EP.3 : 類は友を呼ぶとは限らない.1
今日と明日は学校がお休みだぁ──、と勢いは良いけども、何もする事が無い。
「宿題も終わったし、お出かけしようかなぁ」
お金は──、無いから見るだけだよね。
うん。仕方ないよ……ママンに無理は、させられないからね。
そう言えば──、さっちゃんのお手伝いをすれば、バイト代が入るじゃないのさ! この私がお仕事だなんて……ママ、驚くかなぁ。
とりあえず外に出よう。
休みの日に家に籠っていると、何かが無くなる感じがするから、外の空気を吸わないとね。
「お洋服は──、空色のワンピースに、ハーフパンツのセットだね!」
背が伸びないから、新しい服を買う必要が無いと、喜ぶべきか、悲しむべきか────悲しいに決まっているんだよ……。だって、何を着ても、小学生に見られるんだから。
「一人暮らしをすると、一人言が増えるよぅ」
出て行く前に、表情筋をうにうにとして、ヘアスタイルを確認──、メデューサになってない事を確認したら、いざ外へ──。
◇ ◇ ◇
そう言えば……ここに引っ越して来てから、あまりこの町を歩いた事が無い。学校の行き帰りは電車だし、お買い物は、近くの食料品店だけだから、ちょっとお散歩しようかなぁ。
「ふん──、ふふん。ふん──、ふふん」
鼻歌歌って上機嫌なんだよ。
だって──、お空が綺麗で、町も綺麗。
散歩日和だもんね──、ふふん。
そういえば、終末の刻の範囲に、この町も含まれているんだよね……。ということは、今散歩しているこの下に────っだめだ、考えるのをやめよう。
「せっかくの良い気分が、台無しになっちゃうからね」
何か、電車で二駅しか離れて無いのに、人通りが少ない町なんだね……。さっきから、家や、コンビニは有るけど、誰も歩いていない。
でも、あの食料品店は、結構なお客さんが入っていたから、夜型の人達が多いのかなぁ。
そう思っていたら、進行方向から、男の子が歩いて来るんだよ……。黒髪だけど、目付きが悪くて、何か嫌な感じだぁ──。そのまま通り過ぎるんだよ。
あと五メートル……。二メートル……。
良し──、何事も無く、ただの通行人だったよ──、ちょっと緊張したぁ。
「あっ……、待てやお前」
なんでさ……。
通り過ぎてほっとしてたのに、何か声かけて来てるけど、何なのかな──(ニコッ)──っと笑顔で応戦だよ。
「お前──、何か臭うな……」
待って……、初対面のレディに対して、いきなり『お前──、何か臭うな……』って、大変失礼な事を言ってるんだよ。
「誰かは知りませんが、大変失礼なお言葉を、どうも有難う。ではさようなら──」
ムカつくけども、触らぬ神に祟り無しと言うし、無駄な争いは、したくないからね。
そう言って、私は歩き出したんだけど、コレは──、非常に不味いのでわ? はい、後ろから付いて来てるんです。
「おいっ! お前! 止まれ!」
誰に言ってるのかなぁ──、私かな? 私しか歩いて無いもんね──、走ろうかなぁ。
お願いっスキルさん……。
足に力を込めてぇ……、走る────っ!!
「くそっ、待てクソ餓鬼──!!」
凄いっ──、コレは速いよ私──。
コレなら──、変なストーカーからも──、逃げられるよね──!!
そう思い、安心してたんです────二秒前迄はね。
空から急に、火の玉が降って来て、私の進行方向に着弾──、コンクリートを砕かせて、破片が私の身体に────刺さる事は無く、お洋服だけがビリビリと破れて、私の目の前を、その切れ端が舞った────『あっ……』
ママに買って貰った……ワンピースが──。
「ようやく追いついたっ、おい! お前……に聞きたい……事が──」
ママに買って貰った……、ワンピース……。
愛用の……、ワンピース……。
貴方……、どうしてくれよう……。
「ひっ!? なんだお前っ────」
私は振り向いて、満面の笑みを向ける。
許さないから──(ニコォ)──泣いても。