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第一話

 どうも、こんにちは。子りっくです。

 今作は、半年ぶりの新作となる作品です。私としても、新作の執筆という事で、非常に新鮮な気持ちで取り組むことができました。

 また、この作品は、ネトコン13への応募作の内の一つでもあります。『ゲームプログラマーの俺は、自作ゲームを攻略する』『この世界が終わりを告げるまで』と共に、お楽しみください。

 さて、この作品が投稿されたその時から、私は地獄に襲われます。襲われたくないのなら、書かなければ良いんでしょうけど、残念ながら、私にそんな選択肢はありません。何故なら、私は執筆に取り憑かれた人間だから、そして、執筆をしていないと気が済まないからです。

 なので、これからも執筆を続けていきますので、ご安心、そしてご期待ください!

 それでは、これから綴られていく冒険を、どうぞお楽しみください。

挿絵(By みてみん)


 私の持つ短剣と、彼が持つ長剣とが、黒雲の立ち込める空の下で交差し、火花を上げる。


「くらえ! 『ライトニングショック』!」


 彼がそう叫ぶと、直後、空から大量の雷が降ってきた。その多くは、私を射程圏内に捉えており……

 その瞬間、私の体を、数え切れないほどの雷が貫く。


「きゃぁ――!」


 私はそう悲鳴を上げ、あまりのショックで、その場にへたり込んだ。そこへ、彼がじりじりと近づいてくる。


「これでお前たちは終わりだ! 『パラライズネット』!」


 彼の足元から、電気の網が広がってくる。これに触れたら、私の命は終わる。そう分かっているからこそ、迫りくる死に怯え、思わず目を閉じる。死の時は刻一刻と迫り、そして――


      ・・・・・・・・・


 私の名前は、水口みずぐち 輝夜てるよ。今は、大学に通っているけれど、そんなに頭は良くない方ね。今になって、もっと昔からちゃんと勉強しておくべきだったって後悔してるわ。

 さて、その頭が悪いのには、昔から、とあることに時間を割いてきた事が一つの原因としてあった。そのとあることというのは、ゲームだ。私は、15年前から様々なゲームを遊んできたの。私は、大学生となる今まで、時間は減りども、毎日ゲームをプレイしてきた。

 そして、私は今日、新たなゲームに手を出そうとしている。そのゲームは、『Nine Emperors』というVRゲームよ。タイトルは、直訳すると、九皇って意味になるみたい。このゲームは、とある人の説によると、全世界で1000万人以上ものプレイヤーがいるらしい。私自身も、そんなに大規模なゲームに手を出すのは初めてだから、心がとても踊っているの。

 私は、VRゴーグルを目に装着し、『Nine Emperors』を起動させる。と、制作会社のロゴや、注意事項などが出てきた後、まず、種族の設定画面が出てきた。

 これに関しては、人間を選ばざるを得なかったの。なんでかって?  理由は簡単よ。他の生き物にしたら、気持ち悪くて仕方ないからよ! ハチュウ類のアバターとかなんて、気持ち悪くてありゃしないわ!

 種族選択を終えた後、私の前にはアバター設定の画面が出てきた。

 私は、設定できるアバターに一通り目を通す。とりあえず見てみて私が抱いた感想は、やはり設定できる

アバターの種類が豊富だな、というものだった。流石は1000万人ものプレイヤーを抱えるゲームなだけあって、よほどの偶然が起きない限り、アバターの完全一致は起きないんじゃないかというくらいの、アバター選択のバリエーションだった。

 私は、早く本編をプレイしたいという思いに駆られて、直感でアバターを選んでいく。結果、私のアバターは、青と白のツバ付き帽子を被り、サングラスをかけ、黄色の服と青のデニムパンツを履いた女性アバターになった。

 顔だけは自分に似せたが、服飾物は適当に選んで付けたせいで、インドア派な私には似つかない服装になってしまった。まあ、リア友にバレる心配が少ないと前向きに考えれば、ある意味こんな服装にしたことに意味があったのだなと思えた。

 さて、服装を選択したら、次は、名前の選択が待ち構えていた。というのも、私は、他の人と比べると、ネーミングセンスが絶望的に無いの。そのせいで、いつも目を瞑って適当にボタンをポチポチして選んでいるのだが、こんな偉大なゲームの中で、そんな事をして許されるわけもない。ここは、しっかりと名前を考えて、『Nine Emperors』のプレイヤーの中の一人として恥じないような準備をして、このゲームを始めなければ。

 十分ほど私が悩んだ末に生み出した一つの名前は、『テルルン』。輝夜という名前を、幼児風にしたものだ。これなら、『Nine Emperors』をプレイするのにあたって、恥ずかしくは無いが、それでも適当につけた名前よりはしっかりとした名前になったはず。

 名前の入力が終わると、いよいよゲームが始まった。辺り一面に広がる草原。何とも穏やかな空気が漂っていた。その草原の端の方には、小さな町があるようだった。本当にVRゲームなのかと目を疑うほど、精密に作り上げられた風景。制作会社の本気が伺えた。

