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EP.9 可愛い未知との遭遇.1



 ウリ坊ちゃんっ、ウリ坊ちゃんっ。と何度も振り返りながら、水場を探して何時間経ったんだろうか。

 洞窟の中は少し明るくて涼しいけど、流石に喉が渇いてきたんだよぅ。


「お水……お腹も空いたぁ……」


 レオンちゃん心配してるだろうし、早く帰りたいけど……帰り方分からないからなぁ。

 身体は動くし、寧ろ無駄に元気なんだけど、この状態がいつまで続くか分からないし、餓死とかは勘弁なんだよ。

 

「ここが迷宮なら、誰か潜ってる人居ないのかな……居たらご飯を恵んで欲しいっ」


 それにしても……迷宮なのに、魔物さんに一切出逢わないの。


「さっきの猪さんが食べたのかな……」


 猪さんって雑食だし、他の魔物さんを食べてても違和感無いんだけど、それにしては出逢わなさ過ぎると思うの。

 だって、あの時の出入口でさえゴブゴブさんがいっぱい居たんだよ? 兎さんも居たし、なんなら兎さんが出て来ても良いんだよ!


「一人は嫌だぁ…兎さぁん…ウリ坊ちゃぁん…出ておいでぇ…………っ何か居た!」


 一瞬だけど、先の十字路を右から左へ何かが走って行った!


「兎さんっ! ウリ坊ちゃんっ!」


 全力で────追いかけるのっ!

 脚に力を込めて粉塵を撒き散らしながら十字路を左に曲がり、直線距離にしておよそ五十メートル先に何かが座って居る事を確認。


「兎坊ちゃあああ────んっ!」


 その何かは私に気づくや否や走り出し、猛スピードで逃げて行く。


 一言で言うなら──速い!


 今の私なら間違い無く、世界最速女子を名乗れる程の速さで走っているのに、前に薄っすらと見える何かにまったく追い付けない。


 アレは何だろうっ、四足で走ってるけど──人? 服を着ている? でも四足で走ってるしっ、何より追い付けないぃいいいっ! ならっコレしか無いよねっ!


「待ってぇえええ────っ!」


 脚を動かしたまま腰を低くして小石を拾い、そのままの勢いで────投げるっ!!


    ────ボヒュンッ────


 石を投げた音じゃ無いよ……コレ当たったら死んじゃうんじゃ──っ避けた!?


 前を走る何かは後ろを見ずに、まるで分かってますよと言わんばかりの自然な動きで石を避け──投げた石はそのまま真っ直ぐ飛んで行き、遠くから『ブモッ!?』鳴声と破壊音が響いて来た。


「今の鳴声何っ!? 何で石を避けれたの!? 当たらなくて良かったけどっ、待ってよぉおおお──!」


 前を走る何かが一瞬、『ふふんっ』って笑ったような気がしたけど、何か人を馬鹿にしたような笑いだったよ!?


「絶対捕まえて触りまくってやるのぉおおおっ!」


 モフモフ出来るなら一日中モフるし、撫で撫で出来るなら禿げあがるまで撫でてやるぅっ!

 

 右に曲がったっ、この先は──洞窟の出口なの!? 光が差し込んできているっ、逃げられちゃうぅうううっ!


 前の何かが光に消え、それを追うように私も光の中へと身を投じると、そこには──空から光が差し込んでいて、広いドーム状の空間が存在していた。そして何より────出入口が一つしかない。


「うふふふ、袋小路なんだよぉっ……居ない?」


 何かテントが有るし、焚火の跡も有るんだよ? これって……ここに住んでるか、何回も来ているって事だよね。

 それなのに、さっきの何かが見つからない。

 まさか上に逃げた──結構高い崖なんだよ、クライマーの人じゃなきゃ無理そぅ……いや、私なら登って落ちても大丈夫だし、チャレンジしても良いんじゃないかな。


「でも高過ぎるんだよ……何百メートルあるのさ。それにさっきの何かは何処にいったの?」


 今この場所にある物は────


 イチ、テント。

 ニ、木箱。

 サン、焚火跡。

 シ、何かの骨。

 ゴ、小さな井戸。


「井戸が有るんだよ! お水っ…………」


 …………うん、発見しました。


「…………◾️◾️◾️っ◾️◾️!」


 井戸の中でぷるぷる震えて、何か言って来てるけど、普通に居たの。

 私より小さな女の子がね。

 何でこんな場所にとか、どこの国の言葉とか、そんな事はどうでも良いのさ。

 だってね……だってね……その女の子、耳がふわふわしてて、お尻からモフモフが見えてて、井戸の底に落ちない様にロープにしがみ付いてるんだよ……鼻血が出て来たっ。


「そこに居たら落ちちゃうんだよぉ、こっちにおいでぇ──、お姉さんにモフモフさせてぇえええ──(ニコッ)」

「◾️◾️◾️◾️◾️ ──っ!? ◾️◾️◾️! ◾️◾️◾️! ◾️◾️◾️っ────っ」


 笑顔で手を伸ばしたら引っ掻かれた……私の手は無傷だけど、女の子の爪が欠けてびっくりしてる……痛そうなんだよっと、すかさず手を掴んで────引っ張り上げるんだよ!!


「捕獲成功なんだよぉおおおおおおっ! 何コレ触り心地抜群で気持ち良いっ!」

「◾️◾️◾️──っ◾️◾️◾️ ──っ!」


 頬擦りする私のお顔を引っ掻いて来るけど、何故か傷一つ付かないんだよ……また爪が欠けちゃってる、傷薬無いからなぁ。


 女の子は──茶髪の癖っ毛に、まん丸とした顔立ち。金色混じりの瞳に、お耳はモフモフ垂れていて、小綺麗なワンピースからもモフモフが見え隠れしている。


「やっぱり住んでる訳じゃ無さそう……貴女何処から来たの?」

「◾️◾️◾️ ──っ! ◾️◾️◾️◾️◾️!」


 何で頬擦りしている私の顔から逃げようとするのっ、可愛いっ、可愛いんだよっ!

 ちゃんと逃さない様に左手で腰を持っているから、右手でモフり放題撫で放題っ!

 引っ掻かれても叩かれても、何故か痛く無いから不思議なんだけど、逆に女の子が負傷して行くから心配なんだよ。


 女の子が落ち着くまで(諦めるまで)、少しだけ待つんだよぉ、モフモフすぅ──はぁ──!


「◾️◾️◾️ ──っ!?」



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