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魔王少女に呼び出されたのは異世界です 序章

少し、息抜きに書いた小説です。


楽しんで読んで貰えたら嬉しいです♪

異世界や魔法といった非現実な言葉に一度は誰もが憧れる。


こんな魔法が使えたらいい。


こんな力が使えたらいい。


こんな異世界に行って冒険ができたらいい。


そんな事を考えるのは日常茶飯事だ。誰だって物語の主人公になりたいと願うし、ヒロインになってみたいと思うだろう。

だが、そんなのは夢のまた夢。現実から逃げている者達の儚い想像だ。


「……ふぅあぁ……ねむっ…」


熱々のトーストを口に加え朝のニュースをどうでもいいように見る少年。


黒瀬 刻人。彼はそんな儚い想像が大好きな人間だ。異世界や魔法といった事にも興味を持っている。だからと言って厨二病という訳では無い。空想と現実の区別はついてるし、逆にそういった痛い子を見ると、あちゃーダメだこの子、と思ってしまう側の人間である。何故彼が異世界や魔法といったのに興味があるのか…それは…。




自分の力を最大限までに使ってみたいと思っているからである。




だがそんな彼も高校生。そういった事はもう諦めている。叶わない夢ある理想より、すぐに叶う夢のない現実をみている方がまだいい。


「…今日は始業式だっけ…?面倒…だな」


そう言いつつもトーストを食べ終え、イスに置いてある鞄を片手に家を出る。


「サボるか」


家を出て、向かった先は学校…では無く、全く反対側の河川敷だった。





△▼△▼△▼△





今日は偉く天気が良い。絶好の昼寝日和だ。こんなときに学校なんかいってられるか…と刻人は寝転びながら空を見上げる。春の涼しい風が刻人の頬を撫でていく。

今頃学校では始業式が始まっているだろう。まぁ関係無いが…。

そう思っていると、急に空の色が変わり出した。


「…今日は雨だっけ?」


いや天気予報ではそんなことは言っていなかった。今日は一日晴天だと…。だが、まだ雨の方が良かったのかも知れない。いま、刻人の目の前に広がっているのは雨雲では無く、



『真っ赤』に染まった空模様だった。



「……あ?異常気象か?」


異常気象が霞むくらいこの空模様はおかしかった。そして、もう一つおかしな事がある。


今、刻人の目の前には赤い空模様だけでなく、角と羽と尻尾を生やした、正に『悪魔』みたいな『何か』が立っていた。


「…マジかよ…」


その『悪魔』みたいな『何か』は刻人を見ながら、きみの悪い笑みで話し掛けてくる。


「キヒヒヒ…ラッキーだね…。こんな『誰も居ない変な場所』に飛ばされて食い物に困ってたけど…食い物みーーっけ!!」


バサリと羽を拡げ、刻人目掛けて飛んでくる。手から不思議な炎を出したかと思えば、それを刻人向けて投げてくる。


「……っ!?」


刻人はそれを避け、自分の居た場所を確認する。すると…、


その場所は木っ端微塵に消し飛んでいた。


「うーん…あまり食い物食べてなかったから、コントロールがイマイチだな…。まぁいっか。どうせすぐに死ぬし」


キヒヒヒと笑う『何か』はまた手から不思議な炎を作り出す。


刻人はそれを見て、必死に顔には出さず、『何か』に質問する。


「…お前…何者だよ…」


「何で教えないといけないんだよ…。いいよ別に、すぐ死ぬから教えてあげるよ。俺は悪魔だよ。あ・く・ま。…というか、お前こそ何者だよ。俺がここに来たときは、『誰も居なかった』ぞ?お前…」


刻人は押さえている感情を必死で出すまいと耐えるが、やっぱり耐えきれない。


「…く、くく…ハハハハハハ、ハハハハハハ!!」


「…うん?死にそうだから気でも狂った?」


「いや、全然…寧ろ好調、絶好調だ」


悪魔は不振そうに刻人を見る。そして、


「今から死ぬのはお前だよ、悪魔」


「…は?何言っ――ッッ!?」


悪魔の言葉は最後まで続か無かった。目の前に居た刻人が消えたのだ。

悪魔は辺りを見渡すが、何処にも居ない。すると、


「こっちだよ」


声の方向は上。悪魔はバッと上を見上げるとそこには先程の目の前に立っていた刻人が居た。


「…は?」


「は、じゃねぇよ。悪魔」


刻人は拳を握り悪魔に降り下ろす。




ドオオオオオオォォン!!!!!




