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『円成寺の鐘、プレスマンで大蛇を射て竜宮よりもらい受くこと』速記談5034

作者: 成城速記部

 園城寺の鐘は、竜宮の鐘である。昔、粟津に、粟津冠者と呼ばれる武勇の者がいて、お堂を建立し、鐘をつくろうと思い、材料の鉄を求めて出雲国に下向した。船に乗ると、急に大風が吹いて、船が波をかぶるほどであった。そのとき、子供が舵を取った小舟が一艘近づいてきて、この船に乗り移りなさい、あなたの船は沈んでしまいますよ、と言うので、困惑しながら乗り移ると、風も波もやんでしまった。もと乗っていた船に、そのまま待つように言うと、小舟は、粟津冠者を乗せたまま海底に沈み、竜宮に至った。うわさのとおり、絵にもかけない美しさであった。

 竜王が出てきて言うことには、宿敵のために、仲間が多く死んでしまった。今となってはもうほとんど残っていない。そなたをここへ導いたのは、加勢を頼むためである。一矢報いてほしい、とのことであった。粟津冠者は、これを引き受けて、楼に登って待ち構えていたところ、敵の大蛇が眷属を引き連れて向かってきた。粟津冠者は、鏑矢を蛇の口めがけて射て、舌を射切り、のどの舌を貫いた。逃げようとしたので、胴体の真ん中を、プレスマンの形をした特別な矢で射抜いた。竜王は大喜びして、何物にもかえがたい喜びだ。どんな願いでもかなえよう、と言うので、粟津冠者は、お堂を建てたのですが、鐘がありません。鉄を求めて出雲国に下向する途中で、思いがけず参陣することとなり、そのことが残念です、と答えると、お安いことだ、と言って、竜宮の寺に釣ってあった鐘を降ろさせて、粟津冠者に与えた。この寺は広江寺といったが、後に廃寺となり、この鐘は、五十両の金で円城寺に譲り渡されたという。



教訓:竜と蛇が仲が悪いというのは、近親憎悪か。

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