EP.14 三者三様一混乱
「野小沢さん! 下ろしますから花乃歌の保護を!」
「ああ! ついでに先手必勝──っ花乃歌から離れやがれぇええええええ────!」
────キィイイインッ────
「これは……ゼグ耳をっっっほぁっ!?」
「がぁあああっ、あの女っ、エグいスキル持ってやがるっっっ」
花乃歌が居るから範囲攻撃は出来ませんが、今なら狙い撃ち出来ますわ!
木々を圧縮、細長い槍を作って────狙うはそこの転移持ちっ!
「ゼグっ! 花乃歌に何をしましたのっ!」
全力で──撃ち放つ!
全盛期の私程では有りませんが、ただの人である貴方になら通じるでしょう! ゼグっ!
「ぐぅあああっ! 俺に精神干渉なぞ通じるかっ! 『炎剣招来っ!』伏せろ白瓦ぁあああ!」
「──ほっひゃい!?」
チッ、まだあの様なスキルを隠していましたか、ここに有る物だと相性が悪いですわ。
でも──木々はまだまだ有りますのっ、そこの転移持ちを殺ればっ、今後貴方は好き勝手出来なくなりますわ!
「おい華ノ恵っ! 花乃歌に当たるだろっ! これじゃあ近付けないぞ!」
「その様なへまは致しませんっ! 私が押さえている今の内にっ、さっさと花乃歌を回収して下さらないかしら……っ!? 行きなさい!」
くっ、予想以上に侵食が早いっ、前の記憶に引き摺り込まれるっ、早く殺りませんとね。
「華ノ恵っ、私にも当てるなよ!」
だから早く行きなさいっ!
くっ、中々しぶとい……ゼグに反撃の糸間を与えてはいけないっ。炎剣まで使えるのなら──この場所であの魔法撃たれたらっ、防ぐ手段がありませんわっ!
◇ ◆ ◇佐凪夜視点◇ ◆ ◇
「あの糞女っ、ここまで力が戻ってやがったかっ、おい白瓦! 『ほっひゃ?』っこの役立たず馬鹿さっさと目を覚ませっ!?」
糞っ、さっきからバカスカ撃ち込みやがってっ、捌くコッチの身も考えやがれっ!
白瓦目掛けて次々に撃ち込まれてくる槍──相性は良いけど数がっ、『うじょっ!?』多いっ、『のじゅっ!?』んだよっ!
「だぁああああああっ動くな白瓦っ! 丸まって身を屈めてろっ!」
この馬鹿がっ、前世のノリで大丈夫だと思ってスキル喰らいやがって! 今のお前はスキル耐性何て無いだろうがっ!
「このままじゃっ、ジリ貧か……また力を蓄えるのに時間がかかっちまう。最下層での化物用だってのに……この馬鹿の所為だなっ!」
左手に炎剣を持ちつつ迫り来る槍を捌き、右手に力を込めていく。
地球には魔法が無い。
当たり前だと思っていたが、記憶が戻った事でそれは違和感へと変わった。
なぜなら、魔法が使えたから。
俺の首を絞め、楽しそうに笑って居やがる糞二人を、記憶が戻った瞬間に焼き殺した。
人を護り続け、魔物を狩り続け、果てには魔王と成っていた、あの糞女を消した魔法。
赤の勇者として極めた、神話の時代の魔法。
「──っ、難点は、溜めが長いって事だなっ、それまでしのぎ切れるかっ!」
俺一人なら何とかなるが、『ほぁ?』この馬鹿が居るからなぁあああっ!
「いい加減早く起きろこの馬鹿餓鬼があああ!?」
「ほっひょぃのしゅっ!?」
◇ ◆ ◇野小沢麗音視点◇ ◆ ◇
私は何を見てるんだ。
華ノ恵の奴が、次々に木を細長くして、それをまるでミサイルの様に撃ち込んでるんだが、あの派手な髪色の男は、それを炎で消炭にしながら防いでいる。
そりゃあ、華ノ恵が空飛んだり、花乃歌がコンクリ破壊したりとびっくりしたわ。
でも、この目の前の光景は、流石に現実離れし過ぎだと思うぞ……。
「──っ、呆けてる場合じゃ無ぇ、花乃歌!」
走って花乃歌に近づき、少し驚いた。
だって花乃歌……立ったまま白眼剥いて意識無いんだぜ。
「おーい花乃歌、駄目か……しゃあない、背負うか──重っ!?」
意識が無い花乃歌を背負ったけど、なんだろコレ……ベンチプレス百キロを軽く超えてないか!?
一瞬でも気を抜いたら、腰がっ……絶対っ……間違い無くっ……死ぬぞこの重さっ!?
「でもっ(ずりずり)何とか背負ってる私もっ、(ずりずり)少しは成長してるって事っ(ずりずり)だよなっ!」
御免なさい嘘つきました引き摺ってます。
花乃歌の両足持って、引き摺ってます。
たかが女子高生に百キロ越えはキツいって、この歳で腰を壊したく無いぞ。
「アレにっ、(ずりずり)巻き込まれっ、(ずりずり)もう少しっ、(ずりずり)離れてっと──何で花乃歌こんなに重いんだよっ!?」
アレか……筋肉量多いからか?
こんな小さい身体のどこに筋肉あるんだ……腰痛てぇ……帰ったら絶対、花乃歌にマッサージして貰お…………折られそうだから店に行くか。
「ふぅ、目算三百メートル程か……もう腰痛くて無理だぁっ、これぐらい離れりゃ大丈夫だろ」
体力が一気に奪われたな、座って休むか。
やっぱり花乃歌の頬っぺたは柔らかいなぁ(ぷにぷに)……早く起きろよ花乃歌、私ら迎えに来たんだからさ。
華ノ恵の奴も何かいつもと様子が違うし、早く起きて抱き締めてやれよ……そうしたら、いつもの御嬢様に戻るだろうし。
「あの戦いぶり……昔の映画であんなん居たなぁ」
頼むよ花乃歌……あの馬鹿を……止めてやってくれ……腰痛ってぇ。




