十年前 2
オルガは王立魔術学園の校長室にいる。
指令書の件でキャンプ実習の詳細を訪ねた所、校長室に通された。
「此度の件此方も頭の痛い事で困っておりました。猛将と称される貴方様が護衛について下さるなら願ったりで御座います」
恰幅のいい校長は栄養が頭髪にいかず髭に行ったか見事な髭を蓄えたつるっ禿げだ。
「実習チーム構成は医術師科生2名騎士科生2名魔術師科2名となっています。此方がその、王子の班のメンバーでして…」
校長は言いにくそうにしつつ一枚の紙をオルガの方に差し出した。
「な、んだ…と…」
メンバーリストを見てオルガの背にイヤな汗が流れた。
1、班長 医術師科 シダ=フローティア(医術師科学年1位)
2、 医術師科 デレル=クライス=ダリスター(王子)
3、副班長 騎士科 リスト=メレリア=ダリスター(王弟)
4、 騎士科 アウレリア=ミア=ハールーン(王弟派貴族令嬢)
5、 魔術師科 グンター=バッツ(魔術師科学年1位)
6、 魔術師科 ティレイト=ギバ=カモン(王子派貴族令息)
王子と王弟が同じチームなのか…オルガはメンバーリストを確認後校長を睨みつけた。
ヒィッ と校長が悲鳴を漏らす。
「ふふふ普段、デレル様とリスト様は仲が、おおおよろしくあらせま、ま、まして…
アウレリアはリスト様の身の回りのせ、せ、世話をする従者で。
ティレイトはデレル様の小姓にご、ございます」
普段から2人の世話をする従者と小姓、王子と王弟から離すわけにいくまい。
「グンターは魔術師科といえ生徒会長を納める秀才、何かの時はお役に立つと思われます」
医術師科のトップの方が学校一頭がいいのでは無いのか?班長だし。そう思って尋ねると、
「班長は医術師科生、副班長は騎士科生と決まっております。 その…デレル様は、あー…成績の方がナニでして…」
言いにくそうにする校長。
シダは王子の専任指導生徒。指導生徒というのは成績の思わしく無い貴族の生徒に付けられる。指導生徒に選ばれる事は教師に優秀と認められたという事だ。学院では教師が個別指導することはできない。これはどこの学校でもある制度だ。だが専任というのは珍しい。
「王子に指導できる生徒は皆無でして、成績はデレル様よりよくても王子に指導するとなると皆恐縮してしまうんです。ひどいものは答えが間違っていても『流石でございます、デレル様!』とか言ってヨイショしようとする有様で。」
そんな事では一向に王子の成績が上がる訳わなく2年ほど前からシダを王子専用の指導生徒に抜擢した。
「シダは性格というか態度というかその、ちと残念なところのある生徒で…」
シダ自身も最初拒否したが奨学生の彼に奨学金停止をチラつかせ無理矢理受けさせたとか。
思いの外相性がよかったのか王子の成績もチョット上がり、また王子自身もシダに懐いていると言う。
王弟もシダに一目置いているらしい。
そんなこんなのチーム組という事だが、トドのつまり『厄介ごとはひとまとめ』という気がする。
しかし二人が同じ班ならかえって外から手出しし難い、最善の手とも思える。
「了解しました」
オルガはその後護衛の役割について詳しく説明をうけた。