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EP.17ただ想いのままに全力で.4



 男の娘に攫われて、大空からダイブして、地面に落っこち迷宮インして、ウリ坊ぷにぷに出来て、可愛い女の子にも逢えて、土竜さんには御免なさいだけど、大っきな猫ちゃんとも仲良くなれて、色々……色々あり過ぎたけど……ようやく帰って来れました!


「そういやスマホ見てないな、今何時だ……一日過ぎてたか。ふわぁ…眠い……華ノ恵の奴、一人だけ気持ち良さそうに寝やがって」

「怒らないのレオンちゃん、さっちゃんも色々あり過ぎて限界だったんだよ。それと、助けに来てくれて有難う御座います!」

「…………友達だからな、気にするな」


 レオンちゃんのお顔が赤い! 恥ずかしがってるんだよっ!


 それで現在──華ノ恵総合病院でさっちゃんをベッドに寝かせて、美人さんの寝顔をむふふって眺めてるの。ゆっくり休んで貰って、それからちゃんと実行しなきゃね。


「花乃歌…私もそこの空きベッドで寝るから、華ノ恵起きたら起こしてくれな……」

「オーケーですレオンちゃん。私はあと三日は起きて居られる気がするから、寝てて下さいな」

「三日って……花乃歌なら有り得るか、おやすみぃぃぃ……」


 即寝したよっ!?

 あれだけ動いたら普通疲れちゃうよね、有難うレオンちゃん。


    ────コンコンッ──ガラッ────


 誰って聞こうとしたら普通に入って来た……小々波さんだ……むぅ。


「起きてるのかよ花乃歌……取り敢えずこの部屋の使用許可貰ったから、このまま泊まっても問題無いぞ。学校とか、そこの金髪嬢ちゃんの家族へ連絡とかも大丈夫だ」


「……小々波さんって何者なのさ? そんな簡単に色々出来て、あの迷宮から出る時だって異常だったんだよ……ずっと、お肉屋さんと思ってたのに」


 本当にね、迷宮からの帰り道が、不思議を超えて異常だったの。

 魔物さんが、小々波さんを見た瞬間逃げ出したり、腹を見せたり(触わ触わ)、酷いヤツだと漏らして、直ぐお亡くなり……ショック死?

 遠くから、敵意増し増しで来る魔物さん達も居たんだけど……こっちに来る前に、何故かミンチに成りました。

 アレは不気味だった……まるで、見えない何かに解体されていた様な、思い出すだけでも吐きそうです。

 あと、何でお庭を散歩するかの様に、出口知ってるのさ……出たら出たで直ぐ救急車来てたし……異常過ぎる。


「何言ってるんだ花乃歌、俺は肉屋だぞ? ちゃんと営業許可証も貰ってるし、薄利多売で大忙しなんだ。知ってるだろ?」


「……嘘じゃ無いっぽいけど、何か隠してそうなんだよ……手続き有難う御座います!」


「その顔やめなさいって、無表情に声だけ元気は治らないのか……あっ、またアイツが会いたがっていたぞ。何でも、家に行ったら花乃歌居なかったから、米返しそびれたって残念そうにしてたな」

 

 誰? お米……そう言えば、私ママにお米送ったんだった!? じゃあその人って、八代ママっ! 


「八代ママ……わざわざ会いに来てくれたんだぁ、お米貰ってくれても良いのに」


「偶には帰ってやれ、あいつアレでも寂しがり屋なんだ……くくっ、そんじゃ俺は行くぞ、仕事有るからな。花乃歌……良く乗り越えた、流石アイツの娘だよ」


「……何か小々波さんって、お爺ちゃん見たいな──行っちゃった……そう言えば、小さい頃にママが言ってたなぁ」

『何があっても、お爺ちゃんが近くで見守ってくれてるから、安心なの』


 まさかね……どう見てもお兄さんだし、小々波さんがお爺ちゃんなのは、地味に嫌だし気持ち悪いんだよ。


 それに、さっき少し笑った? 何で?


「何見て笑っ、さっちゃん……起きてる?」

「…すぅ…すぅ……すっ…すぅ……」


 怪しい……なんか今、息詰まったし。


「さっちゃーん…頬っぺむにっと……」

「ひゅぅ…ひゅぅ…ひゅぅ…ひゅぅ…」


 面白いお顔になりました!

 これは写真に残さなきゃっ……バッテリー切れだった!? くそぅ、後で充電器借りなきゃ。

 むぅ…中々尻尾を出さない。

 それなら、お口をムニムニして、御顔を近付けてっと。


「さっちゃーん、このまま全力キッスするんだよぉぉぉ」

「(くわっ!)起きてますわ!?」

「ぶちゅぅううううう『む──っ!?!?!?』」


 さっちゃんのお口の味は若干吐瀉臭……そう言えば気絶したときに、少しだけゲロっぱしてたんだよ……ウリ坊ちゃんのお鼻よりかは、臭く無いから大丈夫!


「ぷはっ!? 貴女は何をしてますの! こんなっこんな場所でっ!」

「むふふ、お顔が赤いんだよさっちゃん! 癖になる美味しさでした!」

「んがっ…煩せぇな……起きたのかよ華ノ恵、何で顔真っ赤なんだ……」

「それはねレオンちゃん、今『お黙りなさい桐藤さん!』え──っ!? 花乃歌呼びじゃ無いんだよ!」


 ガラッ────『病院内ではお静かに……』


「「「あっはい……」」」


 視線で人を殺せそうな看護師さんなんだよ……殺し屋か何かなの……怖いっ。しかも何で手にメス持ったままっ、ここって病院だよね? 実験施設とかじゃ無いよね?


