本気の勝負はストレート
『宜しくお願いしますね。兄さん!』
葵は行く気満々だ。
「おいおい、それはいきなり過ぎだろ。だいたいうちの学校って特殊だから簡単には…。」
周りを見ると、にやぁーっと笑っているオヤジンジャーとママーズ。―――計画通り。
伸行はしまった、こいつら金持ちだ…。
しかも始めから、こうなる事態を予想していたみたいだ。
今更遅いですよ、伸行君。
ちなみに伸行の家は、親父は公務員といって至って普通。
これまた、色々あるんです。
蓮と愛花を見てみる。
蓮は、目をきらきら輝かせて学校学校と走り回ってるし、
愛花はぶつぶつ呪文を唱えている。怖いですよ、愛花さん。
「あのなぁ、北星学園は馬鹿ばっかだぞ?おじさんもおばさんもいいのかよ?」
伸行は尋ねる。
ママパパ達は一斉に構わんと言う声が湧き上がる。
『私たちはお前と学園生活を楽しみたいんだ。』
他の3人を代弁すかのように、由梨はにこっと笑いながら言う。
「ふ…ふ~んっ。なら…で、出来るだけフォローする。」
ぷいっと地面を向く。
伸行は照れている。伸行のデレなんかイラネーよ!
『相変わらず、恐ろしく素直ですわね。』
まぁまぁ、要らないなんていわないで下さい。
伸行は凄く真っ直ぐに弱いんですよ。
「…うるさいぞ、愛花!!」
「そうだ。」
思い出したように、言う伸行。
『どうかしたの?』
蓮が首を傾げながら、伸行に聞く。
まるで…小動物ですね。
「いや、その…あの、いっ、許婚がいるとか絶対に口にするなよ?」
伸行の顔が本気で懇願していることを物語る。
なにやら相当ばれたら大変な事になりそうです。
それを聞いて、これまたニヤッとオヤジンジャーとママーズの目が光った気がした。