猫踏んじゃった 9
赤レンガ作りの洋風な作りで、プラスチックの看板には喫茶店リボと書かれている。
店の中から、香しいコーヒーの匂いが流れてくる。
「ここは、おばあさんの息子のお店です」
創業27年目で、大学を卒業した後に両親からお金を借りてたてたそうだ。元々は洋食屋さんとしてコーヒーを出していたのだが、近年ではご飯より飲み物の方が人気が出てきたため、看板を洋食屋リボから喫茶店リボに変えたらしいとポン太は、詳しく説明してくれた。
「ちょっと、あんた人間に化けてくれる、あと私の姿も変えられる?」
「まさか、中に入るのですか?」
「入るに決まってるでしょ、中の様子が観られないじゃない」
「お金持ってませんよ」
「そんなのあそこに落ちているタバコの吸い殻でもお金にかえなさい」
チビは、にこりと笑い道端に捨てられていたゴミを拾いポン太の前に置き、さぁさぁ速くと急かすように睨めつける。
あきらかに犯罪行為である。妖怪の世界にも法律があり、警察がいる。お金を偽造したとしたとばれれば捕まってしまうのに。ポン太は、罪悪感と恐怖が頭の中に入り乱れていたが、またもや頭をペシリとたたかれ「速くしろ」という言葉のせいで従わざる得ない。
しぶしぶ、ポン太は自信の姿を人に変える。
身長190センチの上等な紺色のスーツ着た大男で、ふっくらとした体型とオドオドした表情はそのまで、若干はげかけている。化けるならもっとカッコ良くすればとチビは訪ねたが、どんな形にもなれるが、やはり元の自分に似せた方がしっくりくるそうだ。
それならばとチビも自分に似せた人の姿にしてほしいとお願いした。
かなり小柄な女性が現れた。140センチ前後で、目は大きく、つりあがっていて、髪は腰までかかり真っ黒だが重々しくない。こちらも、同じく紺色で女性用のスーツを着ていて、チビたっての希望で年齢は30代前半となった。