爆音が鳴り響き、刻人が拳を降り下ろした場所は綺麗さっぱり消えていた。


ギリギリで生き延びた悪魔はその場所を冷や汗が止まらない顔で見ていた。


「(…なんだ?アレは?…拳一つで俺の魔法以上の力…だと?)」


悪魔は本能的に感じ取った。


アレはダメだと。アレを喰らったら…死にはしないが、確実にやられる。


取り合えず距離を取ろうと悪魔は上へと登るが、


「遅えよ、悪魔」


いつの間にか自分より上に居た刻人に蹴りを貰う。顔の側頭部にもろに入り、下の川に激突する。




バシャアアアアアアアン!!!!!




トンと地面に降り立つ刻人。川の中に居る生きているかどうか分からない悪魔を見て、一瞬でその場から離れた。


「クソがクソがクソがクソが!!人間の分際で…なめてんじゃねぇぞ!!」


先程手から不思議な炎を作り出していたが、今作っているのはその比では無かった。


デカイ。


刻人の率直な感想だった。

先程のものとは比べ物にならない。ゾクリと背筋を冷や汗が嘗める。それと同時に、


「…おもしれぇ…流石悪魔。期待に応えてくれるじゃねぇか」


刻人は拳を握り、今からやってくるであろう炎の玉を見据える。


「死ねぇぇぇぇ!!!」


ドオンと投げ出された炎は一直線に刻人の元へと向かう。


「死ぬのはテメェだよ!!クソ悪魔っ!!!」


自身が持つ最大の力で拳を炎に叩きつける。


激しい爆音が鳴り響く中、刻人の拳は静かに焼けていた。

ジュー…と肉の焼ける音が聞こえてくる。結論から言うと、凄く痛い。だが、そんなことなど気にせず、刻人は思いっきり炎の玉を打ち返した。


「何っ!?」


悪魔は自分の最大威力の炎を打ち返えされた事に気が動転した。その間に炎の玉は悪魔の元へやって来た。


「ギィヤァァァァアアアアア!!!!!」


自分の炎に殺られる悪魔。刻人は拳を押さえながら、悪魔が死んだことを確認するとこれからどうするかと、ほんの一瞬悪魔から気を逸らした。


それが仇となった。




ドスッ!




「…………あ?」


刻人は自身の胸に刺さっている槍のような鋭利な物を睨み付ける。

これには見覚えがあった。確か…、あの悪魔の尻尾だ。


「…キ、ヒヒ…奥の…手は、さい、ご……まで…とっておく、べきだぜ……キヒヒ……お、まえも…道、づれ、……だ……」


悪魔は最後の力を絞って、自分の尻尾を引き抜き、それを硬化させ刻人へ向けて放っていた。悪魔は今度こそ力尽きたか、炎の音と水の音が一緒に鳴り響くなか、川へと倒れこむ。


