表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/59

EP.1 : 溢れ出すこの想い.6



「私……あんなに高い場所から落ちたのに傷ひとつ無いんだよなぁ……」

 見上げた先の高い事。

 理事長室がある九階の外壁にポッカリと穴が空いている。

「それがユニークスキル。貴女が異世界のモノを取込み、得た力です」

 さっちゃん飛んでる! カッコいい!

「私もさっちゃんみたいに飛べる力の方がいいなぁ」

 だって電車乗らずに学校来れるし、遅刻しそうになっても障害物が無いから直線距離で来れて楽だから!

「それは……隣の芝生は青く見えるもの、ですわ。私は桐藤さんの力の方が羨ましいですもの」

 そうなの? 結局私の力って何になるの?

「この力はいったい何なのさ?」

 さっちゃんが降りて来て私の手を取り、ゆっくりと上がっていく。

「ひゃぁあああ高い高い怖いよさっちゃん!?」

 なにさそんな不思議生物発見みたいな顔!

「いえ……一度落ちて無傷でしたのに怖がるのかと思いまして……驚いていますの」

 落ちて無傷でも怖いモノは怖いの!!

「もう落とさないでねさっちゃんっ」

 落とされない様にさっちゃんの細い手を力いっぱい握っておこう。

 何か《メキメキッ》って音がするね!

「私の手が……潰れてしまいますわ」

 じゃあ落とさないでね(ニコッ)。


「ふぃ──死ぬかと思ったよ……怖かった」

 さっちゃんに九階まで上げてもらったのは良いけど、この穴と地面に空いた穴はどうするんだろうか。

「さっちゃん、穴どうするの?」

 絶対警察案件になっちゃうよコレ。

「そんなの簡単ですの」

 さっちゃんが九階の穴から地面に手を向けると……爆心地かと言わんばかりの穴が塞がっていく。

「飛び散った土や瓦礫を埋めておけば問題無いですわ」

 穴埋め達人だ……便利だなぁ。

「壁も直しますからそこをどいて下さい」

 はいはいどきますね──って早!?

「一瞬で元通りだ……」

 ほぇ──コレどうやって戻してるんだろ。

「まだ触らないで下さいまし。押し固めただけなので形だけ戻っているにすぎませんの」

 そうなんだ。てっきり修復能力みたいなモノを使ってるのかと思ったのに。

「さすがにそこまで便利な能力は無いんだ」

 チートスキルみたいな感じで。

「何を考えているか大体想像は出来ますが、モノを修復するだけなら別に業者に頼めば良いだけですわ」

 それもそうか。職人さんならスキル無くても技術でどうにかなるもんね。

「じゃあ、さっちゃん。私を落とした説明……今度はちゃんと聞くからお願いね」

 本当に怖かったんだからね?

「すみませんでした桐藤さん。でも、あの魔石を砕けた時点で貴女が何がしらのスキルを得ている事は確認してましたので、危なければ助けるつもりでした」

 そうなの? けっこうギリギリだったよ?

「でもさ、私が魔石?を壊す前から分かってたよね。じゃないと理事長に連れて来ないもん」

 魔石壊したの理事長に来てからだよ?

「貴女が教室で笑顔になった時、人を超えた存在の様な威圧を放っていたので……まさかと思い連れて来ましたの」

 うん。それはね、もとからじゃ──い。

「へぇ……そんな威圧放ってたんだ……私」

 ミノさん食べる前から避けられてるのよ私! それが更にパワーアップしたってことなの!?

「まさか本当にスキルを得ている人だったなんて……当たりでしたわ」

 大当たりだねって違ぁあああう。

「それで、私のスキルは結局何なの?」

 ユニークスキルとか言われても分かりませんからね。どんなスキルなの?

「分かりませんわ」

 ほぇ……? 分からないの!?

「なんで? さっきスキルを得ている事は確認したって言ってたのに」

 言ってたよね? 間違ってないよね?

「あくまでスキルの有無を確認したまでですの。どの様なスキルなのかは……鑑定スキル持ちがいれば確認できますわね」

 それ……結局分からないってことだ。

「さっちゃんは鑑定スキルって言うの持ってないの?」 

 持って無いよね……持ってたら私のスキル分かるもんね。

「すみません。私のスキルは浮遊と念力の二つだけですの。以前は……いえ、何でも無いですわ」

 何か言おうとしたけどやめた!? 何言うつもりだったのか気になるなぁ。

「以前は……の後になんて言おうとしたの?」

 以前は……鑑定スキル持ってたとか?

 以前は……いっぱいスキル持ってたとか?

 むぅ、教えてくれなさそう。

「今は……言えませんわ」

 そんな悲しい顔しないでよ!

「言いたくなったらで良いからね」

 会って間も無い人には教えれない内容かぁ。もっと仲良くなろう!

「桐藤さん。今日は、ここ迄にしましょう。詳細はまた後日お伝えしますわ」

 そう? 私は今日でも聞くよ!

 あっ……さっちゃん疲れてるのかな。ずっと浮いたままだし車椅子持ってこなきゃ!!

「はい、さっちゃん座って」

 ゆっくりと車椅子に座り力を抜いている。

 やっぱり何かデメリットがあるのかなぁ、物凄く辛そうだ。

「ありがとう桐藤さん。それじゃあまた授業が終わり次第来てくださらない?」

 それは暗に今日は帰れって事じゃない!?

 でも無理に聞くのもなんか嫌だし……帰ろう。

「分かったよ、また明日ここに来れば良いのね!」

 授業終わったらかぁ、先にやる事があるからその後来ようかな。

「それじゃあ帰るね、さっちゃんまた明日!」

「ええ。桐藤さんも……また明日」

 ふふっ、少し恥ずかしそうにしてる。

 それじゃあ帰って、お手紙書かなきゃね!!


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