猫踏んじゃった 6
ピンポーン、玄関口から誰か来たことをチャイムが知らせる。
「おばあちゃんいるー」
野太い男性の声が、家に響く。
「良い所で邪魔者がはってきたわね」
「し」
ポン太は、人差し指を口元に持ってきて、静かにしてという無言の催促をした。
確かに、おばあちゃんの関係者で合いかぎを所持している様な事があれば、物音に不審に思い部屋に入ってくるかもしれない、狸と猫が人語で話しあっている姿はかなり強烈な印象を与えるだろう。
「・・・散歩かな」
家の外から、ドンっと小さい物を置く音がし、コツコツと足音が遠ざかって行く。
「もう、大丈夫みたいね」
「はい、いつもこの時間帯に息子さんが荷物を届けるのを忘れていました」
「荷物って?」
「食糧とか生活品です」
そう言うとポン太は、玄関前に置いてある、ス―パの荷物を取りに席を立った。しかたなく、チビも手伝うためついて行く。
マリオクとお店の名前が書かれた白いビニール袋には人参とお肉ジャガイモとお酒の瓶が入っていた。二人は口で袋の端を咥えて運ぶが、さすがに体の大きくない二人には重いようで引きずるのもやっとだ。
ポン太の指示された指定の位置に荷物持っていくと、ビニール臭い口からチビが「なんで、自分で買いにいかないの」っと文句を垂れた。
そうすれば、私が手伝ってあげるずとも、お菊さんが自分でするのに
「さぁ、めんどくさいとかじゃないですかね?」
「そうかもしれないけど、少し気になるわね」
女性は、総じて買いもの好きである。特に仕事も家事もやることがなくったら、残された楽しみは、おしゃべり、趣味、ご飯、買い物ぐらいであるからだ。
「ただいまー」
お菊さんが帰ってきた。