大怪我で療養しましょう
ああ、やり過ぎた。
かたがいたいよー。
「霧華、いたいようだな?」
アルス近衛騎士団副隊長が言った。
「アルス近衛騎士団副隊長。」
本当に痛いです。
「アルス近衛騎士団副隊長か…普通にアルス姉さんとかプラベートではよんでほしいが。」
アルス近衛騎士団副隊長が寂しそうに言った。
「アルス隊長がなれてるんですけど…アルス姉さんがいいんですか?」
私は言った。
「ああ、そうだな、一応、姉恋人のわけだし、それとも、アルスと呼び捨てにするか?」
アルス姉さん?が言った。
うーん、違和感あるなぁ。
「お姉様、強要はいけませんわ。」
アルス姉さん?の弟のイシエクワさんがやって来た。
まだ、未婚だから、名字よびなんだよね。
「ご迷惑お掛けします、イシエクワさん。」
私はベッドの上で頭を下げた。
怪我したあと意識を失って、起きたところが病院だった。
さすがにこの傷はすぐになおらない。
マスコミがねー。
ウェルピーナ家主催の碓井中級武官の婚約者決定!家事対決を
取材しててさ、こっちの騒ぎもバッチリ撮っちゃったんだよね。
真珠国通信ってところがね。
それで、取材殺到…病院いられなくて、
アルス姉さん?が実家に連れてきてくれたんだ。
近衛騎士団総隊長からはしばらく休めって言われてるし。
肩は痛いし、ラハヤさんとはあれっきりなんだよね。
ああ、最低だよ。
「お姉様の妹恋人とは思えないほど、格好いいわ!私、筋肉あるひとより、スラッとした人が好きなの。」
イシエクワさんが言った。
「おい、霧華には、溺愛の婚約者がいるんだから、誘惑するんじゃないぞ。」
アルス姉さん?が言った。
「あら、婚約の証つけてないじゃないの?」
イシエクワさんが言った。
そうなんだよ…あの返した日いらい
私の髪型はみつあみじゃない。
ああ、もう、愛想つかされましたか?
「おい、女は繊細なんだ、えぐるな。」
アルス姉さん?が言った。
「あら、良いじゃない、私と婚約したら、アルスお姉様の本当の妹になれるわよ。」
イシエクワさんがそういいながら炎症止めの符を貼り代えてくれた。
うーん、ラハヤさんがいなかったら…。
誘惑されてたのかな?
アルス姉さん?の弟さんだけあって
格好いい系の美形さんだし。
でも、別に姉恋人(仮)で充分です。
本当の姉にアルス姉さん?がならなくても。
「ご迷惑おかけします。」
おじぎをしたとたん肩に痛みが走った。
動かしかたなんだよね。
「いいのよ、カルスお姉様も、しっかり面倒見るようにいってるし。」
イシエクワさんがそういいながら今度は
レモンジュースを差し出した。
「カルス姉も、霧華の事を取り込もうとしているのか?」
アルス姉さん?が呟いた。
カルスさんはイシエクワ家の次代当主でもう結婚してる、アルス姉さん?のお姉様だ。
「アルス…姉さん?…私なんか、取り込んでもしかたないですよ。」
私はもらったレモンジュースを飲みながら言った。
「何をいってる、お前は中級武官で近衛騎士団の次代を担う中隊に所属する、エリートだぞ、自覚しろ。」
アルス姉さん?が腕組みしていった。
「宇水家ですしね、そういえば、ニルお姉様は、どうなりますの?」
イシエクワさんが心配そうに言った。
「…いい弁護士をつけた、なるべく、早く帰ってくることを祈ろう。」
アルス姉さん?が固い表情で言った。
きいてる、私にとっては、単なる敵だけど。
アルス姉さん?にとっては大事な幼馴染みでやっと心が通じあったんだって。
「そうですの、霧華さんは複雑でしょうけど、よかったわ。」
イシエクワさんが微笑んだ。
この人にとっても大事な幼馴染みのお姉さんなのかな?
「まあ、霧華、ゆっくり、療養しろ、婚約の件はまあ、おいおい、考えることにしよう。」
アルス姉さん?が言った。
「はい。」
私は答えた。
でも、私、ラハヤさんが大好きなんです。
あの人の腕の中が一番安心なんです。
だから、絶対に、ラハヤさんとよりを戻して見せます。
誰にも邪魔させないもん。




