同僚(友達)の自宅に遊びに行きましょう
ジャックが家に招いてくれた。
楽しみ、シェルの一般家庭ってどうなってるんだろう?
「…全然一般家庭じゃない。」
私は広大な屋敷のエントランスで呟いた。
「霧華、なに驚いてるんだ。」
ジャックが言った。
そりゃ驚くよ。
あんだけフレンドリーなら
一般家庭出身だと思うじゃん。
「スゴいお屋敷だね。」
私は言った。
「そうか?本家に比べりゃ大したことないぞ。」
ジャックが言った。
同じ敷地内のもっと大きな建物が本家なんだそうだ。
ウェルピーナ家ってシェル真珠の商売してる貴族なんだって。
王家よりある意味金持ちらしい。
「まあ、ゆっくりしていってくれ。」
ジャックが言った。
「お茶をどうぞ。」
綺麗な男性の召し使い?さんがお茶を
綺麗なしぐさでおいた。
豪華な居間に案内されて
フカフカのソファーに座ったけど。
落ち着かない。
「ジュースの方が良かったか?」
ジャックが言った。
「お茶がいいよ。」
私はそういってお茶をのんだ。
甘い果物の香がする。
「お前さ、可愛い飲み方しすぎだわ。」
ジャックがため息をついた。
どこが可愛いのさ。
普通にカップ両手を持って飲んでるだけだよ。
高級茶器弁償したくないもん。
「ジャック!いますか。」
誰かが居間にはいってきた。
美少女?美少年?かな?
「鈴菜、なんかようか?」
ジャックが言った。
「聞いてください。」
鈴菜さんが言った。
「おい、どうしたんだ?」
ジャックが慌ててる。
まあ、一応客いるし。
「第三王子様に名乗られましたー、聞いてないのに!どうしたらいいですか!」
鈴菜さんがまくし立てるように言った。
第三王子様?名乗られた?
逆プロポーズ?
で、いいんだよね。
よくわからないですけど。
「三の君にきゅ、求婚されただと、しかも名乗られた…キャンセルは無理だろう。」
ジャックが呆然と言った。
「そうですかね。」
鈴菜さんが言った。
「霧華、不用意に名前を聞くとこう言う末路が待ってるんだ。」
ジャックがため息をついた。
「えーと、私、帰ろうか?」
私は言った。
「いや、ゆっくりしていってくれ、よりによって跳ねっ返りでお転爺の…三の君かよ、どこで知り合ったんだ?」
ジャックが聞いた。
あらためて鈴菜さんをみてみると
茶系の黒髪がきっちり乱れもなく編まれ、
先に真珠貝と海馬をモチーフ
にした、紋章のシェル真珠の髪飾りがついてる。
婚約してる証のわけか…。
「…ああ、失礼いたしました、宇水鈴菜、スズナ・ウェルピーナと申します。」
鈴菜さんが頭を下げた。
「碓井霧華です、第二騎士団員です、ジャックさんの同僚で友達です。」
私も頭を下げた。
ウスイ?まさか親戚?
「もしかして、宇水家の一族の空間難民さんですよね、お元気そうでよかった。」
鈴菜さんが弱々しく微笑んだ。
「そうか、ウェルピーナ家の次代当主と親戚なら、オレとも一応親戚だよな、しっかり面倒みてやんないとな。」
ジャックが言った。
「ありがとう、ジャック。」
私は言った。
心強いよ。
「で、三の君とはどこで出会ったんだ?」
ジャックが話を戻した。
「ああ、おばあ様の誕生日に変わったカレーを飲ませてあげようと、下町にいったら男性と間違えられて絡まれたんです、それを助けていただいて…。」
鈴菜さんが言った。
「なんか、逆じゃねえかそれ。」
ジャックが言った。
「そうですか?私、本当に危機一髪だったんです。」
鈴菜さんが言った。
「なんか、物語みたいですね。」
私は言った。
「カッコ良くて、お綺麗でした。」
鈴菜さんがうっとりした。
「…お前もまんざらじゃないんじゃないか?」
ジャックが言った。
「…婚約なんて無理です、私は日本育ちなんだから、シェルの男性の愛し方なんかわかりません。」
鈴菜さんが言った。
「団長に相談してみようか?」
ジャックが言った。
「お願いします。」
鈴菜さんが言った。
そうか、男性がおしとやかだから
女性がリードしないとなのか…。
………私、絶対に男性に名前なんかきかない。
危ないところもいかないんだ。