心当たりがありすぎなんで否定はしませんけどね。
しかし!作者の豆腐メンタルは無情にも切りつけられていた!
HP100/100→HP97/100
ちなみに、センスのないサブタイはいつも通りです
……とりあえず、今後のために俺のスキルを試したい。だけど試せる度胸が無い。……てか、使い方が分からん。
おそらくあの化け物とやらにするのは間違いないだろう。従魔師ってなってるし。テイムはそれに関連してるはずだ。
くそ、せめてあの神がなんか説明くれればこの状況も少しはマシになってたかもしんないのに。……まぁ、今更無いものねだりしても遅いんだがな。
でも、このステータスはどうかと思う。こんなの無理でしょ。だってどうやってテイムとやらをするんだよ。やり方も分かんないのに攻撃方法は素手のみ、防御力もほとんど無し、HPは多いのかも分かんないし、相手の攻撃力もどれくらいか分かんない。
例えるなら、購入したゲームは攻撃力ほぼ無のキャラが主役、初期リスポーンは化け物がウジャウジャしてる森で説明書は捨ててるから自分の能力は詳しくは分かんないし相手の能力は未知数。……無理ゲー過ぎだろ!!
まずなんだよ攻撃力ほぼ無って!まぁそうだよな、攻撃力がFって、普通に考えたら多分こん中で一番低いんだと思う。
それでも頼みの綱として、異世界だから魔法もあった。けども……魔法適正で攻撃っぽいの無くね?補助魔法で肉体強化とかも良いと思うよ。でもさ、やり方が分かんないんだよ!!
次は化け物がウジャウジャしてる森。流石にスライムとかそういうのにしてくれよ……まぁ、犠牲なんだからスポーン地が定まらないのだ、仕方あるまい……。
そしてやっぱりこれが一番言いたい。…………せめて説明しろやあのくそ神がぁぁぁあっ!!!
マジでありえねぇよ!いくら犠牲だからってさすがにある程度ここはこういう世界だとかは言ってくれても良いんじゃない!?
やっぱりあれか!犠牲者で敗者の俺にはそれすらも知る権利は無いと!?それ遠回しに死ねって言ってるじゃないかよ!!マジで犠牲じゃん!!てか、今更だけどなんで犠牲なんて作る必要あったの!?
「…………はぁ……、にしても、この洞窟まだ奥あるんだよな」
……とにかく、頭の中で言いたいことは全部言った。後やることは自分の能力の把握。あと、この従魔師の文字が本当なら、あの化け物をテイムとやらすれば、仲間にできる──はず……。
いや、無理かもしれない。あんな化け物と友好関係が気づけるとか……命捨てないと無理だわ。
そんな事を思いながら、もしもこの世界にあんな化け物しかいないのだったらと考え、深いため息が出る。
とりあえず、この洞窟を探索しても良さそうだな。奥に続いてるが、脇にある空間に俺は今いる。この穴は休憩スペースの様に見て取れる。
……とりあえず、ここを仮の拠点として奥に行ってみたいと思う。パンやペットボトルは置いておくとして、ランタンにマッチで火をつけて灯りを確保した上で行くべきだろう。
……しかし、この攻撃力ほぼ無の俺が行ったとしても化け物が出たら即死だろう。テイムをすれば良い?だからやり方分かんねぇんだよ!
「でも、行くしかねぇよな……」
それでも、この洞窟はあの森に比べたらいくらか安全だと思う。
理由としては、さっきから居て喋ってても何も来ないのと、奥に行ったとしても、一方通行だから不意打ちは無いはず。天井とかに張り付いてたらキツいけどな……。
「とりあえず、荷物纏めといておくか」
___________________________________________
「………………………………」
あれから約1時間後。特に何の進展も無いまま歩き続けていた。
もしも化け物がいたらという事を考え、声は一切出してない。
「…………あ、何だここ?」
変な開けた場所に出た。
洞窟のはずなのに、光があって、木が所々に生えてて、中央に湖があって。……うん?
「あれは……人か?」
その湖には人が浮いていた……いや、立っていた。綺麗な青色の長い髪を垂らし、目を瞑ったままで。
その光景に俺は目を奪われていた。どれくらいしたのだろう。その人物は目をゆっくりと開け、こちらへと顔を向ける。その瞳は髪と同様に碧く、遠くから見ても吸い込まれそうなほど透きとおっていた。
「人間か……。貴様の名は何だ?」
「……俺の名前は『マサヤ・ミズノ』。気づいたらこの外にある森にいた。あんたの名前は?」
「私か?私に名前は無い。貴様と一緒で気づいたら知らぬ海で生まれ、そしてここに辿り着いた」
「名前が無い?気づいたら海にいた?神に会ったりとかはしたのか?」
「神とは何だ?」
ん〜?それじゃあ俺と同じで飛ばされた訳ではないのか?ってことは転生者じゃない?
