EP.12 二名様御案内〜 .2
「痛っ、今度は何だ……洞窟?」
何で落ちて来たのに天井に穴が無いんだ……と言うか、何でここは穴だらけなんだ。
「意味分かんねぇ、迷宮って一体なんなんだ…」
あー尻痛っ、結構強く打ったな。華ノ恵は何処に居やがる……あいつ飛べるからって無茶しやがって。
「野小沢さんっ、ウリ坊は居たかしら!」
コイツっ……やっぱり焦ってやがるな。
「居たかしらじゃ無いわ! 華ノ恵御嬢様よ、お前少しおかしいぞ、あんな無茶しやがって。迷宮って下手したら死ぬんだろ……あんなやり方ばっかりしてたら、命が幾らあっても足りないぞ……」
「──っ、悪かったわ……御免なさい」
花乃歌を見つけたいのは分かるけどな、こんな意味分からん場所で無茶なんてすれば、間違い無く花乃歌に会う前に死んじまうぞ。
それに…華ノ恵の体調もどうだかな。
昨日スキルを使って飛んできた時、相当疲弊してたっぽいし、無茶なんてさせられ無いぞ。
「頼むぜ華ノ恵……倒れられたら、私だけじゃあ無理だからな」
「……ええ、それは私もよ野小沢さん」
花乃歌ならどうだろうか……普通に暮らしてそうだな、しかもウリ坊抱きながら。
不安な要素が一つも無い。
「それでよ華ノ恵、何かこの場所…おかしくないか? 迷宮だからって言われりゃそうなんだろうけどさ……この穴、どう見ても不自然だろ」
まるで重機を使って掘ったかの様な……穴の先が真っ暗で見えないぞ。
「プゴッ?」
「んぁ?」
「野小沢さん捕まえて!」
いつの間に私の足下に──「待ちやがれ!」
「プゴップゴップゴッ──」
くそっ、奥に逃げやがった!?
何て速い奴っ、逃すか!
「華ノ恵! 追うぞ!」
「分かってますわ! あのウリ坊、人に慣れてますわよ!」
だろうなっ、じゃなきゃあんな近くまで寄って来ないし、何より──『プゴゴッ』コッチをチラチラみて遊んでやがる!
「華ノ恵! 耳を塞げっ、『分かりましたわ!』すぅううう────」
洞窟内なら──反響して効果が増すだろ!
「止まりやがれこのボタン鍋のメインディッシュがぁああああああ────────!!」
────キィイイインッ────
「ポゴップゴゴゴッ!?」
どうだウリ坊っ、洞窟の壁が振動する程の音量だ、身体の芯まで響くだろ!
「捕まえましたわっ……泡吹いて失神してますわね。この場所だと、野小沢さんのスキルが役に立ちますわ」
「そりゃどうも。んで……そのウリ坊使ってどうやって花乃歌見つけるんだ?」
私のスキルだと、動きを止めたり、酩酊混乱ぐらいなら出来るけど、洗脳はやり方分からないから無理だぞ。
「(ごそごそ)これを使いますわ」
「なんだそ…れ……おい華ノ恵、それって……」
「えぇ、花乃歌の下着ですわ。これをウリ坊に嗅がせて、花乃歌の居場所まで案内して貰いますの」
はっははっ、マジかー華ノ恵御嬢様が下着泥棒……ただの変態だろそれっ!?
