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EP.5 : 暗躍する者達.1



 私は羽紙森一(はがみ しんいち)、フリーのジャーナリストだ。

 私は現在、大災害の跡地に埋め立てて作られた都市、『戸ノ浄市(とのじょうし)華ノ恵町(かのえちょう)』に来ている。


 この町は、華ノ恵将勇(かのえ しょうゆう)氏が資本を募り創り上げた町で、一個人が動き、ここまで復興させた手腕に国民達は歓喜し、称賛した。

 だがここ数年、この町で異様な怪奇現象が起きていると、不可思議な出来事が起きているというインターネットの記事を見つけ、私は居ても立っても居られずに、この町に来た。


 五年前のあの日。

 忘れる事の出来ない記憶。

 テレビ局を退社して直ぐに、フリージャーナリストとして各地を巡り、私は探した。

 あの時の記憶は、今でも鮮明に覚えているし、忘れる事など出来はしないだろう。


 しかしこの町は異様だ。

 昼間だと言うのに、人一人歩いておらず、車通りも無く、新都市と言うには寂し過ぎでは無かろうか。

 取材をしようにも、人が居なければ聞けぬし、華ノ恵氏に伝手が有る訳でも無いので、コレでは来た意味が無くなってしまう。

 駅周辺には、コンビニ等のチェーン店は有ったが、取材許可を出せる責任者が不在の為、結局は歩いて探すしかなかった。


 ふらふらと周りを見ながら歩いていると、前方から小学生だろうか。虹色の染まった腰まで有る長い髪に、虹色の瞳──カラーコンタクトだろうか。

 とにかく派手な見た目の少女が、ゆっくりと歩いて来る。

 コレはチャンスと思い、歩きながらも歩いて来る少女に目線を送り、すれ違う前に会釈をして────声をかけた。


「なんでしゅか貴方……変態でしゅか?」


 いかん、これでは少女に不信感を持たれて、下手をすれば通報されてしまい、私の人生が根っこから腐り果ててしまう。

 私は必死に少女に説明した。

 少女に対して、不審者や変質者で無い事を必死に必死に説明した。


「ジャーナリストさんでしゅか、こんな町まで御苦労な事でしゅ。それで、何を調べに来たのでしゅか?」


 奇跡が起きた。

 私は直様メモ用紙を取り出し準備して、その少女に聞いてみた。

 この町で起きている怪奇現象の事。

 不可思議な出来事に遭った事は無いか。

 又は其れ等を知る人に、心当たりは無いか。


 少女はマジマジと私を見て来る。

 何も喋らず、体を動かさず、ただその虹色の瞳で、私を見て来る。

 この感じは、以前にも感じた事が有る。

 五年前のあの日、二人の人物が放ったであろう人外の『圧』。

 足が震え、喉が渇く。

 コレは恐怖では無い。

 コレは────『喜びに声が出ないだけ』だ。


「気持ち悪い奴でしゅ、火山にでも────っ、厄介な奴に見つかってしまったでしゅね。命拾いしゅましゅたねジャーナリストしゃん」 

 

 少女はそう言うと、一瞬でその姿が消えた。

 私は驚きの余り何も出来ず、口を半開きにしたままでその場に立ち尽くしていると、後ろから声が聞こえ────

「逃げられた──っ、やっぱ狡いだろあの能力、行きたい場所に行けるってなに! チートじゃねえか羨ましい!!」

────私は振り向き、その姿を確認する。


 頭にはバンダナを巻き、黒のサングラスをかけた、あからさまに不審者っぽい格好の男。

 その男に問い掛けた。

 貴方達は『超能力者』なのかと。

 なぜその力を表立って使わないのかと。

 それを聞いた男は、まるで童話に出て来る魔王の様な笑みでこう答えた。


「大丈夫、もう少しで開放されるから」


 それだけを言い残し、先程の少女と同じ様に一瞬でその姿消えた。

 いや、先程の少女と違う点が一つ。

 舗装された地面に、まるでそこだけに力を込めたかの様に、足跡がくっきりと残っていた。


 私は一気に押し寄せて来た安堵感に包まれ、今更ながらに息を止めていた事を自覚する。

 ゆっくりと息を整え、状況を整理する。

 五年前の二人。

 先程の少女。

 先程の怪しい男。

 整理しようにも、欠けたピースどころか、嵌め込む枠すら無いこの状況に、私はそれでも考える。

 先程の男の言葉────『開放』と言っていたが、何が開放されると言うのか。


 もう少しだけ、この町で調べてみる事にしようと思う。



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