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EP.2 : 疲れた時こそ栄養を.1



 学校の皆んなが、私を指差し言葉を発する。

『アイツだ、あの化物だ!』

『奈村の奴、アイツに殺されかけたんだぜ』

『うっわぁ怖っ。早く退学になればいいのに』

『こっち見るなよ化物』

 違うっわざとじゃ無いの!

 声をあげようとしても、口が開かない。

『気持ち悪い奴だな、二度と学校に来るなよ』

『せんせーい、人殺しがいまーす』

『退学だよ退学、もしくは殺人未遂だな』

『警察に連絡しようぜ』

 やめて……わざとじゃ無いの。

 どうしてっ、私は何もしてないのに。

『桐藤さん……』

 さっちゃん助けて! 私はただ、先輩の筋肉を触らせて欲しいだけだったの!

『理事長権限で、貴女を退学処分にします』

 さっちゃん……待って!助けてよ!

 いつの間にか私の周りを、警察が取り囲んでいた。

『桐藤花乃歌。障害及び殺人未遂の容疑で、逮捕状が出ている。大人しく捕まりなさい』

 いやだ、いやだよ。

 こんなの夢だ……夢に決まっている。

『手を出せ、おいっ暴れるな!手錠!』

 いやだぁあああ────────っ。


「いやだぁあああ────────っ」

 警察から逃れようと、拳を振り上げ地面に打ち付け目を開けると────天井が見えた。

 あれ……なに……どうなって……。

 汗を吸った服が体に貼り付き気持ち悪い。

 首を動かして周りを見るが、知らない部屋。

 どうやらベッドらしき物で寝ている事は分かるけど、どう見ても自分の家では無い。

 ゆっくりと身体を起こした瞬間────さっき打ち付けた拳と、身体を起こした揺れにより、寝ていたベッドが二つ折りになって、そのまま床に転げ落ちた。

「うぅ……痛いよぅ」

 打った鼻をうにうにしながら、折れたベッドを見てみると、木製で、所々に細工がされており、素人目で見ても高価なベッドであろう。

「おっ……折れちゃった。私の所為かなぁ」

 さっきのアレかなぁ。ワザとじゃ無いけど、弁償って言われたらどうしよう。私お金持って無いよぅ。

 頭によぎる──血を吐く先輩の姿。

「先輩の治療費だって……払わなきゃ」

 あの時、先輩は血を吐いて苦しそうだったし、間違い無く入院するだろう。

「化物って言われちゃったぁ……ぐうぅぅっ」

 涙が出て来る。

 入学して二日目でコレだよ。ママに何て言ったら良いのかなぁ……退学かぁ。

 ポロポロと涙が止まらず、床で三角座りをしていたら────《コンッコンッ》────と、ドアをノックする音が部屋に響いた。

「桐藤さん、入るわよ」

 そう言って、ドアをスライドして入って来たのは、車椅子に乗ったさっちゃんだ。

 夢の光景を思い出して、更に涙が溢れてきた。

「ようやく起きたのね。体の具合はどうかしら」

 ゆっくりと車椅子が近付くにつれ、私の身体を震えが襲い、息が苦しい。涙が止まらない。

「桐藤さん……どうしたの」

 優しい声が怖くて、次に出て来る言葉が恐ろしくて、顔を俯けてしまう。

「ふぅ……胸骨圧迫によるヒビと、内臓を少し痛めているとの事でしたわ」

 さっちゃんが病院で、聞いてくれたのかなぁ。先輩に謝らなきゃ……治療費どうしよぅ。

「それと……すみません桐藤さん」

 何でさっちゃんが謝るの。私の所為で、先輩に傷を負わせて、校舎壊したのに。

「ちがっ違うよさっちゃん……私が悪いの。さっちゃんが言った通り、私が馬鹿だから……先輩傷付けて、校舎も壊してぇうぅごめんさぃぃ────」

 見捨てないで、一人にしないで、御免なさい、御免なさいと、伝えたいのに、言葉がでないの。さっちゃんにも迷惑をかけて、周りに迷惑をかけて、御免なさいと言いたいのに────さっちゃんが私に抱きついて来た。

「昨日伝えるべきだった事を先延ばしにした、私の責任なの桐藤さん。スキルは、一歩間違うと強力な兵器になる。それを伝えず、送り出したのは私なのよ。だから……御免なさい」

 私の所為なのに、私が悪いのに、御免なさいっ御免なさいさっちゃん。

 私はさっちゃんに抱き付き、服を握り締めながら泣いた。力を込めない様に、傷付けない様に。子供の時の様に、わんわんと泣いた。


「ふぅ、疲れて寝た様ですわね」

 優しく、起こさない様にスキルを使い、ベッドを元に戻して、そっと寝かせる。

「まったく、世話が焼ける闘牛さんね」

 寝ている桐藤さんの頭をそっと撫でて、そのまま顔を近づけ、寝顔をじっくりと見る。

 普段は、感情が面にでない鉄仮面の様な顔をしているが、寝顔は天使そのもの。

 昨日の桐藤さんの笑顔。

 一瞬で心奪われ、スキルが暴走して、思ったよりも威力が出てしまい、危うく桐藤さんに、本来の姿を見せてしまうところだった。

 それは駄目だわ、軽蔑されたくないもの。

 今日も、男に想いを伝えると聞いて、本気でその男を消し去ろうかと考えてしまう程に、この穏やかな顔で寝ている彼女が愛おしい。

「まぁ、結果的に私が何もしなくても、痛い目を見たようですからね」

 おかげで私は、桐藤さんを()()()()()()、こうして二人きりになれたので、少しだけ感謝しても良いですわ。

「ふふっ、これが一目惚れと言うのかしら」

 桐藤さんには、猪だの闘牛だのと言ってしまいましたが、私もそう変わらないのかもしれませんね。

「起きるまでに、御食事の準備でもしようかしら」

 確か桐藤さん、普通のお肉をまったく食べていないのよね。どうやってミノ肉を手に入れているのかしら。

「普通のお肉の味を知って貰う良い機会ですわ」

 料理長にステーキを作って貰いましょう。きっと桐藤さん、大喜びで笑顔になるわ。

 御父様も居ませんし、二人で御食事ですわね。

 車椅子に乗り、そっと部屋を出て、気分良さげに厨房へと向かう御嬢様の姿に、家政婦さんは、物影から何事かと身震いしていた。



 今迄あまり後書きを書いてこなかったので……この作品は書いて行きたいと思う所存。

 うんうん。仲良き事は素晴らしきかなと、書きながら思ってしまう今日この頃。

 若干病んでる?

 そんな事は無い!この二人はピュアなんです!

 あと、実際にスキルが有ったら、兵器にならない様気をつけましょう的な感じですね。

 浮遊と念力のコンボでぶっ飛んで、壁パンしたら面白いかな……ミサイルですか? 違います!!

 おっともうこんなお時間ですね。

 出来ましたら、評価等していただきます様、何卒、お願い申し上げます。


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