「華ノ恵…お前変わったな……悪い意味で」
「何をおっしゃいますの。この下着は花乃歌が我が家に泊まった際に、忘れて行った物ですわ。ずっと持っていて、返すのを忘れておりましたの」
うん、言い訳がましいな。
花乃歌に会ったら伝えてやろう、物凄く面白くなりそうだから。
「はいはい分かった分かった、早くそのウリ坊起こして臭い嗅がせようぜ」
「ええ、早く花乃歌を見つけませんと……」
「おーい、起きろウリぼーう……起きないぞ」
「そういう時は、ここのツボをっ『プギョッ』押せば大体起きますわ」
おい……『プギョッ』って言って涙目じゃんウリ坊、少し可哀想に思えてきたな。
「プップゴッッッ」
「ほら起きたならコレを嗅ぎなさいな(グリグリ)」
「プゴップゴッブキュッ!?」
うわぁ、花乃歌の下着をウリ坊の鼻へ捩じ込んでる、容赦無ぇ。
「プププッゴッ……プゴォオオオ────!!」
「っ、何だ急に大声だしてっ!?」
「これは……いけない! 『プギュッ!?』野小沢さん! 急いで此処を離れますわよ!」
「どうした華ノ恵、何で──」
「何でもです! 早くっ!」
────『ブゴォオオオオオオッ』────
「いっ!? 何だ今の声っ、耳が痛っ」
「迂闊でしたわっ、まさかダイレクトに中層へ来てるなんて……っ」
────『ブゴゴゴッ』────
えっ、ここ中層なのか、上層じゃ無くて?
つーか今の声何だよ、洞窟の奥から響いて来たけど。
────『ブゴゴッブゴッブゴッ』────
「何か…揺れてないか…地面……」
「気を付けなさい野小沢さん。このウリ坊、特殊個体な上に仲間を呼びましたわ……」
その小さいウリ坊が仲間を呼んだ? ウリ坊の仲間って事は──ウリ坊か?
────『ブゴォッ』────
「どんどん揺れ酷くなって無いか!? なぁ、さっさと行こうぜ華ノ恵!」
「遅過ぎましたわね……っ」
何処見て──「デカっ!?」
この洞窟はそこまで大きく無い。
大きく無い筈なのに……それを無視するかの様に、ミチミチに詰まりながらも歩いて来る巨大な塊。
まるで小山の様なその大きさのソレの、茶色い草が猛々しく逆立ち、まるで怒り心頭に発すると言わんばかりの圧を放っている。
「プゴッ!」
「異常個体……スピリットボアッ、来ますわよ!」
「何だその名前っ!?」
────『ブゴガァアアアッ!』────
速っ! 押し潰されるっっっ!?
死んだ!? 私死んだ!?
「──沢さ─」
糞っ、まさか死因が大猪に潰されてなんて、あんまりだろっ!
「──小沢さ─」
花乃歌……せめて最後に逢いたかった……何か痛く無いな、死ぬってこんなもんか?
「野小沢さん! しっかりなさいっ!」
「うぉっ、華ノ恵……あれっ? 私死んで無いのか……」
『ブゴガァアアアアアア────ッ!!』
うひぃっ!? 大猪の顔が目の前に──何か壁があるぞ……何だこれ。
「私のスキルで膜を張ってますのっ、流石にスピリットボアには通じませんからっっっ、ひたすら押されてますがっ──」
「因みに……後どれぐらい保つんだ?」
「精々っ、一分と言ったところでしょうかっ、ぐぅうううっっっ」
残り一分か……『プゴッ……』コイツが呼んだんだよなぁ、大猪。
「……なぁ、あれはお前の親か?」
「プゴッ?」
こいつ返せば……許してくれないかな?
「野小沢さんっ、何をしてるの! そのウリ坊を離したら駄目よ! 花乃歌を探してっっっ」
『プギャァアアアアッ! ブゴガァアアアッ!』
やっぱり……大猪の目線が、ずっとウリ坊に向いたままじゃん。
「なぁウリ坊、お前のとこに花乃歌来てなかったか……」
「プゴォ……?」
ウリ坊が頭捻ってるよ、凄い光景だな。
『プギャァアアアアォオオオッ!』
「ぐぅうううっ、流石にっ、これ以上はっ──」
華ノ恵も限界だな、仕方無い。
「ほれっ、家に帰りなウリ坊。捕まえてすまなかった、花乃歌を探したかっただけなんだ……」
「野小沢さんっ!?」
「プゴッ──プッゴ、プッゴ、プゴッ!」
あぁ、何か走り方可愛いな。気楽にお尻振りながら走ってるぞ、花乃歌の気持ちが少し分かったかも知れない。
『ブギィイイイッ』
「プゴッ…プゴプゴプゴッ…プゴッ!」
ふぅ、突進止めたか……やっぱ親子、そりゃあ大猪も必死になるわ。
「っ、はぁっ、はぁっ、野小沢さん貴女っ、花乃歌を探す為にはウリ坊が必要っげほっ──」
「仕方無いだろ華ノ恵……お前限界だし、死んだらどうやって花乃歌を探すんだよ……」
はぁ……ここからどうやって花乃歌を見つけりゃ良いんだろ……『ブギィ』何だ? 大猪がこっち見てる。
『(スンスンッ)ブギィ、スゥウウウウウウウウ』
「プッゴープッゴープギッ」
「なぁ華ノ恵……アレって何してると思う……」
「息を吸っていますわねっ、流石にもう防ぎ切れ無いですわよ……」
何かウリ坊も……何だよその踊り。
「プゴォ(トントンッ)」
何してんだウリ坊? 地面が柔らかくなって行くぞ、これは──スキルなのか?