「言い忘れていたが、名前は無いが種族名はある。『ヨルムンガンド』だ」
……うん、納得。確実にこの世界の住人だわ。しかもヨルムンガンドって一応神話とかの化け物だよね?それだったら会話も出来るんだし今テイムのチャンスじゃん。
そう思い、俺はヨルムンガンドへと近づき、ある頼みごとをする。
「あのさ、特になにもないんだったら仲間になってくれない?」
「……仲間?」
「そう。実は──」
これまでの経緯を話して、自分の今の状態も説明する。
ヨルムンガンドは頷きながら無言で聞いてくれていた。そして、全て言い終えたら「なるほど」と呟き口を開く。
「──要するに、自分の能力は詳しくは分からないし、すてーたすとやらを見ても攻撃力が無い。だから私を仲間にしたいと」
「そうなんです……」
……なんだろう、改めて言われるとヘコむな……。若干へこみながらもヨルムンガンドの返事を待つ。すると、
「……仲間になってもいいぞ」
「マジで!?」
本当に言ってるのか!?何か裏が、
「あぁ。……しかし、私にメリットはあるのか?」
「それは……」
喜びも束の間、俺のテンションは一気に下がった。
なぜなら、ヨルムンガンドが納得するようなメリットはないからである。逆にデメリットしかないだろう。そんな事を言えば仲間になどなる筈もない。
「……やはり貴様も私の力だけが目的なんだろう」
「っ!?」
「そこに私の自由がないのなら、お前をただ護るだけというのなら、私は今ここでお前を殺しここでの安寧の日々を再び過ごそう」
俯いた俺にさらにさらにと言葉がのしかかる。……確かにその通りだ、俺は力が欲しい。この世界を生きていける力が……。
……でも、それだけではない気がする。確かに力も必要だ。けれども、ヨルムンガンドを見て何かがつっかかっている。あと少しで出そうな、そんなもどかしさが俺を襲う。そして、ふと顔を上げたその時だった──、
「何で泣いてんだよ……」
俺の目の前まで近づいたヨルムンガンドの目から涙が溢れていた。
それには本人も気づいていなかったらしく、その涙を拭うように目を何度も何度も擦る。それでも何故か止まらない。
近づこうとした俺は、改めてヨルムンガンドを見て気づく。
最初に出会ったような本能だけで動いてるような化け物とは違う、人と同じような体。考え。感情があるという事に。
……俺は力が欲しいからといって、相手の事など考えてなどいなかった。でも、ヨルムンガンドは女の子なんだ。気づいたら洞窟にいて、自分の力を狙ってくる奴がいるのだ。それは不安になるだろう。
「……なぁ、お前これまでどれくらいの奴に目つけられた?」
「そんなの……覚えてるわけがないだろう……!」
「そいつらはお前の力しか見てなかったのか?」
「そうだ!最初の奴は力を貸したあとは私を殺そうとした!次もそのまた次も力を貸したあとは私を殺しに来た!!どうせお前もそうなのだろう!?
私の力は強大だ!故に敵味方関係なく私に恐れる!そんな力を欲する者など……全員が敵だ!!」
……何を言うかと思ったら、俺がヨルムンガンドを殺す?
「ハハハ……それは無理だろ」
「っ!?そうやって嘘をついて──」
「何回も言わせんな、俺は攻撃力がねえんだよ」
「……」
俺の一言に黙るヨルムンガンド。しかし、なんか思いついたのか顔を上げ口を開く。
「私が寝てる時に殺すかもしれないじゃないか!」
「なるほど。確かに、寝首をかこうと思えば出来るのかもしれないな……」
「ふっ、そうだろう!?だったらお前も敵だ!私はお前に力などやらん!」
「ならば実演してみせよう!」
そう言って、俺はポケットに入れていた物へと手を伸ばす。
「いいか、コレはナイフだ」
このナイフは、道中見つけた遺体から拝借したものである。刃こぼれなどなく。綺麗な色をしたナイフだ。
「なんだ?それで私を殺そうと?」
「コレはこの通り、殺傷能力がある」
そう言いながら俺は自分の手へとナイフを突き立て、浅く切る。すると、そこから血が出て若干だが痛みが襲う。
「悪いんだが、これでお前も軽く切ってくれないか?」
「バカ言え!毒でも塗ってあるのだろう!?」
「それなら俺も一緒に死ぬだろう」
そう言うと再び黙るヨルムンガンド。
「頼む、証拠を見せるにはこれしかないんだ」
「……いいだろう」
そう言って自分の手に浅く傷をつけるヨルムンガンド。その手は浅く切れ、俺と同じように血が出ている。
「ほら、傷がついたではないか」
「それじゃあ、今度は俺がお前を切るぞ?」
「だから貴様は何を言って──」
「これが証拠なんだ」
俺はそう言ってヨルムンガンドからナイフをもらい、ヨルムンガンドの腕へとナイフを切りつける──が、その途中、金属同士が擦れるような音がし、ナイフが通った場所にはなんの跡も無かった。
