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EP.11 熊さん虎さん土竜さん.3



 先ずは下草を抜いて、石で囲って火を付けます。勿論抜いた草にだよ。

 次に、その熱い石の間に黒い草を挟んで、ゴリゴリと擦り付けて『熱っ、よく持てましゅねっ!』から、大きな子猫ちゃんの傷に塗り込むんだよ。


「ミィィィッッッ」

「御免ねっ、痛い痛いだよねっ、良し終わった、終わったんだよ……モフモフだぁ」

「グルゥアッ(べろんっ)」

「ぬわっ!? 顔がベタベタ……」


 親猫さんの舐める御褒美……顔が涎になりました。可愛いから良いけどねっ!


「がっ……くっ…そ、痛てぇ……」


 うんうん、ちゃんと男の娘は生きてるんだよ。仰向けに寝転がってて辛そうだけど、大きな傷も無いし、猫さん偉い!


「子猫ちゃんを傷付けた罰だし、私なら玉を狙って潰しているところだよっ」

「意味が分からないでしゅ、コイツらは魔物なんでしゅよ。しかも中層に居ながら、下層クラスの化物でしゅ……化物どおし、気が合うでしゅか?」


 別に私はこの猫さん達に襲われて無いから、戦う理由がこれっぽっちも無いんだよ。それに私は、猫さん大好きだからねっ!



「グルァウッ……」

「ミィィィッ」


「あっ……もう行っちゃうの猫さん……」


 猫さん達が、ゆっくり離れて行っちゃうんだよ。

 ぬぅぅっ、この二人が居るから猫さん達を追いかけられないし、またいつか会えたら、今度は一日中モフモフさせて貰おう。私の事、覚えててくれたら良いなぁ。



「……助かったでしゅ。全くゼグはっ、何であんな特異種に喧嘩売るでしゅかね。あの化物の視線を受けたら、スキルが不安定になって転移出来無いって、何回も注意したでしゅ」

「悪っ、かったよ白瓦っ……ここに化物居て助かったぜ……」


 あの猫さん達、そんな事出来たんだ……私は別に何ともなかったよ? 何でさ……猫さん達と仲良くなれたから良いけど。


 ふぅ……っと一息吐いてっと。

 

 それじゃあ二人を見つけたし、腕を回して背伸びしてっと──、「やろうかなっ(ニコッ)」

「何がでしゅか化け──っ」

「何だ……どうした白瓦っ」

「先に襲って来たのはそっちだったよねっ。大の字に寝てるし、玉潰しで男の娘にするチャンスなんだよっ──ふんっ!」



 寝転がって居る男の娘の一部を狙って、軽めの飛び込みパンチッ──やっぱり消えたっ! チッ、地面が凹んだだけなんだよっ。


「──っぶねぇな…卑怯じゃ無ぇか、こちとら連戦続きで弱ってるのによ……」

「先ずは私に感謝するでしゅゼグッ。あの化物、本気で玉を狙ってたでしゅよ、人間のやる事じゃ無いでしゅっ!」


 私の後ろに回ったんだ……何で見えない所に逃げないんだろ。


「せっかくレオンちゃんとお買い物してたのに、意味が分からないまま、知らない場所に連れて来られて……挙句、お空から落下で迷宮にダイブなんだよ。玉の一個や二個潰されるか、大人しく私を地上へ帰すか、今すぐ選んで下さい」


 私的には玉を潰してから、地上へ帰るがベストなんだけど、逃げられちゃうもんね。


「だそうでしゅよゼグ、どうしましゅか……あの目は本気でしゅよ」


 本気も本気、帰してくれないと全力でぶつかりに行くんだよ?


