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EP.17 ただ想いのままに全力で.1



 花乃歌に派手な子供が飛びかかった瞬間、静かに風が通り抜け、目の前から、あの派手な子供が消え去っていた。私は意味が分からず、ただ呆然と立っていただけだった。


「何……消えた? あれっ?」


 周りを確認するが、虹色の子供の姿が無い。

 ここに居るのは、何故かむにゃむにゃと気持ち良さそうに寝ている花乃歌だけ。


 色々有り過ぎて頭が混乱してきたぞ……何だ今の変な風、何かが通った? んな訳無いよなあんな一瞬で。


「あの男っ、何故迷宮に居るの……」


 華ノ恵は何か見た様だな、男って誰だ?


「──余所見が過ぎるぞノアンっ!」

「チッ、移動スキルですのっ!?」


 凄っ、赤い男が華ノ恵の槍を掻い潜って肉薄しやがった、何か映画観てるみたいだな。

 炎の剣が八つに裂けて──四方八方から華ノ恵に斬りかかってるけど、華ノ恵はその全てを操作、誘導して、上手く躱してる。

 でも──徐々に押されてるよな、私に何か出来る事は……花乃歌を起こす事か!


「おい花乃歌っ!(ぺちぺち)良い加減起きてくれよっ、じゃ無いと華ノ恵がヤバいんだよっ」

「ママ……むふふっ……」

「寝てる場合じゃ無いってのっ、花乃歌っ!」

「ウリ…ぼ……すぅ…すぅ…」


 起き無いか……仕方無い。

 あの時花乃歌には通じなかったけど、耳元で意思を込めて叫べば良いんだっけか……死なないよなっ。


「ぐぅっ、昔も今もっ、私の邪魔ばかりするのねゼグッ!?」

「ははっ、お前は昔から近接は弱かったなぁノアンッ!」


 華ノ恵──っ、肩から血がでてんじゃんっ、不味いだろあれはっ!


「魔王だったお前がっ、『斬』まさか良いとこの御嬢様に成るなんてなぁ『斬』 俺とは大違いだっ! 『斬』俺はこんな糞の詰まった世界とおさらばしてっ! 『斬』あの世界に帰りたいんだよ! 『斬』邪魔するなぁあああっ!『斬』」


「ぐぅっっっ、はぁ…はぁ…私とは大違いねゼグッ、私はあの世界に未練は無いの……あの境界を渡れはしないっ、迷宮は育ち続けてるもの。貴方こそっ私の邪魔をするなぁあああははははははっ……ふぅ、『圧縮回転』」


「ノア──ッ、がぁあああっっっ、ははっ、少しは魔王らしさがっ、痛っ戻ってきたか……腕が死んだじゃ無ぇかよおいっ!」



 何だあれ……華ノ恵……お前何でそんなに楽しそうに── 『野小沢さん、私が理性を失ったら、スキルで気絶させて下さい』っアレの事かよ御嬢様っ!?



 どっちだっ、華ノ恵か、花乃歌か、先にどっちにスキルをっ────

「ああっ面倒臭せぇ! すぅぅぅっ──」

────息が続く限りっ、この場の全員に打ちかませば良いだけの話だろっ!!



「いい加減休ませろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお────────!!」



 あっ……酸欠…『レオンちゃん!』

 あぁ…ようやく…起きやがった……私は…疲れたから…もう無理……。


            ◇ ◆ ◇


「いい加減休ませろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお────────!!」

「がぁあああ!?!?!? あの女っ今意識を離すとっっっ、魔法が暴発するっっっ!」

「野っ、煩いっ、頭がっ、ぎぃいいいっ、人は醜いっ、殺さなきゃっ、違う違う私がっ、私の所為でっ、殺さないっ、殺さなきゃっ、ああああああああああああああ『レオンちゃん!』」




 あぁ、花乃歌……私の事を友達だと言ってくれて、笑顔を向けてくれた大切な人。

 私を見て! 私に笑顔を頂戴! そんな女は放って置いても良いじゃないっ!

 あの笑顔を見た時、初めて心を奪われた。

 擦り寄ってくる大人や、顔色ばかり伺うクラスメイトとは違って、貴女は純粋に、私に好意を向けてくれた。

 嬉しかった、凄く凄くうれかった。

 本当は、かのちゃんって呼んで、楽しい学生生活を送りたかった。

 だけど、でも、だからこそ、私のした事は許され無い、許しちゃいけ無い。

 花乃歌の幸せを壊して、のうのうと前に立ち、笑顔が欲しいだなんて……浅ましい、醜い、穢れた想い。


「糞がっ、暴発する──『圧縮っっっ!』がぁあああ!? ノアン糞っ、俺の右手ごとっっっ」

「離れなさいゼグ……両手が使い物になら無い貴方では、もう戦えませんわっ!」


 ゼグの腹目がけてスキルを全開にした全力の蹴り『ごはぁっ!?』を放ち、そのまま地面に叩き付けた。


「あとはこの魔法をどうするか……っ、以前の私も失敗したのですわ」


 魔法を圧縮し続けるにも限界がありますしっ、このまま全力で迷宮を脱して、空へ……間に合いませんわ。


「なら──下層へっ!」


 魔物の気配が集まる場所の先──下層へ行く為の何かがある筈です、急が無いと!



「待ってさっちゃん!」



「──っ、花乃歌、野小沢さんを連れてここから離れなさい。でないと私は……っ」




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