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《異世界の主人公共へ》  作者: 菜季滅入
《魔王軍の復活計画始動》
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《不思議な再開。先代魔王》



侍の部屋を通り抜け階段をおりて行くがそれ以降の階段では罠は一つも発動しなかった。

あの罠は初見殺しってとこか。

まるであいつの考えるような罠だな。

あいつと言うのは先代の魔王のことだ。

罠を作るのがうまい人間の女で魔法と剣術にも長けていた。

今思えばあいつ凄い女だったよなぁ......性格に難があったけどさ。

俺が殺され...ああ違う。自殺した後に勇者と戦って倒されちゃったんだろうな。

その後のことは俺一回死んでたからわからない。

だがもしも、生きてたらパンドラの側近にしたいな。

正直、彼女を超える魔王を知らない。

初代も強かった気もするけど......覚えてないからなぁ。

しかし、パンドラの潜在魔力量は歴代魔王を凌駕している。

もしかしたら【呪文】だけなら歴代で一番かもな。

肉体面は【呪文】で補えるだろ。

そんなことを考えていると広間が見えてきた。

今度は何が待っているのかワクワクしながら部屋に足を踏み入れると矢が眼前に迫っていた。

矢は的確に俺の脳を貫く。素晴らしい腕をお持ちのようだ。


「そして痛い」


脳天に刺さった矢を難なく抜き、平気そうな顔をしていると犯人の女は驚いていた。


「い、痛いで済むか!?脳天に当たったんだぞ!」


矢を放った相手の印象は、一言で言えば美人。

身軽な格好をしていて狩人と言うのが正しい。

武器は弓矢と刃が長身のハンターナイフ、腰には小さな瓶が備えられそれぞれ色の違う液体が入っていた。中身は多種多様性の矢じりに塗る毒だな。正直、さっきの侍より殺してくれそうだ。


「不老不死です」

「くっ!貴様、ゾンビだな?何しに来た」


何しに来たと言われても正直怪しい手紙見つけて楽しそうだなぁと思いつつ、ここに来たわけであって目的は無いんだよな。


「強いて言うなら好奇心が沸き立った?」

「は、はぁぁ?」

「それと暇つぶし?」

「や、やりにくい!あいつに似ててさらにやりにくい!」


こうゆうセリフってひどいと思いませんか?みなさん「THE八つ当たり」ってやつですよ。


八つ当たりと言うのは本当に理不尽な行動だと思うわけですよ、だから俺はこいつに教える。


「八つ当たりする人は嫌われるよ」

「う、うるさい!」


この子の沸点は低いようだ。金属よりも良く熱を通しやすそうなぐらい短気だ。


俺が悪いんじゃないかって?正論を言っただけだぜ。人間は正論を言われればイラつきやすいんだな。


しかも俺は魔物で人間の敵だとしても部屋に入った途端に攻撃を仕掛けるのも礼儀がなってないと俺は思うね。


「名前も言わず襲ってくるのは礼儀がないな」

「いちいちうるさい!あたしはエンリよ!」


.........エンリ?気のせいかな、そう聞こえた気がする。絶対に聞き間違いだ。生きているわけがない。俺が死んだわけだし、生き返ったけど。


「あのぉ?もう一回名前言っていただけませんか?」

「あたしはエンリだって言ってるでしょ!耳遠いの!?」

「マジで............?」


疑いたいけど顔似てるなと思っていたし、罠も本人が作ったものとくりそつだ。


性格も喋り方も全てにおいて似ていると思った矢先、名前を言われたらもう確定だ。け、けど念のために聞いておこうか...........


