玄関開けたら1歩で遭難
皆さん、おはこんばんちは。
絶賛迷子パニック満喫中の都 千禍です。
右をみても、左を見ても木、木、木。
上をみたら、ものっそい青空。
下をみたら、あ、みみず。
いや、うん、あたしは玄関を出ただけなんだよ。
まさか、玄関開けたら森とか…マジで意味が分からん。
すぐにドア閉めれば良かったのに、何故外に出た…
うん、5分前のあたし、マジで死ねばいいと思う。
いや、死なないけどね。
あーもーどーしよー。
家に戻れば良いじゃん…って思ったでしょ?
振り向いたら、玄関どころか家もなかったよ…。
とりあえず、いつまでもここに立ってるわけにもいかないし。
「にゃーん」
おっと、我が愛猫の各務が自己主張を始めたぞ。
片手に乗るくらいの時期に拾った三毛猫、各務。
もちろん女の子。
いつもそばに寄り添い、あたしが仕事から帰ってくると走ってきてお出迎えしてくれる。
「とってこい」ができる、生まれた種族間違っている気がする猫。
全く、可愛いヤツめ。
各務と旅行に行くつもりだったから、キャリーバッグにはあたしの着替えと、各務のゴハン。
ってか、各務が家ごと消えないで良かった。
家族もいないうえに、各務にゴハンあげてくれる知り合いいないし。
「にゃ」
はいはい、抱っこですね。
各務を抱き上げて、あたしは歩き始めた。
湖ですよ。
綺麗な水。
よく見ると魚も泳いでる。
おー、各務さんったら瞳孔が…
あたしの腕から身軽に飛び降りると、尻尾をフリフリ。
水、嫌いなくせに動くものがあれば気にしないのね。
「カカカカカカッ!」
おー、狩りの時にでる声だ。
やる気満々だね。
さぁ、各務の事は置いといて、これからどーするか…。
ここは森の中、下手したら野宿…それはイヤだ。
って、携帯あるじゃん!
あたしはポケットに手を突っ込み、スマホを取り出した。
…
……
………
圏外だよ!!
リアルにOrZって格好しちゃったよ!
「にゃんにゃ」
ポスっと各務があたしの右手に前足を乗せてきた。
慰めてくれるとは、可愛いヤツめ。
そう思いながら顔をあげ各務の方を見て、あたしは目を疑う。
え?
なにこれ?
どことなく得意気な各務の前に、魚、魚、魚…。
捕ったのか、泳いでた魚…。
撫でろと言わんばかりに、あたしの右手に頭をこすり付ける各務サン…。
「スゴイデスネー、エライデスネー」
各務の頭を撫でるあたし。
なにこの各務。
とりあえず、各務の戦利品をどうするか…
「シャァッ!」
今度は威嚇し始めたよ…この子は…。
尻尾がいつもの3倍になってるし。
各務の視線の先には揺れる茂み。
もしかして、死亡フラグ?
そして各務さん、なぜあたしの前に出るんですか?
忠猫っぷりがハンパないです。