「スキル持ちの魔物っ、特殊個体では無くあのウリ坊も異常個体っ!?」
「へぇ……土を柔らかくするスキルなのか……何で今使うんだ……」
息を吸い続けている大猪に、洞窟全体を柔らかくしているウリ坊、その答えは直ぐに分かった。
『ブフゥウウウウウウゥ────────ッ!』
「うわぁ……生暖かくて少し臭い息っ、じゃ無くてっ、押されてっ、踏ん張り効かないぞ!?」
「何をっ、『プゴッ』ウリ坊貴方……っ、野小沢さん! このまま飛ばされますわよ!」
「そんな事言われてもっ、どちらにしろ飛ばされるけどなぁあああ──っ!」
「──プゴォップゴプゴッ」
足を地面から離すと、大猪の鼻息で飛ばされて奥へ奥へと進み、『壁』に打ち当たるかと思ったその時────まるで、『柔らかい膜』に包まれるかの様な不思議な感触を身体に感じ、そのまま壁を突き抜けた。
その先には────青い空が広がっており、下を見ると森、森、火事?
「また空かよっ、飛べるのか華ノ恵!」
「ええっ、最悪とっておきを使いますわ!」
とっておきって何だ……そんなん有るなら、さっき使えば良かっただろ。
「ここは何だ、森林エリアって言うのか? 何かあそこだけ燃えてるけど──っ、花乃歌!?」
「野小沢さん、私が理性を失ったら、スキルで気絶させて下さい……んぐっ」
あっ? 今華ノ恵の奴何飲みやがった……緑がかった石の様な物──っ!?
「華ノ恵っお前今のっ……」
「流石に限界でしたからね……これなら、かつてのチカラをっ、少しだけですが使えますわ」
「あんなモノ普通飲むかよっ、何か有れば気絶させりゃあ良いんだな! やってやるよ華ノ恵御嬢様っ! 全力で叫ぶからなっ!」
いっっっ、急に華ノ恵から変な圧が出たんだけどっ、何だこの変な感じ。まるで、さっきの大猪が現れたかの様な圧だ。
「行きますわよ全力で……ゼグッ」
「誰だよそれ……」
心優しきスピリットボア……ウリ坊……
次に花乃歌と出逢ったら…牡丹鍋ですかね?
はいはい後書きのお時間デスっ!
ミノ活も後半戦! 読んで頂いて居る皆様に感謝!
話の展開がスローペースなのは申し訳御座いません!
いやぁ、ウリ坊可愛いですね(唐突に)。
ぷちぷち潰されていたあのウリ坊が、地味に強くて実は優しい! 戦ったら死にますからね! バッドエンドはお断りですよまったく……。
だから実際にウリ坊見かけても近付かない、触らない、出来れば離れる! じゃないと猪突っ込んで来て、足を噛まれるだけなら良いけど、骨……折れますからね。
何だろう……後書きのつもりが注意喚起になってしまった……まぁ良いか!
何はともあれ、あと少し?続きますので、皆様何卒最後までお付き合い下さい!




