EP.3 : 類は友を呼ぶとは限らない.5
さっちゃんの眉間に力が入って、鬼の様な眼差しで睨んで来るの。
話をする前に、スウェットを着ますから、少し待って下さいな。
ゴソゴソ──っと、着用完了!
「そしてお休みなさぁ────っぐぇっ」
さっちゃんのボディブローがお腹に『ポスッ』って当たったから、取り敢えず反応したけども、さっちゃんって力はそんなに強くはないんだよね。
お泊りした時も、ポスポスお腹をブローされたけど、まったく痛くなかったもん。
「いい加減になさいっ! 盾もそうですが、先ずはこのワンピース……なぜこの様なボロ布になっているのか、しっかりと説明してもらいますわ」
これは誤魔化せないなぁ。
私は、昨日の出来事をさっちゃんに伝えた。
散歩中に出会った火を使う、雰囲気の悪い男の子に襲われて、ワンピースがボロボロになり、その怒りでもって追い詰めたけど逃げられてしまった事。その時の戦利品として盾を持って帰り、明日にでもさっちゃんに聞こうとしていた事。
「後少しで男の娘に出来そうだったのに、気付いたら居なくなっていたの」
さっちゃんが難しい顔をしている。
知っている人なのかな?
「桐藤さんの仰る人が、私の想像している人と同じ人なら、その人は男ですわ。女では無かった筈ですのよ」
んっ? 上手く伝わって無い……?
「男の娘にしそこねたんだよ?」
「あの男では無いのかしら……まさかあの顔で女装して──いえ、ありえませんわね……。でも、この盾がここに有りますし……」
おかしい……上手くさっちゃんに伝わって無い様な気がする。
「火を使う男の子だったよ?」
簡潔に言えば分かるよね!
「えっ──女性ではなかったのですか? 先程から、男の子にし損ねたと言われておりましたのに……良く分かりませんわね」
なるほど……、これは私の説明が悪かったんだね。ごめんねさっちゃん。
「さっちゃんの言う通り、男の子だったよ!」
まだ男の子ってだけだよ! 私は諦めないの……いつか必ず、また会った時にでも、男の娘にする事を!!
「間違い無いのね桐藤さん。だとすれば、よく撃退出来ましたわね。その男は──私達終末の刻研究所の敵であり、障害ですわ」
さっちゃんが言うには────その男の子の名前は、佐凪夜。火の力を使う能力者で、彼の目的は、終末の刻と言われた大災害を再度起こす事。
以前にさっちゃんも戦った事があり、その時に結構な深傷を負わせたので、未だ全力を出せておらず、だから特殊な衣服や盾等で、能力の底上げをしていると────それにしても、さっちゃんはその佐凪って言う子の事、詳し過ぎないだろうか……。
「さっちゃん、その佐凪って言う男の子と知り合いなの?」
さっちゃんの綺麗なお顔が……若干苦しそうに、悲しそうに、歪んだ。
聞いちゃ不味かったかなぁ。
前に戦った事があるって言ってるし……結構複雑なご関係なのかな。
「御免なさい桐藤さん……まだ言う事は出来ないの。いつか……いつか必ず教えるから……待っていて欲しいわ」
そんな真面目なお顔で言われたら、格好良過ぎて惚れちゃうぜ──さっちゃん。
いつか教えてくれるなら私は待つよ! 友達だからね!
「言いたくなったら言ってね! いつでも何処でも聞くから!」
例えそれが──っ、地獄の入口に居たとしても、絶対に聞くからね!
良しっ、これで話は終わりだよね! 私もまた熊さんになって、ぐっすり冬眠出来るんだよ!
「これで全て伝えたから、お話は終わりだよね! 私は寝るからね! お休みなさ『お待ちなさい!』ぐぇっ」
またぽこってお腹を叩かれたよ。
もう何も無いよさっちゃん。
「まだ……なぜ百貨店に『二度と』行かないのかの……説明をされておりませんわ」
ぐっ……誤魔化せなかった。
さっきの話よりも凄い圧で、さっちゃんのお顔が近付いて来るよ──う……美人だぁ。




