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《異世界の主人公共へ》  作者: 菜季滅入
《魔王軍の復活計画始動》
13/25

《世界への宣戦布告》

苦しくて目が覚めるとムーさんが目を爛々とさせ、マウントポジションをとっていた。


びっくりしたよ。寝る前に感じたものは気のせいではなかったわけだ。


抵抗しようと思ったがする間も無く唇を奪われた。


記憶が無いけど、キスは初めてだったのかな?違うそうじゃない。どうにかどけないと。


けど、頭がボーッとして意識は朦朧体は力が入らず動けない。こいつ呪術使いやがった。


体が動かない俺は抵抗もできず、さらには意識が闇の中へと溶けていった。




眩しさを感じ目を開けると窓から陽が差し込んでいた。なぜか昨日の寝た後のことが思い出せない。


いや、寝た後のことだから覚えていなくて普通か。何かがあった気もするが思いすぎか?


体を起こそうとするが何故か体が動かない。原因はムーが俺に抱きついていたからだ。しかも、裸で。


いや、なんで!なぜ裸!?落ちつぇけ、落ちついて素数を数えるんだ!著作権?知らねえな!


素数を数えてる場合でもないよ。こうなったら残っている道はただ一つ..........


「寝よう」


俺は現実逃避のためにもう一度意識を闇へと溶かすのであった。


しかし、数秒で現実へと戻されるのである。


「隊長?リーダー!」


そう。悪いタイミングでムーが起きてしまったのだ。このまま熟睡しているフリをしてるほうが俺の安全を保てるか?


ゆさゆさと横になっている俺を揺すり起こそうとがんばっているムーには悪いが狸寝入りをすると決めたぜ!


何回か揺すられ起きないと悟って俺を揺らす手が止まった。どうやら諦めてくれたようだ。


ほっと安堵していると耳に息がかかっている気がする。まさか..........叫ぼうとしてないよな?


「昨日のこと女狐達に自慢しようかな.........?」


叫ぶのではなく、周りに聞こえないくらいの小さな声で囁いた。


こいつ起きてることに気づいてやがる!だがまだなんとかなるかもしれない。


しかし、ムーは部屋から出て行こうとしていたため俺は止むを得ず起きた。


「お、おはよう!」

「おはようございます」


笑顔で挨拶をしてくるムーを直視できない。それに彼女は裸なんだ、直視できるわけがないだろう。


服を着ろといっても聞かないので着せることにした。もちろん俺は触れないよ。


軽い詠唱を唱え対象を選ぶようにムーを指差した。すると、先程まで裸だった彼女に服を着させた。


これは軽い家庭的な魔法で《換装》と言われる魔法の一種だ。服を着てくれない赤ん坊などに有効。


服を着せられた彼女は俺の反応がつまらなかったらしく不貞腐れた。


昔のムーに戻った気がした。仲間になった当時は、男になったとはいえ、女としての習慣や仕草が取れていなかった。


半年もすれば完璧に男として生活していたが、やっぱり女の子なんだからしっかり女の子として生きて欲しい。


にしても、ムーの顔立ちって綺麗に整ってるよな。こんなに近くで見ることないから気にしてなかった。


昔にどっかの国で絶世の美女と呼ばれた姫がいたけど、負けず劣らずの美女だよな。


アホか。そんなことを言いたいんじゃない。昨日のことを聞きたいんだ。


「とてもいい夜でした..........」

「うっとりすんな!」

「まあまあ、気にしたら負けですよ」


こいつってこんなに軽いやつだったのか。立場が逆転した気分だよ。


この話はなかったことにして今は最優先で調べなくてはいけないことがある。


「図書館に行かないと..........」

「手伝いますか?」

「あ、頼む」


結局昨日のことはうやむやとなった。


近くの街で有名な図書館に行くことにしよう。そこだったら資料がたくさんあるはずだ。


そんな時間もかからないだろうから、あいつらには何も言わなくていいだろう。



ムーからの激しいスキンシップと戦いながら図書館へと急いだ。


着いた時には疲労感がハンパなかったです。犬でもあんなにスキンシップしないぞ。


とりあえず、俺達は図書館へと入った。ムーの姿は腐らせていないから騒がれることはないはずだ。


来る途中、別の意味で騒ぎとなっていたが.........あれは仕方ないよね。


彼女に魅了された男達が群れに群れて大騒ぎになって、もうあれは酷かったね。


その男共もムーに全員ふられていたが、その嫉妬の矛先を俺に向けられたから、もうめんどくさかった。


ここでは騒ぎにならないことを祈ろう。


中は有名なだけあって相当広かったが、ムーと二人で探すこと二時間。何冊か見つけることができた。


「だいぶ見つけたな」

「そうですね、何冊か薄い本も見つけましたが.........」

「戻してこい」


ムーが本を戻しに行っている間に勇者の方を読んでおこうかーーーーー



数百年前に突如として現れた初代魔王の軍勢に世界は滅亡への道を進んでいた。

そこに現れたのが初代勇者ーーーだった。彼は自分の国を守るために仲間を連れて魔王討伐の旅に出た。その道中で魔王の配下を倒し、侵略下にあった街や村を救って行った。

そして、長い旅路の果てに魔王の城に辿り着いたのだった。

だが、勇者は魔王とは戦わずに交渉に出た。平和条約を結び、人間と魔族の戦いは終戦へと向かった。そして、世界は平和になった。


.........ここから先はページが切り抜かれて読めないな。だいぶ飛ぶけど仕方ないか。


初代勇者は平和になると同時に消息が不明になった。さらには勇者の故郷はどこを探しても見つからなかったという。謎に包まれた彼は神が寄越した使いだったとも言われている.........