「...........せ、先代魔王?」

「え!?な、なんであたしが魔王だって......って先代魔王?」


マジかよ。探す意味なかった。でも逆に好都合かも神様っているんだな。


あ、俺敵側か。そんなことはどうでもいい。魔王だってバレたからか、ちょっとパニックになってる。


「あんたまさか......ゆ、勇者なのか!?」


そりゃあいきなり自分の正体が魔王だとバレれば勇者が自分を倒しに来たと思っちゃうよな。俺のこと覚えてくれているかわからないが聞いてみよう。


「俺だよ、土の四天王」

「え?生きてたの!?」

「言ったはずだけど?俺死なないって」

「忘れてた」


先代魔王ーーエンリ曰く、勇者が俺を倒した後、エンリのところまで辿り着いた勇者は彼女の姿を見て魔王だと思わなかったらしい。


魔王の部屋に着いた勇者達は「さっきのが魔王だったんじゃね?」となり、エンリは人質の類だと思われて半ば拉致に近い形で連れてかれ今に至るそうです。


まあそうだよな。俺、人間から選んだし魔族じゃなく人間の姿みれば魔王とは思わないよな。


エンリが生きていてくれたのは本当に嬉しいよ。けど、久々に会えて嬉しいからと言って抱きついてくるのはどうか。


こいつは物凄い剣術と魔術の才能持っていたから魔王にしたけども魔王になる前は捨て子だったからな。


甘やかしすぎてか子供っぽくなったんだよ。親の優しさ知らないからしょうがないだろうけど、これはどうかと思う。


「ツッチー!また、あたしを魔王にしてくれるの?」


ツッチーって......まああの時も名前忘れてて好きに呼べって言ったら呼ばれるようになった。由来は土の四天王だからだと。


「いや、魔王はもういる」

「そうなの?じゃあ、なんでここに?」

「現魔王の教育係を見つけようと思ったら、ここに行き着いた」

「相変わらず大雑把」


大雑把じゃなきゃ不老不死やってけねえよ。


エンリに教育係を頼んだら、快く受け入れてくれた。嬉しい限りだ。


それで、気になっていたことがある。なんでこんなことになっているかだ。


「それは、長くなるけどいい?」

「いいぞ」


エンリの話は予想以上に長かったため、こちらでまとめさせてもらうと・・・・・・


まず、エンリが勇者に人間界に連れて行かれた後、この街に住むことになった。街のみんなは快くエンリを受け入れてくれたそうだ。いい街だ。


街に住み始めてから一年が経ち、地下から禍々しい魔力を感じるようになったそうだ。調べて行くうちに、地下に巨大な魔物が封印されていたことに気づいた。


それがちょうど、初代魔王が存在していた時から封印されていると、記録されていたらしい。


封印は日が経つ毎に、弱まっていき最終的には、封印が消え街を壊しながら目覚めるそうだ。地下にいるもんな。


それに気づいたエンリは、街のみんなを助けるべく、離れた廃墟に避難所を作り、守れるようにした。


そして、今に至る。いきなり、めんどくせえ話になってきた。そして離れて欲しい。


「その化け物が明日、目を覚ますの」

「何それ怖い」


まあ、街の人を助けたのはわかった。いい子に育ってくれて嬉しいがまだ聞きたいことが一つある。


「なんで入り口の階段罠あんの?」

「え?看板あったでしょ?」

「看板?」


そういえばここの地下に降りる前、こんなことがあったな。


俺たちが入って来た階段を見つけるちょっと手前あたりかな?そこにボロボロになった看板が立ててあった。


「あれ?看板ある」

「えーっとなになに.....よく見えないな.....この.......段.......降りる....ってしか読めない」


あったな。魔物の爪痕見たいなのが残って読めなかったが多分降りるなって書いてたんだろ。通りで怪しい雰囲気があったわけか。


その看板がしっかり仕事しなかったせいで、犠牲者が出たからなぁ。ゾンビだからいいんだろうが。


「読めなかった」

「それはごめん、たまに見に行ってるんだけど誰かがイタズラしたんだと思う」


誰かってあれはどう考えても魔物ですよ。それか、かぎ爪持った武闘家......やってたらシュールだな。


「死人でたけどまあいいや俺らの不注意だったんだし」


さらっと言った【死人】と言う言葉に、エンリは首を傾げた。


「うん?待って死人て誰?」

「ゾンさん」

「まだ生きてたの!あの子とは話が合うから嬉しい!」


そういえばこいつら仲良かったな。なんかチラチラ俺を見ながら話してたのを覚えてる。


ゾンさんの目は、ゲスなものを見る目と尊敬の眼差しが入り混じった奇跡の視線を出していた気がする。


あと、黒いドロドロとした嫉妬のオーラ。俺が一体何をした。


まあ、そのゾンさんは入り口で、亡き者と化しております。元からだけど。


さて、やることがたくさんできた。ゾンさんを生き返らせなきゃいけない。まったく、何で死んじゃってるんだよ。俺が悪いんだけどさ。


地上に戻ろうとすると、エンリが不思議そうな顔をしていた。


「え?なにしに行くの?」

「化け物退治ついて来るなよ、邪魔だから」

「ひどい!別にいいじゃん!」

「魔王に会わせねえぞ?」

「わ、わかった」


はてさて...一体俺を殺せるほどの敵なのか。

楽しみだ。

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