「……おい、貴様今何をした?」
「切りつけたんだ」
そう、ただ切りつけただけ。ヨルムンガンドを傷つけようと明確な敵意を持って攻撃をした。……しかし、それが俺には出来ない。
理由を話すために少し回想に移るとしよう──
──はい、話は戻りまして。俺、雅也は三十分ほど前に、少し大きめの蜘蛛と遭遇した。あまり日本じゃ見ないようなサイズのやつだ。それが巣を洞窟の通路一杯に張っていた。仕方ないと思い、俺は蜘蛛を殺すことにした。万が一巣を刺激して、毒を持っていたら襲われると思ったからだ。
俺はしっかりと狙いを定め、ナイフを投げた。結果は……当たりはしたが、殺せはしなかった。金属がぶつかる音がして、ナイフは地に落ちのだ。音のせいかは分からないが、蜘蛛はその場からいなくなり、通ることは出来たのだけれども……。
それから推測できることは、俺の攻撃力の低さはただ低いだけではなく、そもそも攻撃する事が出来ないのでは?ということである。
「まぁ、これ自体賭けだったんだけどな……」
そう呟きながら、苦笑する。
「で、どうだ?これでお前を殺せる確率はゼロだ」
俺はヨルムンガンドに勝ち誇ったように笑い、どうだと言わんばかりに手を広げる。
「…………お前は何故そこまで私にこだわる……」
「何故って?」
そんな俺に、ヨルムンガンドは俯き、震えながら言ってくる。そんな言葉に俺が聞き返すと、キッとこちらを睨みつけ、叫ぶように言葉をはく。
「そこまで私に構う理由などないだろう!なのに何故私なんだ!?何で何回も裏切られた私なんだ!?お前がどれだけいい奴だとしても、他の奴らは私の力を利用し、嫌い、憎み、恐れ、殺そうとしてくるんだ!!またそんな世に身を投じろと言うのか!?私は……私は、もう嫌なんだ……!」
そう言って、その場に蹲り泣き始めるヨルムンガンド。その姿に、俺はもう化け物としての力をもったヨルムンガンドではなく、人としてのヨルムンガンドを見ていた。
……その言葉には、どれだけの期間感じた悲しみがこもっていたのだろうか。信じて裏切られ、それでもまだ信じ続け、ヨルムンガンドはいくら心が傷ついたのだろう……。
「……ふざけんなよ……!」
俺は拳を血が出るほどに握りしめ、これまでヨルムンガンドに酷い仕打ちをした奴らを憎む。そうしたところで何も変わるわけではない。だが、思わず口から出たのだ。
「ヨルムンガンド!俺は力もなんもねぇちっぽけな人間だ!だからこそ、お前の力を望む!!…………だがな、それ以上に欲しいもんが今できた!」
「……他にも何かあるというのか……?欲がはった人間だな」
「あぁ、俺は──お前が欲しい」
「なっ!?」
……この条件が、ヨルムンガンドにとってメリットになるかは分かんない。けれど、これは今言わなくてはいけない。これまで傷ついたヨルムンガンドだから、傷つけた人間だから言わなくてはいけないんだ。
「俺はお前を裏切らない!
嫌になったら殺してくれても構わない!
貸してもらった力の分だけ俺がお前の『力』になってやる!
お前は幸せになる権利だってあるんだ!そのためだったら俺はいくらでも犠牲になってやる!!
……だから、この世界を生きるための『相棒』になってくれ」
……俺が言ったメリットは、『気に食わなければ殺していい』『万が一の場合は、身を呈しても守ってやる』。上手く言葉に出来なかったが、伝わっただろうか……?……てか、これメリットとは言わないか……。
「……それは『そういう事』と受け取って良いんだな?」
……ん?そういう事ってどういう事?
冷静になり、先ほど言った事を考える。………………って、これ告白じゃねぇか!なんだよ「お前が欲しい」とか!どんだけ上から目線なんだよ俺!!
「どうした?……もしや、私を騙そうとしているのか?」
「いや、違う!それは違うんだけど──」
「……なら良いんだ。でも……」
「でも……?」
「……その、いきなり『パートナー』は早いと思うのだ。だからだな……まずは……『仲間』から始めさせてくれないか……?」
……当初の目的とは違うけど、とりあえず仲間にはなってくれるみたいだ。……にしても、今さら誤解だとか言えない雰囲気だよなぁ……。
などと思いながらも仲間を手に入れたことにより、心に余裕ができてこの世界に来て初めて笑っていたのに、マサヤは気づいていなかった。
まえがきでふざけたのであとがきは特に書くことはありません。強いて言うなら作者の体力がゼロになるとこの作品は消滅します。体力を回復するには優しい感想をいただけると回復することができます。作者的にキツイ感想がくると10持ってかれます。
という露骨に感想をねだっていくスタイル。