初代勇者.........か。こんな勇者が一度でも現れてくれれば、こんなことしなくて済むのにな。


毎回俺たちを倒すために現れる勇者の一行は、いつも違う気がするんだ。何がって言われれば答えられないが.........強いて言うなら勇者の資格を持っていない?とでも言うのかな。


勝手に勇者と名乗って戦いを挑みに来ている感じだ。


考えすぎなのかもしれない。だが、そう感じてならない。


二代目以降の勇者を調べて思ったが、やはり資格を持っていないように思う。


なんなんだろうな。勇者の資格って........魔王を倒す力があれば勇者なのか?勇気ある者が勇者なのか?選ばれし者が勇者なのか?


俺にはわからない。


ただ、今回は初代のような奴が現れることを祈ろう。


次は魔王についてだが.........なんだこれは?所々が破られて読めそうにない。


イタズラのようにも見えるが隠蔽工作のようにも見える。


見られちゃまずい事でも書かれていたのか?


なんだよ。結局わかったことは初代勇者が異例の存在だってことだけかよ。


仕方ない帰るか。そういえばムーが戻ってこないな。どうしたのだろうか。


図書館の中を歩き回り彼女を探していると、またナンパされていた。ここでもかよ!


「ムー帰るぞ」

「あ、リーダー!そう言うわけだからあなたとはおつき合いできませんので」

「あ、ちょ!」


相手の男は素っ気ない反応に驚いていた。格好を見るなり何処かの貴族なのだろうか?


俺には関係ないか、さっさと帰ろう。


図書館から出てから数分が経つが、ずっと追跡されている感じがする。


ついてこられても面倒なので、何度か振り切ろうと頑張ってみたが、後ろからの気配が離れる様子が無かった。


気配の奴は先ほど、ムーにナンパをしていた男だ。彼女のことが諦められないところを見ると執念深い人間のようだ。


仕方ない.......めんどくさいが撃退するか。


「いい加減ついてくるな。これ以上ついてくるようなら、ぶちのめすぞ」

「..........イキのいい連れだね。僕のことを知らないようだ」

「知らん」

「僕の名はルード・E・エクリブス、勇者さ!」


..........こいつが今回の勇者だと?毎回勇者の質が下がっていくな。


前回の勇者は、まだまともだったが今回は過去一番最低な性格かもな。勇者の家系に生まれて不自由ない暮らしを送って来たんだろう。


いい機会だ。勇者達への脅しとこいつにお灸を据えてやろう。


「勇者......か、なら好都合だ。ぶっ殺してやる」

「へ........?ま、まて!勇者だぞ!お前らを守ってやってる勇者だぞ!」


勇者の僕が......と思っているのだろう。愚痴愚痴と言葉を並べているがが、俺にはただ耳障りな音としか感じられない。


「だから?」

「え?」

「愚痴愚痴言ってねえで..........」


クズ勇者との距離を一気に詰め首を右手で鷲掴みにし持ち上げた。


「さっさとかかってこい」


鷲掴みにしている腕を離そうと必死に抵抗しているが、その分さらに力を入れ無駄なことを教える。


それを繰り返しているうちに今にも窒息しそうな顔をしていたので苦しみから解放した。


バタッと倒れ、げほげほとむせている姿はとても滑稽だった。


「どうした?勇者様?」

「き、貴様ぁぁ......勇者の僕に手を出して、ただで済むと..........!」


言いかけたクズ勇者の首根っこを掴み、顔を地面に叩きつきた。


「知らねえよ」


気絶したこいつをどうするかな?そうだ。やったことないから、どんな反応をしてくれるか見たいしこれにしよう。


クズ勇者を壁に貼り付け、ある内容を書いた紙を残してその場を立ち去った。


ムーが嬉しそうに俺の後をついてくるがどうかしたのだろうか?




ーーーーー夕刻、街の住民によってクズ勇者は発見された。ズタボロにされた形跡を見て憲兵隊は住人達に外出禁止令を出した。


治療のために勇者を運んでいる時、憲兵隊はある紙を拾っていた。


その紙には世間を騒がせる内容であった。


《これは宣戦布告だ、命が惜しければ我を倒せーーーーーーーーーー魔王》


この時、世界中の戦争が休戦になったという。



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