「白瓦……迷宮の最下層まで、ここからならどれぐらいで到着出来そうだ?」

「フロアがデカ過ぎでしゅから、そうでしゅね……目の前の化物が居れば、二ヶ月から半年と言う所でしゅかね」

「俺達が中層まで、コツコツと進めて一年半だって言うのに、あの化物が居れば半年で最下層ってか……理不尽過ぎるな」


 何ささっきから、私を見て化物化物って失礼な二人組なんだよ。何処からどう見ても、健全な女子高校生ですからね。


「帰してくれないなら……本気でやるからね」


 拳をにぎにぎ準備はバッチリです。

 あの────お空高くから地面を割った時ぐらいの力で、男の娘の股間を殺る気全開だからね。


「ゼグッ、やっぱりあの化物っレベルが上がってるでしゅ……まるで竜の威圧でしゅよっ」

「化物が更に化物ってか……糞っ、ここで言うしか無いか」


 何をさ? 玉は絶対に潰すから、何を言っても無駄なんですけど!


「なぁ……桐藤花乃歌……五年前の事は覚えているか」


 何で私の名前知ってるの……五年前?

 五年前……っ、頭痛いっ、そうだ……お父さんが死んじゃった年だ。


「それが何なのさ……どうしてそんな事聞くの、貴方に関係無いでしょ」


 頭が痛い…何で急に…男の娘が何かした?

 そんな風には見えないっ痛いっっっ、泣いちゃいそうなんだよっ。


「覚えているのか? あの時の事を?」


 あの時の事? 何言って────『花乃歌』

 えっ、何今の……痛っ、頭っ割れそうっ!?


「……これを見ても、思い出さねぇか?」


 何をっ、黒髪が……赤く燃えてっ…赤い髪?

 赤い髪…………白い髪……

 赤い髪…………白い髪……

 何これ……私こんなの知らない……

 知らない筈なのに……どうして……


「ゼグッ、様子が変でしゅ……」

「邪魔すんな白瓦。おいっ! 桐藤花乃歌っ! お前の両親を殺した奴を俺は知ってるぞっ!」


 炎が吹き荒れ……燃やされて……

 倒壊に巻き込まれて……潰されて……

 私は……あの時……あの時……

 ビルの中で……

 お父さんと……お母さんと……


「言う事を聞くでしゅゼグッ、お前に死なれちゃ困るんでしゅよっ」

「まだだっ、待て白瓦……あの化物が使えるかどうか、ここで判断するからよ……」


 ビルが動いて……人が飛んで……

 そうだ、確か一階に居たんだ。

 お父さんが……お母さんと私を突き飛ばして、間に合わなくって……それで……お母さんが私を庇って─────痛っ!?


「何……今の記憶……私知らないっ、こんな記憶知らないっ! お母さんはちゃんと家に居たしっ、お父さんは交通事故で亡くなった! だから──お母さんが頑張って私をここまで育ててくれたんだっ! 知らない記憶だっ、知らない記憶だっ! 知らない知らないっ、この記憶は私のじゃ無いっ!」




「ゼグ……有れはどう言う事でしゅか……」

「詳しくは知らねぇよ。ただ、あの時のトラウマか、誰かに記憶をブロックされたかだな。聞く感じどうやら……あの糞女のスキルに巻き込まれた様だし、俺らにしたら好都合だ」

「グモフゥ……ブフゥ……」

「あの化物に親の仇を伝える代わりに、こっちの要望に応えて貰うぞ……白瓦?」

「ブフゥ……ブフゥ……グモッ……」

「あっ? 何であんなに離れてやがんだあいつ……何か言ってるな……」

「うーしーろーでしゅぅぅぅっ」

「何て言ってるか聞こえ無ぇ……う…し、後ろ?」

「ブルフゥッ、グァ……」

「……マジか」


「グルァアアアアアアアッ────ッ!」

「いつの間に来やがったコイツ──っ、化物の奴わ────はぁ!?」


 熊さんだぁ……可愛い小さい熊さんだぁ。

 妙に腕だけ大きいけど、モコモコふわふわの熊さんだぁ。

 熊さん、今私ね、物凄く頭が痛いの。

 だからね、熊さんのモコモコふわふわで、私の頭痛を抑えて欲しいの。

「グッ……グァッ……」

 逃げようとしないで、私を助けると思って触らせて欲しいの。

「あ……目が……これは不味いっ」

 

 全力で────触らせて欲しいの。



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