EP.8 ウリ坊を追いかけて
先ず一言……何で?
遥か上空から落ちて反射的に地面を叩きましたよ、間違い御座いません。
学校のあの高さから落ちて無傷だったのも不思議だけど、雲の上から落ちて傷一つ付いてないのは──おかしいよね?
「男の娘(予定)とあのカラフルな女の子も居ないし……ここどこ?」
地面を割ったのに地面に座ってるし、青空の下、草が生い茂ってます。
辺りを見ても草草草……広い草原なんだよ。
確か──地面を割って落ちた時に、黒い渦が巻いていて、その中に落ちて行ったんだよ。
「黒い渦……考えられるのは、迷宮さんだよねぇ……私一人だよ!?」
前は入らずに帰ったけど、あの黒い渦の中がこんなんだったなんて……どうやって帰るの?
「落ちたんだから、取り敢えず上がる方法を探さなきゃっ、一人は嫌なんだよぉ!」
食べ物も無いし水も無い、有るのは……私の鞄!?
地面をくまなく探すと──鞄を発見! ついでに団子虫も発見!
「良かったぁ──中に苗も入ってるし、あのお洋服も無事だった」
緑の石と交換した大事な物だからね、無くしたら大損だったよ。
むぅ……制服が汚れてる……誰も見てないし、交換した服に着替えよぅ。
────ゴソゴソ────
「ちょっと大きいかな──でも着心地抜群!」
ワンピースと籠手……見た目はアレだけど、仕方無いと思います。
先ずは水場を探さないと不味いよね。
確か一週間水を飲まないと……それだけで死んじゃう筈っ!
「それは嫌だよ! お水っお水を探さなきゃ!」
水を求めて草原を歩き出し、行けども行けども草しか見えぬぅううう!
せめて、生き物が居たら水場が有るって分かるんだけど、何も居ない……草ばっかり。
「草が生えてるから、お水が無い何て事は無いよね……有るよね?」
私は一体、誰に聞いているのか。
あと草原は何処まで続いているの……あっ、結構先に山を発見!
取り敢えずあそこまで行こう……お腹空いたなぁ。
「──プゴプゴ」
幻聴でウリ坊のお声まで聞こえるよぉ。
「プゴプゴ」
ウリ坊って……猪さんだよねぇ。
牡丹鍋食べたいなぁ。
「プゴ……?」
やっぱりお声が聞こえる、右の草村から?
居たら牡丹鍋なんだけどなぁ。
試しに草を掻き分けてっと……あっ、ウリ坊と目が合った。
「プ……プゴッ!?」
「居たぁああああああ────!?」
ウリ坊が全力で走り出したけど、貴重なタンパク源だし逃す訳には行かないの! それにそのお鼻をぷにぷにさせて下さいっ!
「プゴォオオオッ──」
「待ってウリ坊ちゃぁあああんっ! お鼻ぷにぷにさせてぇえええ──!」
ウリ坊ちゃんの走る速さが尋常じゃ無いっ、あの時潰したウリ坊ちゃんは何だったの!?
華ノ恵百貨店の地下で戦ったウリ坊ちゃんは、速いと言っても、楽に捕まえる事が出来たけど──このウリ坊ちゃんには全く追い付けないっ! 離されない様に頑張らなきゃっ!
「ぷにぷにさせてぇえええ────!」
「プゴップゴッ──プモッ!」
穴の中に入った!?
何この穴……ウリ坊ちゃんの家なの? 私なら余裕で入れそうだけど、入っちゃって良いのかなぁ。
「下に向かってるっぽいけど、まさか下に落ちないよね……ウリ坊ちゃん触りたい……」
試しに少し入って、危ないと思ったら直ぐに出れば良いんだよ。もしかしたらお水も有るかもだし、行ってみて損は無い……筈っ。
「穴の中に突撃なんだよ────えっ?」
横穴に飛び込んだら直ぐに下穴……しかも暗くてよく見えな……「また落ちるぅううううううっ!?」しかも結構深い穴だぁあああ!?
急いで両手両足を広げて──「ふんっ!!」って踏ん張るけど、支えになる筈の土が崩れて、そのままずるずると落ちて行きます。
「下に光──お願いだから止まってっ!」
止まらないよねぇえええ──出たっ! けどまだ落ちるのぉおおおっ……? 何かモサモサしたモノに包まれた?
「何これ……茶色の草?」
起き上がって見るとまだ地面まで距離があり、何か高台っぽい場所に居るみたい。
「プゴーップゴッ」
「ウリ坊ちゃんだ! 今行くからそこに居て下さい!」
ウリ坊ちゃんが地面に座り、こっちを見ながら鼻を鳴らしているの。
そこを目掛けて──ジャンプなんだよっと、『プゴッ!?』捕まえたぁあああ! ぷにぷになんだよぉおおお!
「プゴォッ! プギプギィッ!」
「暴れちゃ駄目なんだよっ、お鼻をもっとぷにぷに……臭いっ!?」
物凄く息が臭いけど、ぷにぷにしてて可愛いんだぁ、何でまだ上を見てるの?
「プゴォ……プギッ」
「上にはもう私は居ないよ……」
ウリ坊が見つめている方へ顔を向けると、まるで小山の様な大きさの猪さんが、すやすやと静かに寝ていた。
「この猪さんの上に落ちたんだね、お母さんなのかなぁ……」
「プゴプゴッ」
うぅっ、ウリ坊ちゃんが私から離れようと必死なんだよぉ、置いて行くしか無いか……。
そっとウリ坊ちゃんを地面に立たせると、走って猪さんの毛の中へ行っちゃった。
「ぷにぷに……気持ちよかったなぁ。ばいばいウリ坊ちゃん、私は行くんだよぉ」
連れて行きたかったけど、お母さんが居るなら駄目だもん。起こさない様静かに去らなきゃね。
「今度は洞窟かぁ、水場探さなきゃ……」
また会いに来るんだよウリ坊ちゃん!
それまで元気でね。
「牡丹鍋、食べたいなぁ」