 私は、先程目に入った小さな町を目指して、歩き出そうとした。けれど、ある約束を思い出し、その場で立ち止まる。

 私は、このゲームを始める前、同じ大学のゲーム友達と、今私がゲームをプレイしている日時に、ゲームを開始した場所で会おうと約束していたのだ。つまり、今、私がここから動いてしまっては、友達との約束を破ることになってしまう。ここで、友達が来るのを待たなければ。

 私がそのまま、友達が来るのを待っていると、


「輝夜?」


 と、誰かに背後から声をかけられた。私が驚いて後ろを振り向くと、そこには、私のゲーム友達、佐藤さとう はるかが腕組みをして立っていた。


「遙ちゃん! ちゃんと来てくれたんだ!」

「当たり前じゃない! 何せ、私が輝夜にゲームを教えられるなんて、初めてだもの!」


 遙がそういうのも、当然の話だ。というのも、私は、これまでの豊富なゲーム経験を活かして、新たなゲームを始めても、すぐに操作に慣れて、先にプレイを始めていたはずの遙をあっという間に凌駕してしまっていたのだから。

 ただ、VRゲームは、いくらゲーム大好きな私でも、あまり経験が無いがために、遥にでも、私を教えることができるのだ。

 さて、私と遥は会話を始める。


「さて、まずは何をするの?」

「うーん、そうだなぁ……まずは、この世界の情勢について教えておくね」


 そう遥は言って、話し始める。


「まず、この世界での全プレイヤーの最終目的を教えておくね。このゲーム内での最大の目的は、『九皇』の完全討伐よ」

「『九皇』……」

「『九皇』は、このゲーム内における最強の立場に位置しているの。このゲームのタイトルにもなってるわね。そして、全プレイヤーが『九皇』の討伐を夢見るのは、とある事情があるからよ」

「とある事情?」

「そう。全プレイヤーが『九皇』の討伐に憧れるのは、このゲームが発売されてから五年以上も経った今でも、『九皇』の討伐情報は確認されていないからなの」

「え? つまり、それって……」

「察したのね。その通りよ。未だに、『九皇』は無敗で、九体全員現存しているの」

「そんなに強い敵が……」

「まあ、公式も、長期に渡ってプレイしてくれるプレイヤーを大量に確保するために、明確なボスを配置して、それを公式シナリオの中に取り入れたんでしょうね」

「そんなに強いキャラを公式シナリオの中に……ってことは、まだ、その公式シナリオをクリアした人はいないってこと?」

「うん。そういうこと。さて、『九皇』については、また追々話すとして、次は、このゲームの基本の仕様を説明するね」


 そう遙は『九皇』に関しての話に区切りをつけ、再び長い話を始める。


「まず、このゲームの中で、プレイヤーを殺すのは、絶対禁止! 運営も妨害厨には厳しくて、プレイヤーキルが起きたら、殺した方のプレイヤーを一週間アクセス不可にして、さらに、これまでのデータを全て消去するとともに、キルされたプレイヤーとの繋がりを全部絶つっていう、他のどのゲームと比べても厳しいプレイヤーキル対策が為されてるんだよ。それがありがたくもあるんだけど……」

「間違えて仲間を殺しちゃった時が怖いってことね」

「そういうこと! で、次に、自分が殺された時にも、ペナルティーがあるの。そのペナルティーは、このゲームへのアクセスを二十四時間の間、不可能にするってもの」

「……それだけ?」

「何言ってるの、『それだけ?』じゃないんだよ! 例えば、三人組のパーティで活動していたとするよ。その内のリーダー格の人がモンスターにやられて、他の二人は、死にもの狂いで街まで逃げてきました。これが何を意味するか分かる?」

「え? 何を意味するかって……あ、分かった! リーダー格の人がいないってことは、他の二人も、その

リーダー格の人が戻ってくるまでは、戦力が足りないから、活動できないってことだ!」

「その通り。特に、攻略最前線組は、攻略サイトとかも作らなきゃいけない人や、単純に世界を取りたいっていう人もいるのに、殺されるたびに一日もプレイできなくなるのは迷惑だよね。ただし、プレイヤーキルされた場合は別で、その瞬間に、元の場所に戻されるんだけどね」

「なかなかにプレイヤーキルには厳しく取り締まっているんだね」

「それで、輝夜、輝夜はこのゲームの中で、何を目標にしたい?」

「そりゃあ当然、『九皇』の撃破だよ!」

「結構大きく出たね……じゃあ、輝夜に一番オススメするのは、レベリングかな。今から、剣を二本渡すね」


 そう言った遥から、剣を二本渡される。一本は、純黒に染まった刀身を持つ短剣で、もう一本は、鋼の刃を持つ剣だった。


「今、二本、剣を渡したけれど、黒い刀身を持つ短剣の方を使って、レベリングしてみて」

「了解!」


 こうして、私は、レベリングに出かけるのだった。

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