刻人は一瞬でも悪魔から気を逸らした自分を悔いた。


「(クソ…!!ミスった…)」


血がどんどん流れてくる。刻人はその場に膝だけつき、この尻尾を抜こうかと試みた。刻人の力ならすぐにでも引き抜けるが、


「(これを…抜いたら、一気に血が出ちまうな……マジか……折角、楽しめたのに……)」


だんだんと目の前が薄暗くなる。それでもこの尻尾だけは引き抜こうと、今ある全力で尻尾を引き抜いた。案の定、血はドバッと流れてきた。確実に死ぬレベルの。


「(…でも…いっか…最後に………充分………楽しめ………………)」


バタンと刻人はその場に倒れ込んだ。





△▼△▼△▼△





あるどこかの森の中。


少女は目の前にある石碑に膝をつき手を組んで祈っていた。

ここは、『自分の城』の裏庭にある代々『魔王』にしか知らされていない場所である。


少女は毎日のようにここへ通っていた。


ある祈りを捧げるために。


「……はぁ~。やっぱり悪魔が祈りを捧げるって……おかしいよね……」


少女は見た目は普通の女の子だが、これまた悪魔なのだ。それも、立派な魔王を務めている…筈なのだが、


「……もう、嫌だよ……。魔王なんて……嫌だよ」


少女は涙を流し、その場から立ち上がる。昔、前魔王…自分の父に言われたことを思い出す。


『お前を守ってくれる奴が必ず現れる。だから――その力はその人に与えてやりなさい』


「……守ってくれる者なんて……居るわけ無いよ」


少女の周りに居るのは少女を人形のようにしか思っていない者達ばかり。唯一信頼できるのはメイド長だけ。この城…には少女を見てくれる人物は居ない。メイド長も気にかけてはくれるが、仕事上プライベートな話等も殆どしない。


少女はため息をつき、石碑を見る。


ここに何の言い伝えがあるかは少女にも分からない。ただ前魔王から、もし少女が魔王になったらここへ毎日通うよう言われているのだ。少女はそれを怠った事はない。

だが、それももうこれまでかも知れない…。少女は涙を拭くと、また頷くだけの会議が始まる。そう思うとまた、涙が出てきそうだ。


「………助けてよ………」


少女のそんな弱々しい言葉は風に飛ばされたかのように消え去る。

少女が石碑から離れるその時、変化は起こった。


石碑から急に魔方陣が書き出された。少女は何?と思って石碑の方を向くと、魔方陣から一人の少年が出現した。


「……えっ?」


少年がドサッとその場に倒れると、少女は慌てて少年へと駆け寄る。


「…あ、貴方…大丈――」


少女の言葉が最後まで続かなかった。目の前の少年のケガがひどい。少年の胸からドクドクと血が流れて止まる気配が無い。


「…ちょっ、ちょっと…貴方……」


「………ぁ…ぁ……」


息はあるようだ。だか、そう長くは持たない。少女は何とかして目の前の少年を助けようとしたいのだが、


「…………」


脳裏に自分の父の言葉が過ぎる。


『その力その人に与えてやりなさい』


今、なのかも知れない。


少女はそっと目を閉じ少年の唇に自分の唇を重ねた。


何秒たっただろうか?目を開き、少年を見つめる。すると、少年の胸から流れていた血が綺麗に止まっている。それどころか、回復も始まっていた。


「…良かった…」


自分の力を見ず知らずの少年に使って良かったのかと思うところもあるが、目の前で無惨に命を散らすくらいなら、助けてやるのが良いと少女自身が思ったことだ。


「……えっ?」


少女は少年を見ながら驚いた。

今気づいた事なのだが、この少年…。


「…人間?」


少女の頭の中はパンク寸前だった。取り合えず、周りに知られては不味いので、信頼しているメイド長に連絡する。


話はその後だ。





△▼△▼△▼△





「………ぁ……あ…?」


刻人は見知らない天井を見上げていた。見知らないと言うと…ここは天国か?刻人の思っていた天国とは大分イメージが違っていた。


黒い天井。


シャンデリア。


周りには沢山の家具。


まるで部屋そのものだなと刻人は起き上がり、呟く。そして、ハッと気付く。

自分の胸の部分に手を当てるが痛みはおろか傷跡すら感じられない。


「…どうなってんだ?」


いくら刻人でさえここがもう天国では無いことすら分かる。じゃあ、地獄か?それも無い。地獄にこんな良いベッドがあるわけない。


じゃあここはどこなんだ?


刻人は周りを見渡しながら考える。


すると、


「……目、覚めた?」


一人の少女が目の前の扉から現れた。


「…えっと……あんた…は…?」


「ど、どうも…ま、魔王のユイカ・クロウゼル・ルシファーです」


「………ま、魔王!?」








一人の少年は一人の魔王少女と出会う。





その行方は…。





to be continued.










どうだったでしょうか?


誤字脱字、おかしいところがありましたらご指摘お願いします。


次も読んでくれたら嬉しいです。いつになるか分からないですけど…。


それでは_(..)_

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