「ふぅ……中々パンチの効いた看護師だな、ちびるかと思った……」

「心臓バクバク鳴ってるんだよ、あの人は要注意っ、怖い……」

「桐藤さんが怖がる人……差し詰めあの看護師は、死神といったところでしょうね」


 さっちゃん、それは私にも看護師さんにもダブルで失礼なんだよ! 


 少しは落ち着いたかな……じゃあお話ししないとだね、さっちゃんの想いを吐き出させるんだよ! 吐瀉物の様に!



「さっちゃん……色々御免なさい」

「桐藤さん急に何をっ、謝るべきは私の方ですわ! 貴女の両親をっ……貴女の家族を殺しておきながらっ、貴女にっ、私わっ!」

「花乃歌の両親を華ノ恵が? 何言ってるんだ華ノ恵……意味分かんねぇ」


 レオンちゃんは知らないもんね、お話ししなきゃ。


「レオンちゃん、それは『桐藤さんっ』」

「それはっ、私が話ますわ……私のっ、口から」



 それからさっちゃんは話した。

 五年前、何が起きたのか。

 原因はあの男の娘。

 男の娘が偶然、車に乗って居るさっちゃんの姿を見かけて、襲って来た。

 その当時は、スキルは少し使えたけど、普通の御嬢様だった。

 車は大破し、さっちゃんのママが死んだ。

 それが発端となり、さっちゃんは前世の記憶に侵食されて、スキルが暴走した。

 気付いたら家に居て、直ぐに自ら起こした破壊の状況、被害の有無を調べた。

 負傷者一名、ガス爆発に巻き込まれつつも生還。

 でもそれは、さっちゃんのパパが財力と権力を総動員して、揉み消した後の情報だった。

 実際には、死者百二十三人、負傷者約六百人と、終末の刻以来の死傷者数。



「これが、私の罪ですわ……何も知らずのうのうと生き、愚かにも、被害者である桐藤さんにっ……桐藤さんや、他の被害者の方にはっ、私を殺してっ『なぁ華ノ恵御嬢様、歯ぁくいしばれっ!』」


 ドズンッ────『ごぇっっっ!?』


 レオンちゃんっ!? レオンちゃん歯を喰いしばれって言っておきながら、ボディにパンチでエグい音鳴ったんだよっ!? それにさっちゃんがベッドに下呂下呂してビチャビチャなんだよ!?


「なぁ華ノ恵……お前とは、小さい頃から何かと絡んでるけどなぁ……お前殺す程度で済む問題じゃ無いだろうが! 花乃歌に聞いたのか! 何をしたら償いになるのか! 死んだ奴の家族に聞いたのか! 死んで詫びになるのか! 一人でウジウジウジウジとっ……何か有れば相談ぐらいしろよ……何も出来無いけどさ、話ぐらいなら聞けるんだぞ……この馬鹿がっ」


 レオンちゃん……相当さっちゃんの事を心配してたんだねぇ、むふふっ、仲良しさんだぁ。


「それっ、それでも……だからこそっ、私は……堪えれませんっ…多くのっ、ひどをっ、ごろじてっぐぅぅぅっ、わだじっ、どうずればっっっ────『さっちゃん、私達がいるんだよ』」


 ようやく泣いた……さっちゃんは想いが、優しさが強いんだよ。だから堪えられない、消えたくなっちゃうんだよね。

 それなら、一人じゃ堪えれないなら、三人で分け合うの。

 被害に遭った人に、謝りに行きたいなら、ついて行ってあげる。

 何か言われても、一緒に受け止めてあげる。

 変な人に絡まれたら、レオンちゃんの声で混乱させるんだよ。

 迷宮で、私ちゃんと言ったよね。

 好きな人を抱き締めるって。

 だから、泣いているさっちゃんを優しく抱き締めるの。

 子供の様に泣いている、その優しい背中をさすってあげるの。

 因みにレオンちゃんは頭を撫でる担当です。

 

「さっちゃん……言い忘れてたけど、助けに来てくれて有難う。私はさっちゃんの友達で良かったし、これからも一緒なんだよ」

「かのっちゃんっぅぅぅっ」

「はぁ……頼むぜ華ノ恵、お前がシャキッとしてないと、こっちも絡み辛いんだからな……」


 レオンちゃんお顔真っ赤……辛口だけど、やっぱりさっちゃんの事好きなんだね!


「なんだよその顔……」

「何でも無いよ……さっちゃん寝ちゃった……」

「……すぅ…すぅ…まま…すぅ…すぅ…」


 ままっ!? 私を掴んだままままっ!?


「ぷっくくっ、友達からママに昇格じゃん花乃歌っ、良かったな」

「待ってレオンちゃんっ! さっちゃん寝てるからこれは寝言っ……私下呂塗れっ!? さっちゃん起きてっ、お布団変えなきゃっ、ベタベタするんだよぉおおお────」

「……すぅ…すぅ…すぅ……」



 私はママじゃ無いんだよぉおおおっ!

 下呂臭いぃいいいっ!

 


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