表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女は諦めない  作者: 白篠似色
第一章
PR
2/2

いつもの日常

「うーーん。」


 落ち着いた部屋には似合わない無機質な音が鳴り響く。アラームの音だ。


 手がアラームの音を探し出し、止める。スマホの時刻は6時過ぎをしめしていた。いくつかメッセージアプリの通知が来ている。それは、昨夜寝落ち後に来たメッセージだった。


「あー、昨日寝落ちしちゃったのか」


 少女、桜宮瑠美がそう零した。瑠美はメッセージアプリを開くと数少ない友人に向けて謝罪の文を打ち始める。謝罪を送信し終わると、次はまほったーを開き、巡回を始めた。


「っと、今日も学校だ。準備しないと。」


  いつのまにか、1時間ほど経っていた時計を見て慌てて準備を始める。ブレザーにプリーツスカート。どこにでもある制服だ。


「おはよー」


 リズミカルに階段を降りていくと、母と父、妹に挨拶する。母、美穂が「おはよう、瑠美」と、挨拶を返すと、父、斗真も瑠美に気づいたようで「おはよう、瑠美」と返す。妹、彩夏はまだ寝ぼけているようで、パンを食べながらうとうとしている。


「彩夏、髪結ぼうか」


 コームを持って瑠美が妹に問いかける。妹は少し目を開くと、「おはよ、お姉ちゃん。髪結んで」と返答する。瑠美の毎朝の役目は妹の髪の毛を結ぶことだ。結んでいる間に、母がご飯を準備してくれる。


「はい。できたよ」


「ありがとう。お姉ちゃん」


 瑠美は妹の髪を結び終わると手を洗って、席につく。「いただきます」と挨拶すると、米をかきこむ。お行儀良くを意識しながら、味噌汁を飲む。温かい。


「ごちそうさまでした。父さん、母さん、お姉ちゃん、彩夏行くね」


 ランドセルを背負いながら、そう言った。「あら、もう行くの?」「うん、今日当番があるから」そんな会話を横目に卵焼きを頬張る。


「いってきまーす!」


 玄関から声が聞こえた。母、父、瑠美は声を揃えて、「いってらっしゃい」と言った。


「瑠美もそろそろ行くの?」


 ごちそうさまと、言い終わった頃、母が聞いた。時刻は7時40分、自転車で30分ぐらいかかるので、そろそろ出発の時刻だ。


「うん。そろそろ行こうかな。」


 瑠美は流し台に食器を持っていき、手を洗う。タオルで手を拭き、自室へ向かい通学用のバッグを持つ。玄関まで行き、「いってきまーす」と声を張る。遠くから、母と父の「いってらっしゃい」の声が聞こえた。


◆◇◆◇◆


 自転車を漕ぐ音、風を切る音が聞こえる。学校の校門前まで行くと自転車を降りて歩く。ヘルメットも外して、一息ついた。


「るーみ!」


 後ろから友人が抱きついてきた。


「!おはよう」


 少しびっくりした瑠美は肩を跳ね上がらせる。


 友人の名は末廣朝子。瑠美の大切な友人であり、昨夜の寝落ちメッセージの相手でもある。


「昨日はごめんね。寝落ちしちゃって」


 昨夜のことを謝ると朝子は「大丈夫、大丈夫!昨日は疲れてたもんね〜」と、隣に並んで言った。癖のない綺麗なショートヘアに少し崩した制服。朝子は名前の通り、明るい印象を周りにもたらしてくれる。そんな朝子が瑠美は好きだし、友人で良かったと思っている。


 自転車置き場まで来ると、朝子は後ろで組んでいた手を下ろして「そういえばさ、」と、話を始めた。


「今朝のニュース見た?」


「見てないけど、どうしたの?」


 瑠美が見てないことを伝えると、朝子は教えてくれた。


「日本でさ10年ぐらい前だっけ? 現れるようになった怪獣『インセクト』は知ってるよね?それでさ、えっと、なんだっけ。名前は忘れたけど『インセクト』を退治する機関ができたんだって」


 そう説明した朝子の表情は少しだけ曇っていた。朝子の親は10年前、インセクトの被害に遭い、亡くなっていた。


「もう少し早かったらパパもママも生きてたのかなって、思い出したんだ。」


 そう言って強がる朝子に瑠美はなんともいえない気持ちになる。朝子と幼馴染な瑠美は朝子の両親のことも知っている。優しくて、瑠美にも良くしてくれていた。


◆◇◆◇◆


 10年の間に日本はインセクトに対して進化した。授業にもインセクトに対してのものが入るようになり、簡単な対策、対応を教えてくれるようになった。


 インセクトのことが書かれた本。その一部を抜粋する。インセクトに会ったらまずすることは逃げること。その次に、インセクト対策本部または支部に電話をかけ、インセクトの出現場所と特徴を伝える。それもままならない場合は、インセクトから隠れ、鞄に常備しているGPSを ON。そこからインセクト対策本部が、何処にインセクトが居るのか割り出してくれる。


「ふわぁー」


  瑠美は何度も聞いた同じ文言に思わず欠伸をする。それでも、真面目に受けている瑠美は自分のことを賢いと思う。世の中を見ると、寝る人も喋る人も居る。まぁ、そういうことだ。


 どんどん進んでいくチョークを目で追いながら、ノートに書き写す。難しい漢字で少し速度は遅くなるが、瑠美の手は動くばかりだ。


 時計の針が動き、時間を指す。チャイムが鳴り響いた。


「予習しとけよ〜そんじゃあ挨拶してくれ」


「はい!起立!」


 「礼」と言いかけて、日直が止まる。


 その目の先にはーーーーー


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