幸せの後の暗転
深夜の1時過ぎ、奇妙な尾行が始まった。
伸行は行き先もなくただ歩いている模様。
しかし、油断は禁物。
4人は息をのんで尾行する。
しかし、敵は難敵。
止まったり、道を戻ってみたり、行動を掴みきれて居ない。
段々4人は楽しくなってきた。
「…婚約ね。」
すると、べチャっと誰かがこける音がした。
『ふぎゃっ』
誰かが声を出す。
その、ベタ過ぎる展開…伸行は気付くのか?気付くのか~?
って、気付くわけがありませんね。
『『『由梨姉さん(ちゃん)!!』』』
3人の声が被る。
『すまん。動揺した。』
…何とかわいらしいんだ、由梨。
4人はそのまま尾行する。
すると伸行の足はある所に向かっているようだ。
伸行は殆ど意識していない様子。
だが、そこはあの日伸行が4人を守ると決意した場所。
そして指輪を渡した所だった。
桜は散っている…小さな公園。
「あいつらは、本当はどう思ってるんだろうなぁ。」
ボッ!と、音がするくらい4人は顔に熱を帯びる。
それは、伸行が4人を意識してるという事が良く分かる台詞だった。
それを聞いてか、蓮は我慢できないといった様子で、
『ね!ねっ!行って良い?伸の所行って良い?』
それはまるで、子犬のよう。
だが、それは他の3人も同じ。
『仕方ない。いくぞーっ!』
そして、伸行の所に駆け寄る。
「うおっ!!何で東西南北がいるんだよ?!」
本当にびっくりした様子でのけぞる伸行。
4人はこの場所で再び伸行に飛びついた。
「苦しいんだが…。」
伸行は顔を歪める。
『今日だけですからね?調子に乗らないでくださいまし!』
愛花は不可抗力と言わんばかりの勢いだ。
『そんなこと言うのだったら、兄さんに抱きつかないで下さい!』
そういうと、一回葵が離れて力を込めて飛びつく。
「あ…葵、そこ首くるじっ――――――。」
『え?なんですか兄さん?ふふっ。えーい。』
更に万力を思わす力で抱きつく。3人は何も言わない、いや何も言えない。
そして伸行は再び失神した。
…そんな甘甘な展開をしといて…これぐらいの罰は当然です。
「そんな、酷い。」
一瞬おきて、バタンと再び倒れた。
『『『『きゃああああ』』』』
…姫達、主に葵のせいですけどね。