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EP.7 : 壊れかけの少女.3



 私は手に持っている鞄から籠手を取り出し付けて──「今度は逃がさないの!」と全力で踏み込み男の子に飛び掛かるけど──『だから大人しくするでしゅ』男の子の姿が消えて、地面に私の拳がめりこむ。


「お前その籠手──っ、あいつの仕業か糞! 俺が持ってた奴を勝手に改造しやがって」


 右──っ! と瓦礫を拾って投げつけるが、また消えた!? なんでさ!


「言う事を聞かない化物でしゅね、少し痛い目にあうでしゅよ」

「おい白瓦、殺すなよ」


 後ろ────と振り向くけど、誰も居ない、と言うか星が見えるし雲が横にある。

 雲が横にある?

 足を動かすけど地面が無く──何処までも広がっている空に、身体に感じる浮遊感。それがゆっくりと無くなり、緩やかに、ただ確実に重力に従い、落下を始めた。


「おぉ──スカイダイビングなんだよ。一度はやって見たいと思ってたの……パラシュートは?」


 眼下に広がる明暗分かれた大地には、終末の刻の傷痕が未だ癒えていないんだなと理解させられるが、そんな事を考えてる暇があるなら何とかしないと、地面にキスしてペッチャンコ間違い無しだ。


「学校の九階からダイブは無傷だったけど、流石にこんなお空から落ちたら……死ぬよね」


 案外冷静なもんです。だって高度ウン千メートルの高さに知らない間に居て、猛スピードで落ちていても実感湧かないし、なんだったらジェットコースターに乗ってる感じがして少しだけ楽しいのさ。


「どうでしゅか! 大人しくするなら助けてやりましゅよ!」

 

 また急に現れた!? さっきの女の子が私より少し上空から話しかけてくるんだけど、やっぱりこの子が何かしてるんだね。


「ねえ! どうやったらそんな事出来るの! 貴女も何か能力を持ってるんでしょ!」


 女の子は『やっぱりお馬鹿なのでしゅ』とだけ言って姿を消した。


 これって──瞬間移動とかテレポートって言うやつなのかな? 昔テレビのマジックショーでやってたけど、本当にあるんだなぁ。


 あれ──もう地面が近くに在る。

 私の身体が意識せずに動き、腰を捻ってそのまま腕を地面に叩きつけ────まるで小型の隕石が落下したかの様に大地が抉れ、巨大な穴を拵えて、『マジかあの化物!?』、『しくじったのでしゅ!』二人を道連れに大地に呑み込まれて行った。


           ◇ ◆ ◇ ◆


 花乃歌の奴が居ない、私が試着してる間に何処に行ったんだ。


「おーい花乃歌どこだー!」


 周りの視線が痛いけどそんな事気にする余裕が無いんだよ。あの花乃歌が一言も無く姿を消すなんて有り得ないし、便所かと思って片っ端から探してるけど見つからない。


「まさかご飯に釣られて誰かについて行った……いや、流石にそれは無いか」

「お客様、大変失礼ですが他のお客様より苦情が来ておりまして、何か御座いましたでしょうか」


 チッ、なんだよ便所で声上げたぐらいで騒ぎやがって、いや──花乃歌を探すのに丁度良いか、利用させて貰おう。


「悪かった。すまないがちょっと連れが何処か行ったみたいで、館内放送で呼び出してくれないか。桐藤花乃歌って名前の小さい女の子なんだけど」

「左様で御座いましたか。お任せくださいませ、直ぐ館内放送でお呼び致します」


 流石御嬢様のとこの従業員、対応が早くて助かるぜ。

    ────ピンポンパンポーン────

『御客様の呼び出しを致します。桐藤花乃歌様、桐藤花乃華様、お連れの方がお探しです、一階、フロントまでお越し下さい』

    ────ピンポンパンポーン────


「只今お呼びしましたので、御客様も一階フロントにてお待ち頂きます様お願い申し上げます」

「ありがとうな、助かったぜ」


 一階フロントは、あそこだな。御丁寧に椅子まで用意してくれてるし、なんかフロントスタッフの奴がニコニコしてて気持ち悪い。

 あそこで待つしか無いんだよなぁ。


「スマホのメッセージも既読にならねぇし、どこに居るんだよ花乃歌……」


 そのうち待ってればそのうち来るだろ。

       ────十五分経過────

 いやいやきっと便所が長いだけだよな、もう少し待つか……。

       ────三十分経過────

 これはもう一度呼び出してもらうか? ニコニコ笑顔のフロントスタッフがこっち見てきやがる!?

       ────二時間経過────

 これは……警察に連絡した方が良く無いか? 万が一花乃歌が攫われ……ても犯人がミンチになるから大丈夫だな。


「心配したいのに心配になれない!?」


 花乃歌の奴が無駄に強いのが悪いよな。

 閉店の音楽流れ始めたし、帰りにでも花乃歌の家に行ってみるか。



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