EP.2 : 疲れた時こそ栄養を.2
「────さ────い」
うぅん……何か聴こえる…あとごふにゅん。
「桐──さん、起き──」
さっちゃんの声……たしかぁわた……。
「桐藤さん、起きて下さい」
やっぱりさっちゃんの声だ……?
「さっちゃんの声!?」
はっ!?と目を開けるとさっちゃんが居る。
「ようやく起きたわね、桐藤さん」
うん、さっちゃんお顔近いよ。
確か私……あっ────恥ずかしい!さっちゃんの胸の中で泣きベソかいてそのまま寝ちゃってたんだよいやぁあああああ!!
冷静に、冷静にだよ私……明鏡止水の心で絶対に顔には出さない様にしないと。
「御免なさいさっちゃん。あと、有難う御座います。おかげで少しスッキリしたよ」
「そう、それは良かったわ」
ん──さっちゃんが退いてくれないと、私起き上がれないんですけど……ギュッとしたら退いてくれるかなぁ──ぎゅっと。
「あら、じゃあ私も」
なんでさ?
さっちゃんどうしたの。私がギュッてしたら毎回嫌そうにしてたのに、思わず手を離しちゃった。
「さっちゃん……起き上がれないよぅ」
なんか残念そうにしてるけど何で……ゆっくり退いてくれたよ。もう少しでブチュ──ってなってた危ない危ない。
そう言えばここって何処だろう……さっきは気が動転してて、気にする余裕も無かったけど。
「さっちゃん、ここって何処なの」
車椅子に座り直したさっちゃんに聞くけど、若干そわそわしている。
「ここは私の家ですわ。ようこそ華ノ恵家へ。歓迎するわ、桐藤さん」
私、いつの間にさっちゃんの家に来たんだろうか……あぁ、あの時さっちゃんが助けてくれたんだね。
「瓦礫から助けてくれたんだね、有難う御座います」
さっきから御免なさいか、有難うしか言っていない気がするなぁ。でも感謝はしっかり伝えなさいって、ママが言ってたもんね。
「それは、お互い様ですわ桐藤さん」
お互い様ってどう言う事だろうか。私は感謝される様な事をした覚えが無いのに。
「それよりも桐藤さん。汗がはりついて気持ち悪いでしょう。浴場へ案内しますから、さっぱりして来てはいかが」
確かに汗が凄いし気持ち悪い。でもあんな醜態を見せた後に、図々しくお風呂まで借りてしまうのは、如何なものだろうか。
む──っと悩んでいる私の手をさっちゃんが引っ張り、そのまま車椅子の上、さっちゃんの膝の上に乗せられた!?
「さっちゃんどうし────」
「汗臭いので、洗いましょう」
有無を言わさぬ圧力とは正にこの事を言うのだろうと、そのまま浴場へと荷物の如く、運ばれて行った。
お金持ちのお風呂とはどう言う物か。
小さい頃、時々テレビに映っていた、有名人や富豪のお風呂は大きくて綺麗だったけど、それに負けず劣らずのお風呂場が、目の前に広がっていた。
「このお風呂、さっちゃんがさっき、浴場って言ってたのが分かる気がする」
見た感じ、お風呂と言うよりも浴場って言った方がしっくりくるもん。
何人入浴できる広さなんだろ……私が二十人入っても、まだゆったり出来る広さだよ。でもなぜか鏡が無い……何で無いのだろう。
おっと、さっちゃんを待たせちゃ駄目だ、体を早く洗わなきゃね──っと……シャワーまで何か装飾されてる。触り辛い。
「頭をわしゃわしゃ。いつも使ってるシャンプーとは大違いだなぁ……目に入っても痛く無いし」
リンスの後に──トリートメントして、軽く洗い流したら、次は身体だね。
わしゃわしゃ──良い匂いの石鹸だぁ。
背中……洗い辛いなぁ。
「背中は私が流しますよ」
「あっ、有難うさっちゃん」
ふんふんふん────んっ?
「何してるのさっちゃんっ」
いつの間にかさっちゃんが背後に居た。
「先程、桐藤さんを運んだ際に私にも汗が付いてしまったので、一緒に洗い流そうかと思いましたの」
うぅ……私の所為なのか……な?
恥ずかしい、物凄く恥ずかしい。
女の子どうしとは言え、片やチビのスレンダーな私。片やバンキュッバンの大和撫子さっちゃん。恥ずかしいに決まってるじゃないか!
「うふふ。私、誰かと入浴するのなんて、初めてですの。ゆっくり温まりましょうね」
背後を取られて逃げられないっ。と言うか、さっちゃんスキルまで使って私の汗を流したいなんて……嫌われてるのかなぁ。確かに汗は汚いけどさ。
むうぅ……でも、誰かに背中を洗って貰うのって、気持ちいいなぁ。何か、柔らかいクッションが当たってるみたいで。どんなボディタオルを使ってるんだろうか。
「さっちゃん、どんなボディタオルつかってるの。物凄く気持ちいいんだけど」
あれ、柔らかく無くなった……気のせい?
「使っているのはこのタオルですわ」
ちょっと高級そうなフワフワのやつだ。
さっきの様な、クッションみたいな感じがでるのかぁ、良いボディタオルだね。
「じゃあ私も、さっちゃんのお背中を流すよ」
わしゃわしゃ──お肌が凄い綺麗だぁ。何て言うのかなこう言うお肌……羨ましい。
「さっぱりした──お風呂ありがとうだよ」
後は、身体を拭いて──下着を──?
私の下着が無い……と言うか制服も無い。
確かにこの竹籠に入れたんだけど、違う所に入れたのかな……無いよね。
ここかな……無い。
じゃあこっち……無いなぁ……竹籠多いよ。
「あぁ、伝えるのを忘れていました。衣服はお預かりして洗濯していますので、こちらをお召しになってください」
お召しって初めて聞いた。
待ってさっちゃん、その下着は何ですか。モコモコのふわふわおパンツ……まさかそれを穿けと!?
「あら間違えたましたわ。こちらですの」
「それは紐だよパンが無いよね……遊んでるでしょ」
私に紐は似合わないよさっちゃん。お願いだから、普通のおパンツ下さいな。
「生憎と、そのどちらかしか下着がございませんの。私の下着で良ければ、お貸ししますよ」
さっちゃんの下着……いえ、大丈夫です。そのモコモコふわふわのおパンツでお願いします。
透け透け何て穿けませんから!
「ふぅ。それでは、その服を着ましたらこちらに来て下さいな。サイズは合っていると思いますよ」
何この服……薄いピンクのひらひらが付いた、足首まであるワンピース? ネグリジェに見えるんだけど。
「では、行きましょう」
さっちゃんが車椅子に乗って先に行くけど、一体どこに行くんだろぅ……待ってさっちゃん、と後を追いかけた。
深夜だよ! かみのみさきで御座います。
EP:2はのんびりパートですね。
本当はお風呂場で、キャッキャウフフを考えていたんですけど、それはまだ先です!!
書きながらも、アイツの顔がチラつくぜ!
EP:0のアイツの顔がよ!!
登場するかは分かりませんけどね……うんマジで。
あまり深夜に悶々すると、ミノさんが来そうなので、今日はこの辺で失礼します。
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ではでは、おやすみなさい。